こんばんは。

 

19日、議会が閉会しました。

 

自民党が議長問責決議案を閉会の土壇場に出しました。

 

議会は19時45分で終了する動議が出されていたので流れ解散的に終わる結果となりました。

 

問責決議の理由のひとつに、討論において不適切とされる討論を行った議員に対して、注意喚起なども怠ったとありました。

 

これは、無所属議員が、心身障害者医療費支給制度に所得制限を導入する議案についての賛成討論で、車いすの議員を名指しして「ブルジョア障がい者」などと言ったことにあります。

 

彼は、つまり、障がい者の中にもお金持ちはいるからお金持ちであれば、医療費を無料にしなくてもいいでしょうという主張でした。

 

まあ、本当ならブルジョア=お金持ちというのも違うわけで、ブルジョアは,資本の所有者、資本家階級。労働者階級をプロレタリアートいうわけですが。

 

それは、ともかくその発言で議場は騒然となりまして、「障がい者差別だ!」「障がい者に金持ちも貧乏もない」という声も。

 

たしかに、ひどい発言です。

 

名指しして、ブルジョアと決めつける発言は言語道断です。非常に失礼です。

 

本来、障がい者ということであれば、所得の多寡に何ら関係なく、障害ゆえに医療支援が必要で、必須であるからそれを支援するというのが心身障害者医療費支給制度であるはずです。

 

けれど、この心身障害者医療費支給制度に所得制限を導入することに対して、日本共産党市議団以外の議員は、みんな、賛成をしました。

 

所得という線引きを障がい者福祉に持ち込むことはなじまないとお考えだから、「障がい者差別だ」「障がい者に金持ちも貧乏もない」と発言なさったのではないでしょうか?

 

もし違うならお教えください。

 

「ブルジョア」発言だけを許せないとおっしゃる意味が私にはわかりません。

 

それならなぜこの議案に賛成したのですか?

 

他会派の賛成討論には、「本来なら障がい者福祉に所得制限はなじまない」とか「これ以上障がい者に痛みをおしつけるべきではない」とか何らかの意見付すこともされませんでした。

 

とても悲しく感じます。

 

その日、私は唯一、この議案に対して反対討論を行いました。

 

 

本会議場での議案請願に対する会派を代表しての討論でした。

 

ここに全文をお示しいたします。

お読みいただけたら幸いです。

 

日本共産党の久保みきでございます。会派を代表して、議案第122号、第130号、第131号、第132号に反対の立場から、請願第33号、第36号、第37号は委員長報告に反対、採択すべきの立場から討論いたします。

 初めに議案第122号「平成30年度さいたま市一般会計補正予算(第4号)」について述べます。まず、心身障害者医療費支給事業については、同制度に所得制限を導入するためのシステム改修を行う部分については認められません。

 続いて検討調査本庁舎整備業務について述べます。本業務は、本庁舎整備審議会の答申を踏まえ、必要な事項の調査として2700万円の債務負担行為を設定するものです。しかし、現庁舎は耐震化工事もすすめられており、庁舎移転を検討する必要性がありません。加えて平成24年の庁舎整備審議会の設置条例に反対した際にも述べたことですが、莫大な経費が見込まれることが問題です。現時点では移転費用は明らかでないとのことですが、建設費と用地取得を合わせれば数百億円になると思われます。不要・不急かつ大規模に費用がかかる庁舎移転の検討に税金を使うのはムダづかいであり認められません。

この間、大宮駅・新都心周辺ではバスターミナルの暫定整備、市民会館おおみやの移転など不要不急の事業に巨額の税金投入がされ、さらに大宮駅GCS構想や大宮駅周辺地域戦略ビジョンなどが進められていますが、加えて庁舎移転ということになれば、どれだけの財政投入を要するのか、見当もつかない状況です。その一方で障害者施策をはじめ様々な福祉制度を次々削減しているのですから、住民福祉の増進という地方自治体の本来の役割からも大きく逸脱してしまっています。このままでは将来世代へ借金を負わせながら福祉・教育制度はボロボロというのがさいたま市の未来の姿になってしまいかねません。「国土形成計画」など国の旗振りに踊らされることなく、冷静に本市の計画を再検討し、本来の地方自治体の役割を果たす行政に転換することを強く求めます。

 また、サーマルエネルギーセンターについては、新たな廃棄物処理施設の必要性は認めますが、処理方式においては安全性と二酸化炭素排出など環境面に配慮した契約になるよう要望します。

 次に議案第130号「さいたま市養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の制定について」。本条例の改正は、国の省令に基づき、サテライト型養護老人ホームを設置できる本体施設に養護老人ホームを加えるものです。

改正の内容のひとつは、本体施設が養護老人ホームにおいてのサテライト型養護老人ホームでは、医師や栄養士、調理員、事務員を配置しなくてもいいとなっています。医師や調理員の配置が不要ということは、当然、本体施設とサテライト型施設は近距離でなければなりません。しかし、本体施設とサテライト施設の距離の基準がないことが質疑で明らかになりました。

 これらの基準緩和は、サービスの低下、命の危険まで生じる懸念があります。

 この基準緩和は、滋賀県などの地方5県の要望によるものであることが質疑で明らかになりました。しかし、本市内3カ所の養護老人ホームの充足率は約89%。定員に満たない状況で、サテライト型養護老人ホームの需要は見込まれず、急いで条例化する必要性はないと考えます。 

 次に議案第131号、「さいたま市心身障害者医療費支給条例の一部を改正する条例の制定について」述べます。本条例改正は、心身障害者医療費支給制度に所得制限を導入するものです。心身障害者医療費支給制度は、重度の障害者の命や健康を維持するために大変重要な制度です。障害者権利条約第二十五条は、障害者に到達可能な最高水準の健康を享受する権利を定めています。また障害者基本法第24条は、国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減をはかり、または障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置を講じなければならないとあります。

