(「むしめがね」NO24)

 

 

鳥の恋飛天は琵琶を抱え弾く

宇宙の偉大な曲線と夏の赤い実と

流星群その翌朝の草の花

四ッ谷 龍~「宇宙の偉大な曲線」より

 

 

今日は「グルメブログ」ではない(笑)。

 

四ッ谷龍さんの文芸誌『むしめがね』を先日、送っていただいた。

四ッ谷さんは俳人で俳句評論家。

国際的な論客として活躍され、フランスへの雑誌の寄稿や俳句に関する講演活動などをされている。

 

今回、「ブログを引用させて頂きました。」というメッセージと共に「むしめがね」を送っていただいた。

こんな論客に取り上げていただき、実に光栄であり、あんまり注目されないだろうけど、自分にとっての素朴な疑問をコツコツと書き連ねて来て、良かったな〜、という思いが湧き上がってきた。

今号の「むしめがね」の主な構成は以下の通り。

 

特集 冬野虹の絵画世界

連載 再論・田中裕明(2)

特別論考 松尾芭蕉と修験道

 

ブログについて取り上げて頂いたのは「松尾芭蕉と修験道」の四章「芭蕉と天台宗」の中である。

芭蕉と天台宗については以前に考えたことがある。

 

 

以下、四ッ谷さんの引用である。

 

芭蕉と宗教の問題についてネットで調べていたら、興味深い記事に行き当たった。

俳人の林誠司氏が自身のブログ「林誠司 俳句オデッセイ」の中で、「『おくのほそ道』をいろいろ考える(番外編)~芭蕉と天台宗の関係」という文章を発表しているのだ。

林氏によると、「おくのほそ道」で芭蕉があきらかに目標として訪問したのは、

日光・東照宮(天台宗)

黒羽・雲巌寺(臨済宗)

山形・立石寺(天台宗)

出羽三山・羽黒神社(天台宗)

の四か所あるという。

(中略)

林氏は、とくに多くの信者がいたはずの浄土宗や浄土真宗の寺を訪問していないのが不可思議であるとして、「芭蕉の『宗旨』は何だったのだろう、という疑問が湧いてくる」「芭蕉と『天台宗』の関係はあまり指摘されていないように思う」と問題提起されている。

 

そこから四ッ谷さんは、芭蕉の故郷の菩提寺の宗旨などを調べ、論を展開している。

それによると、松尾家の菩提寺とされている愛染院は真言宗なのだそうだ。

しかし、四ツ谷さんは更に「おくのほそ道」で逗留した寺社も調べているが、やはり天台宗が圧倒的に多いのである。

 

最後に、芭蕉が眠る近江義仲寺も「天台宗」であることを指摘し、芭蕉が自分の眠る地として、故郷伊賀ではなく、近江の義仲寺を希望したことについて、

 

私は義仲寺が天台宗系の寺院であったこともあったのではないかと思うのだ。

(中略)

芭蕉としては、故郷の墓に入るとなると真言宗の菩提寺に埋葬されることになってしまう。

それよりも生涯親しんだ天台宗の寺で眠るほうが、心休まることだったのではないだろうか。

 

と述べ、文章を締めくくっている。

私も同感である。

小林一茶研究に於いて、彼の宗旨である「浄土真宗」は常に注目されている。

芭蕉についての研究はほぼ終わった、と発言する人もいるが、芭蕉と天台宗…、というか、芭蕉と宗教というのは、禅との関わりは多く指摘されているが、天台宗に於いてはまだ研究の余地があるのではないか。

 

これから、(私も頑張るが…)「芭蕉と天台宗」について、多くの人が注目されるとさらに楽しくなる。

 

 

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