10月29日の日経朝刊 経済教室 ”脱「為替」経済へ構造転換を” | めし、食ったか?

10月29日の日経朝刊 経済教室 ”脱「為替」経済へ構造転換を”

10月29日の日経朝刊は、行天豊雄さんの経済教室だった。ウルトラ要約すると、為替相場で一喜一憂するのではなく、構造転換して競争力強化が本命だと。

まぁ、その通りだと思う。ただ、こういう議論は昔っからあったわけで。アベノミクスの前からもそういう議論はあったし、イノベーションこそが経済発展の鍵だ、ってのは、円高の頃から言われていた話で。

なので、ここでこういう記事がドンドン出てくることそのものが、やはり今の日本のアベノミクスが時代遅れで財政負担のみになりつつある事を日経が危惧している、って事なのだろう。

アベノミクスによる超金融緩和で、円安が始まり、景気がよくなった感じがした。ただそれは、外貨建て資産が評価益を生み(確かにドルで持ってた貯金はかなり円に換えると30%ほども利益を生んだ)、株や債券価格が上昇し(今の株価ね)、そういう株や債権を持つ富裕層や企業が潤った。だから、景気回復がなされたと思った。

あと、昔の教科書どおりであれば、円安は輸出を増加させ、日本の加工工業型輸出産業が輸出を増大させると思われた。

けれど。

今の原子力発電が停止している状況で、化石燃料(殆ど輸入)に頼らざるを得ない状況で、いたずらに円安は危険だと思っていたが、案の定、電力を中心に資源価格が上昇し、加工して輸出するためのインフラ部分が値上げしたために、輸出は増えないし、普通に生活するにも物価が高くなるという状況になった。ここで行天さんはまだ他の国に比べ海外生産比率は低いと言っているものの、とはいえ既に国内製造業はこれまでの円高で輸出しても売れない辛酸をなめているから現地生産に切り替えており、輸出が増えるということは特に起きなかった・・・。

行天さんはよって円安でも円高でも困る、と言っている。で、結論は、究極的には競争力をつけるしかないのだ、と。為替変動に一喜一憂するな、”目先の変動に気を奪われ尻尾が犬を振る具を犯してはいけない”と。

まぁなぁ・・・。

とてもそのとおりだと思うんだけど、これがアベノミクスが始まるあたりで出てきた文章だったら、ずいぶん骨っぽいいい文章・よくこういう文章をのせたなと、日経もスゴイと思ったんだろうが。

そもそも第三の矢の成長戦略をどう考えるのか、そこに対して具体的に日経として提示して欲しかったのだが、全くそれはなく、今の状況でこういうアベノミクスを非難する記事だけ書かれても、って言う気はする。

だって、もう既にすごい借金はできていて、消費税10%はあげないといけない状況になっているんだもの。

そして世界では、ノーベル経済学賞にしても21世紀の資本主義にしても、累進課税の強化とか、独占企業に対する規制のかけ方をどうするか、とか、が、流行になっているし。

アメリカはQE3はもう卒業、これからいつ利率を上げるか、なんて時代に突入しているのに。

日本だけ、脳天気に、”ジャンジャン輪転機をまわしてお金を刷れば経済はよくなります”なんてやってるんだものなぁ・・・。

9月30日の夜。
麺類たくさん!
冷やし中華に
インスタント冷やし麺。


だから、こういう記事を載せるのは、なかなか、責任逃れが気がする。ただ、この行天さんの文章は、サスガにいろいろ示唆に富む話があり、名目国内総生産に占める輸出の割合が、実は20%程度まで進み、内需拡大が必要だと言っているのと、輸出決済の円建て化が中国に負けている(円がグローバルカレンシーになっていない)という事を嘆いている。つまりは、日本の企業の競争力と、それに向けた日本政府の対応を、輪転機を回して大量にお金を刷ることなどの超金融緩和のみならず、ましてやなかなか出てきているようで出てこない成長戦略のみならず、強い円を作ることを意図した政策を実施することを求めている。

だったらなおさらアベノミクス登場当時にこういう文章を世の中に問うて欲しかったなぁ、日経・・・。