写真は山形県鶴岡市「あつみ温泉」での芭蕉宿泊の地。

ここが山形…というか東北の旅、最後の宿泊地となる。

 

「曽良随行日記」の記述によると、ここは「鈴木所左衛門宅」。

酒田の弥三郎の紹介状を持参した、と書いてあったので、きっと安心して泊まることが出来ただろう。

小雨が降り出し、暮れてからは大雨となり、朝方に止んだ、と日記に書いてある。

 

翌朝、芭蕉は一人で馬に乗って「鼠の関」へ向かい、曽良は数キロ山奥の「あつみ温泉」の湯元を見物し、新潟県の中村で落ち合った、と書いてある。

ずっと行動を共にして来た曽良はなぜ別行動をとったのだろう。

なぜ、別行動を取ってまで「あつみ温泉湯元」を見物したのだろう。

そんなに見たかったのだろうか…?

それともどうしても見なければならない理由があったのだろうか?

 

曽良は何らかの理由があって、どうしてもあつみ温泉湯元を見たかった。

が、疲れている芭蕉を付き合わせるわけにもゆかず別行動…ということになったのか。

こういう不可思議な行動が「曽良隠密説」に拍車をかける。

 

あつみ温泉から鼠ヶ関までは約13キロ。

圧倒されるような海岸の奇岩、巨岩を眺めながら歩く。

 

 

街道を歩いてゆく「鼠が関」に入り、山形・新潟県堺石標があった。

私の旅もいよいよ「みちのく」に別れを告げ「北陸」へと入る。

「おくのほそ道」にも、

 

鼠の関を越ゆれば、越後の地に歩行(あゆみ)を改めて…

 

と書いている。

「鼠の関」は「念珠の関」ともいい、奥州三関の一つ。

残りの二つは太平洋側にある「勿来の関」、陸奥街道にある「白河の関」である。

三つとも対「蝦夷」の防御施設と考えていい。

 

ここは遥か昔、車で通り過ぎただけで、ゆっくり見るのは初めてだが、なるほど、断崖絶壁の海岸線の中で、比較的広い平野を有している。

「広い平野」といってもさほどではないが、長く狭い海岸線を歩いていると、ここに来ると一息出来る。

「勿来」や「白河」には土塁などの面影が色濃く残っているが、ここにはあまりそれを感じない。

 

(念珠の松)

 

「マリンパーク鼠が関」には「マリーナ」があり、「鼠が関港」「念珠の松」「義経上陸の地碑」などがあり、古代から今にかけて、この地域の「中心地」であったことがわかる。

「鼠が関」には「江戸時代の関所」「古代の軍事拠点」としての二つの遺跡がある。

「古代鼠が関」は大正時代に発見されたので、芭蕉には、具体的にどこがどうということはわからなかったであろう。

 

 

この先の勝木というところまで歩き、奇岩の立つ漁港を見物して、この日の旅は終了。

確かに圧倒される奇岩であった。

 

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