(福井県小浜市 神宮寺)

 

 

若狭には仏多くて蒸鰈

(わかさには ほとけおおくて むしがれい)

森 澄雄

 

 

そもそも「蒸鰈」とはなんなのか?

私はほとんど見たことがない。

 

塩をして蒸した鰈を、陰干しにしたもの。

干すことによって身がしまり、魚本来の旨みがまして味が良くなる。

酒の肴にもよい。

 

と、「きごさい歳時記」にある。

 

(写真は「写真俳句ブログ」(投稿者・松下童子さん)よりお借りした。)

 

あ~、これなら食べたことあるかも…。

民宿とかの朝食によく出て来たような気がする。

森さんも若狭を旅し、朝食あるいは晩酌でこれを食べ、しみじみ旅情を感じていたのかもしれないな~。

魚を上手に食べるのが苦手な私は「なんだかあんまり食べるとこがない魚だな~」と思っていた(笑)。

 

 

「鵜の瀬」を見た後、1キロほど市街に戻る道に「神宮寺」があり、そこも訪れた。

この寺は和銅7年(714年)の創建。

「鵜の瀬」で汲まれた「香水」は、ここから東大寺二月堂へと送られるのである。

「鵜の瀬」にしても「神宮寺」にしても、古代山岳信仰と仏教がまだ混在していた頃の面影を色濃く残している。

「若狭」には確かに寺が多い。

しかも古い寺が多い。

古代、このあたりから中国大陸や朝鮮半島から渡来した人が多いからだろう。

もちろんこれは若狭に限ったことではないが、若狭にはいつも「潮風」が満ちている。

それがこの土地の明るさを感じさせるのである。