コラムニスト小田嶋隆氏の死去を伝える報道に接した。

「小田嶋隆って、誰?」と思ったが、何か引っかかるものがあった。

死去を悼む親しい人のブログを読むと、『上を向いてアルコール』の著者と書かれてあり、納得した。

アルコール依存症の闘病記も、多くはないが存在する。

4年前に出版された小田嶋氏のこの本は、サブタイトルが『「元アル中」コラムニストの告白』とあったので、自身のアルコール依存症と向き合った闘病記録が書かれているものと期待して読んだ。

しかし、残念ながらこれはお酒に関するエッセイだった。

アルコール依存症の状況や、治療については、書かれていなかった。

だからか、私が読書後必ずつけている「闘病記診断書」も存在しなかった。

 

アルコール依存症は、自身が治す決意がなければ、治すことのできない病気だ。

通院で治療する人もいれば、男性で3か月、女性で2か月入院治療することもあるが、退院後、8割以上の人がスリップ(つまりアルコール依存の状態に戻ってしまうこと)になる。

入院治療費の50万円前後のお金がまったくの無駄となる。

アルコールを飲んだ瞬間に気分が悪くなるという薬があるにはある。

しかし、その薬で完全に治ったという人を私は知らない。

アルコールに限らないのだろうが、依存症とは本当に質(たち)の悪い病気で、本人以外が必死になっても、当の本人が決意して治療しない限り治らない病気だ。

唯一、患者(当事者)同士の集まりが、支えとなっている。

数ある患者会の中で、アルコール依存症の患者会が、日本で一番歴史のある患者会だと聞く。

 

小田嶋隆氏の本とアルコール依存症について、うだうだ書いてしまった。

本を通しての知り合いだった、小田嶋隆氏に哀悼の意を表しつつ、お酒についての蘊蓄(うんちく)を読みたい人には面白い本だと思うので、『上を向いてアルコールー「元アル中」コラムニストの告白-』を紹介するつもりで、最後にアマゾンのリンクを貼っておくことにする。