(神奈川県横須賀市浦賀)

 

 

日本の政治、経済、世情だとかが、ここ何十年もダラダラとしているのは、何事に於いてもなし崩しに終わらせてしまい、しっかりとした「検証」が為されないからだ、という見方がある。

 

例えば「コロナ」。

日本は人口比率で見れば、(私がネットで調べた限りでは…)世界のトップ5に入るほど死者数が少なかった。

しかも、1位が早々にデータ発表をやめてしまった中国であり、3位は集計が適当と言われていたインドだ。

 

実際は世界3位と考えても間違っていないだろう。

マスコミが一時期、台湾や韓国を見習えと連呼していたが、結局、韓国や台湾より(人口比率の)死者数は少なかったのである。

いくつかの国では強制的な都市封鎖をしたが、日本はそういうことをせず、これだけ死者数を少なく済ませた。

 

しかし、あの当時はどうだっただろうか。

マスコミを先頭に政府を批判しまくり、専門家をも批判しまくった。

ネットや世間の人々も同様、いや、更に過激に批判をした。

しかし、今、どうだろう。

マスコミもネットも世間も何事もなかったかのように彼らの功績を検証もせず、賞賛もせず、無視している。

政府に感謝しろ、とは言わないが、せめて、必死にコロナと向き合い、批判にさらされ続けた専門家に感謝くらいすべきだろう。

ヨーロッパでは対応した専門家を表彰したり、叙勲したりしているが、日本ではそういう動きは今のところ一切ない。

矢面に立った人間が消耗し、傷つき、馬鹿を見ただけだ。

日本人のこういうところが私は嫌いだ。

文句を言っているだけの人間が一番楽であり、今後、そういうものを一手に引き受けて戦う人材がいなくなることを怖れる。

 

Youtubeで成田悠輔さんが言っていたが、アメリカではコロナ対策の為、病院に莫大な支援金をつぎ込んだが、それを検証した結果、そのお金は機能せず、病院の銀行口座が潤っただけだった、という結果が出たそうだ。

その支援金は、コロナ病床の増床、コロナ患者の受け入れの為のものだったが、病院はそれに見合った対応はしなかったのだそうだ。

しかし、アメリカはまだいい…、というかやはり大したものだ。

そういう「検証」がしっかり行われている。

 

成田さんは、日本でも「検証」しようとしたそうだが、「検証」出来なかったのだそうだ。

なぜなら「データ」がなかったのである。

ベッドをどれだけ増やしたか、どういうシフトになったか、どういう人員増加をしたか、「データ」がないのである。

病院から一切報告が無かったし、政府もそれを義務付けなかったのだろう。

おそらく、アメリカ以上に日本の病院の銀行口座は潤ったはずだ。

こういう「検証」が行われないと、再びパンデミックが起きた場合、また病院に無駄な税金、しかも莫大な税金を注ぎ込むことになる。

こういうだらしなさも日本の倦怠感にむずびついているように思える。

 

何もせず文句ばっかり言っている人間が、一番楽だが、そういう人間を批判する、軽蔑する風潮を創り出してゆかないと、そういう人間ばかりが増えてゆくように思える。

 

金星すでにただの夏星先駆者よ

香西照雄

 

という句がある。

「金星」は「一番星」であり、夕方真っ先に輝く星だ。

しかし、夜が更けてゆくと、夏星がたくさん輝き、単なる夏星の一つになってゆく。

「先駆者」も同じで、先駆者の勇気や功績も人々はすっかり忘れ、感謝されることもなく、記憶の中に埋もれて行ってしまう。

そういうことをしっかり「検証」し、「讃える」ことこそ英知というものではないだろうか。

 

われわれも、今はネットとかで探せば、容易に「コロナ死者数」だの、そういうものを見ることが出来る。

そういうものを時々チェックしたりして、ワイドショーなどの言う事に惑わされず、客観的に物事を評価することが必要だと思う。

 

 

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