(神奈川県鎌倉市 鶴岡八幡)

 

 

風さわぐをちの外山に雲晴れて桜にくもる春の夜の月   源 実朝

(かぜさわぐ おちのとやまに くもはれて さくらにくもる はるのよのつき)

 

 

やはり実朝の和歌はいいな~。

「をち」は遠く、「外山」は里に近い端っこの山のこと。

 

正岡子規は、『万葉集』以降優れた歌人は実朝ただ一人しかいない、と書いていた。

最近、「鎌倉殿の13人」の影響で、鎌倉時代を取り上げているテレビ番組があり、実朝のこともよく出てくるが、みな、実朝を無能な政治家としか見ておらず、実に残念だ。

実朝の和歌の素晴らしさを誰も指摘してくれない。

 

実朝ほど優れた歌人はいない。

子規の言うように『万葉集』以来、優れた歌人は西行か実朝くらいしかいない。

和歌だけでも実朝の歴史的価値は十分ある。

実朝は詩歌の歴史に大きな華を咲かせたのだ。

実朝は写真の石段の左端で暗殺された。

建保7年(1219)1月27日の春雪のこと。

今の暦で言えば2月13日のことだ。

 

雪となる雨を見てをり実朝忌   角川春樹

 

(小町通り)

 

今日は鎌倉へ出かけた。

今日は実にあたたかい。

途中からコートを脱いで歩いた。

 

鎌倉には横須賀に移住したばかりの頃、よく歩いた。

なのでたいがいの所は見ている。

今日は鎌倉歴史文化館と和田塚をメインに歩く。

和田塚には出かけたことがあるが、鎌倉歴史文化館は初めてだ。

なにはともあれ「鶴岡八幡宮」へ。

小町通りは相変わらずの混雑だ。

そうそう、小町通りのあまりの混雑にうんざりして鎌倉通いを止めたんだっけ(苦笑)。

 

(若宮大路)

 

途中から小町通りを曲がり、若宮大路へ出て八幡へ。

「鎌倉殿の13人」のオープニングで、頼朝らしき人物が鶴岡八幡の前に佇むかっこいいシーンがあるが、あのシーンの位置はきっとこの辺だろう、と考える。

 

(白旗神社)

 

鎌倉の街は京都ほどの規模は無いが、京都には無い海がある

鎌倉には常に潮風が吹いている。

そこがいい。

参拝をした後、八幡の脇を通り、白旗神社へ行く。

なにげない場所だが、和田合戦で実朝が退避した場所であり、三浦合戦で三浦一族が立てこもった場所がここだ。

ここで多くの武者が自害している。

この上に「源頼朝の墓」「北条義時の墓」がある。

 

 

JR横須賀線の線路を越え「鎌倉歴史文化交流館」へ行く。

扇が谷(おうぎがやつ)あたりに入るともの凄い邸宅がまだ残っている。

もっとも今は個人所有ではない。

「古我邸」を初めて見た。

凄い邸宅だ。

今はレストランになっているらしいが、今日はお休み。

 

ここ鎌倉歴史文化交流館も元々は三菱財閥・岩崎氏の別荘なのだそうだ。

 

 

こんな凄い庭をもっているなんて凄い。

昔は貧富の格差が凄かったんだな~。

でもこれだけの金持ちがいたからこそ、この景観が残ったとも言える。

 

 

展示物でさほど感心するものはなかったが、畠山重忠(はたけやま・しげただ)の鎧を参考に複製した鎧が実に華やかだった。

畠山重忠は武蔵の武将で「武士の中の武士」と言われた、清廉潔白で武勇に満ちた武将。

有名な「鵯越の逆落とし」では、馬を庇い、馬を背負って坂を駆け下りたという怪力の持ち主でもある。

北条時政の陰謀で謀反の疑いをかけられ滅亡した。

この鎧は「日本三大大鎧」の一つである。

ここの庭園は素晴らしく、もし暇があればここで一日のんびりしたいような素晴らしい庭園だった。

 

(和田塚)

 

最後は和田塚へ。

和田合戦の供養塔である。

何度も書いているが、私は鎌倉武将の中で和田義盛(わだ・よしもり)が一番好きだ。

頭は悪そうだが(笑)、まっすぐな性格がいい。

和田合戦は、同じく北条の陰謀に乗せられ、和田義盛が起こした合戦である。

由比ヶ浜一帯が主戦場となり、和田勢は少数ながら大群相手に果敢に戦い、最後は自害した。

由比ガ浜には人骨がかなり埋まっているそうだが、和田合戦の骨をはじめ、さまざまな戦で死んだ人の骨が埋まっている。

鎌倉時代、砂浜は墓地でもあったようだ…。

 

(由比ガ浜)

 

向こうに見えるのが「腰越」。

義経はあそこで「腰越状」を涙で書き、鎌倉に入ることなく、引き返したんだな~、と思うと切なさがこみあげてくる。

「腰越状」は頼朝に許しを請う為、義経が書いた手紙である。

思いっきり要約してみる。

 

義経、恐れながら申し上げます。

私はあなた(頼朝)の代理として、平家を滅ぼし、先祖代々の武芸を世に示し、先祖の恥辱をそそぎました。

本来なら賞賛されるべきものを誰かの讒言により、あなたの勘気を被り、血の涙にくれております。

(中略)

あなたの他に頼る人は無く、ひとえにあなたの広大な御慈悲を仰ぐのみです。

私に誤りが無い事をお認めいただき、お許しいただければ、あなたを栄えさせ、栄華は子孫へ伝えられることでしょう。

私も年来の心配事も無くなり、生涯の安穏が得られるでしょう。

ご賢察くださることを願います。

義経、恐れ謹んで申し上げます。
 

 

 

最後は「魚屋路」(ととやみち)で寿司。

ここは「すかいらーく」の回転寿司。

しかし、回転寿司の中では相当うまい。

いいリフレッシュになった。

明日からまた仕事がんばろう!

 

 

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