「女性宮家」問題① 皇位の継承とは「祭祀の継承」である | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」5月号では、今政府が進めている「女性宮家」創設の問題点について、主要な論点はほぼ網羅していると思います。


 そこで、何回かに分けて、なぜ「女性宮家」創設はダメなのか、皇位継承は「男系男子」でなければならないのか、「祖国と青年」5月号の内容からそのポイントをご紹介します!


 まず最初は、葦津珍彦先生の門下生・田尾憲男さんのインタビューから。聞き手が田尾さんにこんな質問をぶつけています。


「例えば、武家や商家に娘しかいなければ、婿をもらって家を継ぐということはこれまで普通になされてきたことで、そういう一般国民の感覚からすると、女性でも女系でもいいのではないかと思ってしまいがちですが、なぜ皇統を継ぐ者に限っては男系男子でなければならないのでしょうか」


 これは、一般の人たちに「男系男子」の原則を理解していただくためには、とても重要なポイントですね。それに対して、田尾さんは「皇位の継承は、土地や財産を継承するものではありません。第一に『祭祀』を継承するのです」として、次のように述べていらっしゃいます。


 「家の論理」と「氏の原理」というのは、なるほど! と思いますね。




 例えば、武士というのは所領財産があり、養うべき家来がいるわけです。だから男子がいなかったり、娘しかいなければ、親族などから一族の血統を継いだ者を養子や婿養子にする。それが叶わなければ他家からでも迎えて家を維持していく――これは武家の身分と所領財産を守り、家来を路頭に迷わせないための制度システムです。しかし皇位の継承は、こうした武家や商家など一般の「家の継承」とは全く違います。


 皇位の継承は、土地や財産を継承するものではありません。第一に「祭祀」を継承するのです。そして、この祭祀の継承というのは、「家の論理」ではなく「氏の原理」なのです。氏神となる始祖がいて、その血統をひく氏子が祭祀を代々継承していくわけです。祭祀の継承で最も大事なのは、始祖の精神の継承で、そのためには始祖と血統を同じくする者でないといけません。血統の異なる他の氏の者では始祖と精神的にも直結せず、やはり男系男子が最もふさわしいわけです。


 これは日本だけのことではありません。キリスト教以前の世界では、ギリシャやローマなどても先祖崇拝の伝統があり、一家の祭祀は常に男系男子だけに伝えられ、他家から嫁に来た女性は、夫と夫の父を仲介としてその家の祭りに参加できるのであって、その祭りは始祖の血統を受けた男子しかできない。儒教の孔子一族などもそうで、これが氏の原理というものです。


 皇室典範第九条で養子を禁じているのには、まさにそういう意味合いが一つあるわけです。神武天皇以来の皇祖皇宗をお祭りするのは、他家から入ってくる男子ではだめで、だから、皇室典範第十五条で皇族以外の者では、皇族と婚姻する女子以外に一般の男子は皇族にはなれないことになっているのです。すなわち女性以外に、皇位につく可能性のある一般男性が皇室に入ることを厳しく排除しているわけです。


 そして、陛下は歴代天皇のお祭りをされていますが、この歴代天皇のお祭りが、陛下のご修養の糧ともなっているわけです。お祭りを通して歴代天皇と直結し、歴代天皇の御心を学ばれることにより、そこに共通の大御心というものを感じ取られる。そして、この大御心を日々どう体現していくかということが陛下の大事なお務めとなってくるのです。歴代天皇のお祭りを通して、神事最優先の心構え、常に民の上に思いを致す伝統とか、隠れたる民や臣下からの忠言を聞いてご自身のあり方を反省なさる伝統とか、そういった大御心を体現していかれるわけです。


 皇室は国家国民のために祈ってくださる祈りの存在であり、その大本には皇祖神があり、その神勅がある。ですから、なぜ万世一系でなければならないかといえば、このように万世一系が祭祀と一体となって最高に価値ある日本のかけがえのない伝統となっているからです。