(神奈川県横須賀市野比 光が丘水辺公園)

 

 

象潟や海境合歓の花の上    神蔵 器

(きさかたや うなさか ねむの はなのうえ)

 

 

日にちの感覚がよくわからない。

今日から「四連休」が始まっているのかいないのか?(笑)

今日は四連休の初日だろうと思い、海辺の混雑を避け、里山を歩いた。

YRP(横須賀リサーチパーク)に光が丘水辺公園という公園があるのだが、そこの合歓が素晴らしく、思わず見とれてしまった。

休日はこの公園にも人が押し寄せるのだが、今日はさほどではない。

今日は休日なのか? 

それとも「コロナ」をおそれて、自宅にこもっているのだろうか?

が、このへんは田舎で「3密」にならないということもあって、みな、ほとんど「マスク」をしていない。

結構呑気である。

 

先日、杉並区の観泉寺を散策した時、景観は素晴らしかったが、見るべき花がなく、

 

この時期は見るべき花がないのかしら…。

 

などと皆で話していたが、公園ではいろいろな花が咲いていた。

公園の一角には、里山の森をそのままにした箇所があり、そこに水草が黄色い花を咲かせていた。

 

これは何の花だろう。

「グーグルレンズ」で調べたら、「アサザ」だと言っていたが…。

 

里山では「青栗」「青柿」も見た。

 

 

まだ「梅雨」も明けていないが、樹木はしっかりと「秋」の準備をしている。

えらいものだ…。

 

掲句もえらいものだ。

私も今日、合歓の花の句を詠んだが、この句には到底及ばない。

「象潟」は山形県の象潟(現在、山形県にかほ市)で、芭蕉が、

 

象潟や雨に西施が合歓の花

(きさかたや あめにせいしが ねむのはな)

 

と詠んだところだ。

 

(※鑑賞はこちらを)

芭蕉の象潟の句

秋田県にかほ市象潟

 

「海境」とは、海の国と人間の国との境、ということだが、「海の坂」という意味もある。

やや傾斜したところから沖を眺めると、沖の海が「登り坂」のように見えるのである。

それが「合歓の花の上」にある、というのである。

象潟の島(今は田んぼの中)に登って、この風景を見たのかもしれない。

この句は、

 

きさがたのさくらは浪にうづもれて 花のうへこぐ海士のつり舟     西行法師(伝)

(きさがたの さくらはなみに うずもれて はなのうえこぐ あまのつりぶね)

 

と似ている。

おそらく、この和歌が念頭にあっただろう。

この歌は、桜の上に浮かんでいるかに見える海を詠んだが、芭蕉以来、象潟と言えば「合歓の花」となった。

詩歌の伝統、詩歌の変遷の豊かさを見るような一句である。

 

 

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