金(ゴールド)価格がこのところ足踏み状態にある。
昨年(2011年)10月に1800ドル/トロイオンスまで急上昇した金は、
現在は1600ドル台前半で推移している。
でも考えてみれば、2006年位までの金価格は、
ずーっと200~400ドルといったレンジで推移していたわけだから
1600ドルと言っても、それ以前の時代から見れば5倍も上昇しているということになる。
金の価格がこれからどうなるか?を考える場合、
なぜ、これまで金価格がこれほど上昇を続けてきたかを知っておく必要がある。
一言でいえば、
金の高騰は、「基軸通貨ドルの劣化」 を原因に、それによってもたらされている。
米サブプライム問題、リーマンショックを機に
FRB(米連邦準備制度理事会)は、危機に陥った金融機関を救済するために
米国債を、暴落したモーゲージ担保証券(不動産担保証券)を買い支え、
その分、膨大なドルを市場に流し込んだ。
結果、FRBの資産は、わずか1年余りで3倍に膨張。
ドルの急激な劣化が始まったのである。
実体経済の裏打ちのない、金融機関救済のためのドルのばらまきは
米国以外の国にとって、自国通貨の高騰(自国通貨高)をもたらすから
各国の中央銀行も金融緩和(バラマキ)を行って防衛するしかなくなる。
これは、世界的な「通貨劣化」をもたらす。
通貨の劣化は、
やがてインフレ (経済成長に伴う物価上昇ではなく、通貨の信用がなくなることによるインフレ) をもたらす。
こうして、中央銀行がコントロールすることによって保たれている通貨が
中央銀行の野放図なバラマキに代り果てる中で
究極の価値の基軸となる「金」へのマネーシフトが起り、金の高騰が続いてきた。
では、現在の、金の足踏みはなぜ起こっているのか?
これも一言でいえば、
欧州債務危機によって、マネーが欧州を離れ、米国に向かう流れが生じているから、
である。
ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、ギリシャ国債など暴落した国債を大量に抱える欧州金融機関を救済するために
昨年12月、今年3月と100兆円以上のカネを金融機関に渡した。
大量のマネーを渡された欧州金融機関は、それで暴落国債を買い支え、
なんとか、一時的にギリシャ危機、欧州危機は鎮静化した。
そしてこの大量のマネーの一部が、
比較的安全資産とみなされている米国債に向かうことで
米国へのマネー還流が起っている。
だから、当面の間は、FRBは、金融緩和をする必要性がない。
(還流マネーによって、米国は一息ついている状態)
金価格の上昇は、FRBの金融緩和(ドルのばらまき)によって生じるのであるから
現在、そして当面の期間は、
金価格は足踏みを続けることになる。
では、ずっとこの状態が続くのか?
そうではない。
欧州債務危機は、必ず再燃する。
次の危機再燃は、欧州の金融機関だけでなく、米国の金融機関の危機に飛び火して行く。
この場合、FRBは、再び金融緩和に動かざる得なくなる。
その時また、金価格は上昇(暴騰)に向かうことになる。
それはいつか?
時期を予言することは不可能だが、
半年から1年後といったところと考えるのが妥当だ。
だからそれまでは、金価格は一進一退という形となる。
この期間は、金の「先物」など、短期勝負の投機は避けるべきだ。
金の現物、金貨、純金積み立てなどで、将来の金暴騰期まで
地道に金を仕込むことで、
悪性インフレに向かう世界の中での資産防衛を行っておくことが必要である。