 このことからみても、障害者への医療支援は所得や年齢に関係なく等しく受けられるものだと考えます。命や健康を維持するために、障害を悪化させないために、障害者が安心して医療が受けられるように設けられているのが心身障害者医療費支給制度であるはずです。

 ところが、さいたま市は20151月から、年齢制限を導入、65歳以上で新規に手帳を取得した人をこの制度の対象外にしました。そして今度は所得制限を導入しようとしています。政令市でも年齢制限と所得制限の両方を導入しているのは、千葉市と浜松市の2市しかないことが質疑で明らかになりました。まさにさいたま市は、政令市で3番目に障害者に冷たい市になろうとしています。

 心身障害者医療費支給制度は、県単事業で、重度障害者の医療費を県が2分の一、市が2分の一負担する仕組みになっています。県が所得制限を導入しても本市では導入せず県の分を負担したとしても政令市さいたま市なら十分対応できるものと考えます。以前入院時の食事代を県が廃止した時にさいたま市は独自でその制度を守った経緯があります。本来、地方自治体の政治は、国、県が悪い方向に行っても市独自で市民を守る努力をするべきと考えます。

 所得制限導入により影響を受ける障害者は700人、毎年新規で約50人の方が医療費支給から外されます。経過措置を設けても平成34年までです。重度障害者の平均医療費負担は年13万円。中には高額の医療費負担のある障害者も存在し医療から遠ざかるのではないかと懸念します。障害者団体も市に「所得制限を導入しないでほしい」と要望書を提出しています。市は当事者の声を聴くべきです。よって、心身障害者医療費支給制度に所得制限を導入すべきではありません。

 次に議案第132号「家庭保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の制定について」。本条例の一部改正は、国の基準改正に伴うものですが、いずれも、子ども子育て新制度による制度設計の矛盾や待機児童の解消などに必要な認可保育所の整備数が不足していることなどが背景にあります。

改正の一点目は、家庭的保育事業者等が代替保育を提携できる認可保育所等以外に、特例として、一定の要件を満たすときは、小規模保育事業A・B型と連携ができるようにするものです。

 市内には、法人が運営する複数の小規模保育所が60施設あり、これらの施設では小規模保育所間で保育士の代替の可能性があるとのことです。しかし本来は、小規模保育事業は認可保育所との連携が義務付けられています。全国的には、連携の3要件を満たす家庭的保育事業者と認可保育所等との連携は30%ということです。さいたま市では、連携はゼロであり、保育士の代替のみを可能とする基準緩和は、認可保育所との連携の促進の足かせになりかねません。

 また二点目の食事の提供については、保育ママ制度をさいたま市で実施する際の一つの基準緩和です。食事提供者に対する認可の在り方もまだ定まっていない、ガイドラインの策定もまだこれからと言う状況であり、保育ママの実施にはまだまだ課題があることからも、慎重に検討すべきです。

いずれも基準緩和によって、現状の打開を行おうとするものであり、保育の質の確保や安全・安心な保育の提供ができるのか疑問です。

安心安全な、保育の質の確保された保育を提供するのは、市の責務です。本来の役割を十分に発揮できるようにすることこそが求められています。

 次に請願第33号「小中学校の学校給食費の無償化を求める請願」と請願第36号「給食費の無償化を求める請願」は、関連がありますので、一括して申し上げます。

憲法26条では、すべての国民の教育を受ける権利を保障し、義務教育の無償を明記しています。しかし実際は、授業料の不徴収と教科書無償交付にとどまっています。

学校給食の普及、充実と食育の推進は学校給食法にも定められ、給食は教育のひとつとして重要な役割を果たしており、本来は無償にすべきものです。しかし(本市の)給食費の月額は小学校で4100円、中学校では4800円となっています。市は、無償化を導入しない理由として「就学援助制度があるから」とのことですが、就学援助は、生活保護基準の1,2倍であり、本市においての認定率はたった8,9%です。本請願はすべての子どもたちの給食費無償化を求めています。

様々な事情により、朝食をとっていない子どもがいるなど、成長期に十分な栄養が確保できないことが問題になっているなか、給食は子どもの食のセイフティーネットの役割も果たしています。

 全国的にも無償化や一部助成に取り組む自治体は506自治体、県内でも15自治体へと広がっています。さいたま市も無償化に踏み切るべきです。

 次に請願第37号「待機者解消のために特別養護老人ホームの増設を求める請願」について述べます。

本請願は、特養ホームの増設を、第7期計画で300床としたことは問題であると指摘しています。高齢者が増え、介護認定者も増加し、待機者も1000人を超えている中では、当然の不安です。審査の際の、参考意見では、第6期計画の整備繰り越し分が952床あり、31年度に開設する分が、目標値に含まれていないとの説明がありましたが、請願者の望んでいることは待機者の解消です。300床の目標値でも待機者が解消されるのか、その根拠を明確に示す責任が問われています。

また、特に介護職員の不足により144床も空きベッドになっている現状についても参考意見で明らかになりました。

社会福祉法人などが、整備を促進する意欲を喚起するためにも、整備や運営についての財政支援の強化、特に介護職員の処遇改善について特段の支援を行うことは重要です。国に対して求めることを請願者は望んでいます。

これらの願いは当たり前のことであり請願者の願意は極めて妥当であり、採択すべきです。

以上をもちまして、日本共産党さいたま市議団を代表しての議案・請願の討論といたします。