皇太子殿下、「水と災害」をテーマにビデオメッセージ | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

先週3月12日~17日、フランス・マルセイユで世界の水問題を扱う国際会議「第六回世界水フォーラム」が開催されましたが、そこで皇太子殿下のビデオメッセージが上映されました。


皇太子殿下は、国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁を務められ、平成15年に京都で開催された第三回以来、同フォーラムで毎回基調講演を行われてきましたが、今回は陛下のご手術に伴う国事行為臨時代行のためご訪問は控えられ、ビデオメッセージによるご参加となりました。


皇太子殿下の「水と災害――津波の歴史から学ぶ」と題するビデオメッセージが上映されたのは15日。「水関連災害の中でも最も深刻な被害の一つである津波被害に対する共通の認識を形成するための一助となれば」とのお考えで、豊富な資料映像を交えながら、東日本大震災と過去の日本の地震・津波災害について、約20分お話しになりました。


皇太子殿下は、まず東日本大震災の被害の実態について、被災者お見舞いのためにご訪問になった地を中心に、仙台空港、陸前高田市、大船渡市、相馬市松川浦、宮古市田老をご紹介になった後、総合的なデータの残る貞観地震(869年)、康安元年(1362年)、明応7年(1498年)、天正13年(1586年)の地震・津波災害について、ご説明されました。


皇太子殿下は、これら過去の災害の歴史の中から、「大地震の後には津浪が来る」という記念碑だけでなく、「地震がなくとも、潮汐が異常に退いたら、津波が来るから早く高い所に避難せよ」という記念碑があったこと、壊滅的な津波被害によって消滅した町がある一方で、見事な復興を成し遂げた町があることなど、示唆に富む事例を紹介され、こうした過去の災害から私たちが学ぶべきことは何かについて、次のようにお述べになりました。


「過去の災害を調べることにより、将来災害が起こったときに、より良い行動をとり得るきっかけとなるということはその一つでしょう。将来起こり得る巨大災害の規模や被害の程度について、過去の災害から推し量ることができるかもしれません。過去の経験を注意深く調べ検証することにより、災害が起きたときにどう対処するか具体的な事例を得ることもできましょう。過去の災害について、私たちが期待するほど詳細に、正確に知ることができないかもしれないにしても、こうした経験は大変役に立つでしょう。私たちは来るべき災害に対処する意味でも、災害に遭った経験を忘れることなく、未来に語り継いでいくことが大切だと思います。


しかし、何よりも学ぶべきことは、私たちの祖先が災害によって私たちと同じような困難に直面し、立ち向かい、克服してきた事実そのもののように、私には思えます。先人たちが幾多の災害にかかわらず、たゆまない努力によってこの社会と街を作り上げてきたことが、私たちに多大な損害と困難、大きな悲しみを乗り越え、前へ進む勇気を与えてくれるのではないでしょうか」


皇太子殿下のビデオメッセージは、宮内庁HPで全文を見ることができ、映像も視聴できるので、ぜひ多くの方々に見ていただきたいと思います。