【原 文】
     熱田御修復(みしゅふく)
 磨なほす鏡も清し雪の花

蓬左(ほうさ)の人々にむかひとられてしばらく休息する程、
 箱根こす人も有らし今朝の雪
 

【意 訳】
  熱田神宮御修復
 磨なほす鏡も清し雪の花
名古屋の人々に迎えられてしばらく休息していた時、
 箱根こす人も有らし今朝の雪

【注 釈】
〇熱田御修復…熱田神宮の修復。『野ざらし紀行』の頃は熱田神宮は荒れ果てていた。

〇熱田神宮…愛知県名古屋市熱田区にある神宮。創建は646年(伝)。三種の神器の一つ・草薙剣を祀る。宮中の四方拝で遥拝される一社。
〇蓬左の人々…「蓬」は蓬莱宮で熱田神宮の別名。「左」は「西」で西方一帯。熱田神宮西方。名古屋一帯。
〇〈箱根こす~〉…十二月四日、熱田聴雪亭での歌仙の発句。