再びすごく間を空けてしまいましたが、今回もホンジュラスで活動中の森さんからのレポートです。
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私の活動地域にて生活改善の研修会が行われました。研修会は配属先である自治体連合会の構成市の職員向けと、私の活動する村にて2日間の日程で行われました。
今回は、第1日目の市の職員さんむけの回の様子をレポートします。


配属先である自治体連合会の構成市は6市あり、各市の人口は約3千人~1万5千人のところまで様々ですが、市役所の職員数は10人も満たないところがほとんどなので、一人ひとりが一つの「課」を任されています。今回の研修会について各市の地域開発課の職員さんと女性課の職員さんに案内したところ、全員が参加してくれました。中には当日の朝に研修会があることを思い出して、何も持たずにすっ飛んできてくれた人もいました。


研修の中身は、日本の生活改善の経験や特徴を伝えることが主な内容でした。プロジェクトサイクルによる実施、フォローアップの実施、継続性、グループ活動、3つの改善(お金が必要な改善、お金を必要としない改善、お金を生み出す改善)、個人の改善から家庭の改善、地域の改善への広がりなどについて、図や写真、ビデオを交えて学びました。


参加者の反応ですが、まず「テクノロジー」や「大都市のビル群」というイメージを持つ日本が、つい60年ほど前は貧困だったことに皆さん大変驚いておられました。そして、その貧困状態から抜け出した方法として紹介された生活改善運動は、何か大がかりなプロジェクトかと想像されていたようでした。ですので、日々の生活における小さな改善についての話が始まったときは、少々びっくりされていました。しかし今回の参加者はとても“食いつき”がよく、洗濯の仕方の改善、共同保育、共同炊事、コミュニティにおける集団清掃、ヤギ貯金、卵貯金、蚊とハエをなくす運動などいろいろな例が挙げられるうちに(私の都合のよい解釈かも知れませんが)フムフムとうなずく人が増えていったように思います。とりわけ、他の人と協力してグループで何かをしたり、連携するという活動の仕方が印象的だったようで「普段の自分たちの市役所での仕事の仕方にも言えることだね」なんてコメントもありました。


また、今回は市役所の職員さん向けの研修でしたので、生活改善普及員さんたちのアプローチ方法についても、じっくり説明がありました。「家庭をまわって少しずつ信頼を得る」、「何か改善できることを住民とともに見つけだしたり、住民が問題意識を持つようサポートする」、「活動が始まりだしたら最初は密着型でサポートし、じょじょに住民の主導性を引き出していく…」。


日頃から「ここの住民は援助慣れをしていて、自分で働こうとしない」ということを、物事が進まない理由としていろいろな場所で聞いてきました。そんな職員さんたちに、では実際どういったアプローチがとれるのか考えるきっかけになっていればうれしいです。前述のように一人一課を背負っている人たちなので、みんながみんなこれらの方法を実践できるかというと少し難しいかも知れませんが、少なくとも私がやろうとしていることを改めて知ってもらえたことは、非常に意義深かったです。


最後にプレゼンの中で紹介があった「3つの改善」について簡単なワークショップが行われました。お金が必要な改善、お金を必要としない改善、お金を生み出す改善についてそれぞれ個人レベル、家庭レベル、コミュニティレベル、何でも良いのでアイデアを付箋に書いてもらい発表してもらいました。出てきた案は以下のとおりでした。


お金が必要な改善
- 上下水道工事
- 環境保護関係の事業(ごみ処理施設の設置など)
- 家族計画の普及
- 農業関係の事業


お金を必要としない改善
- 住人に生活改善運動について紹介する
- グループで活動する
- コミュニティの一斉清掃
- 環境保護として有機肥料をつくる


お金を生み出す活動
収入をあげる活動
- 農作物の販売
- グループでパンを作って売る
- 小規模な事業を行う
支出を減らす活動
- 必要な物しか買わない
- 家庭菜園
- ニワトリ・豚の飼育
- 自然系飲料を飲む(砂糖の摂取を控え健康に)


今回の研修会は、配属先のカウンターパートや関係者をはじめ、活動地域の市役所の職員さんに、生活改善について知ってもらうことができ、今後の私の活動の土台をつくってくれました。皆さんの記憶があせないうちに、ぜひ活動先の村でいろいろな活動をすすめていきたいです。

この研修会の翌日には、私の活動する村で村バージョンの研修会を開催しました。
次回はそのレポートをお届けします。


森 栄梨子 (もり えりこ)


     市の職員による3つの改善
生活改善研究会のブログ-3つの改善の事例