この前の放送部通信にも書いてけど「おもしろい」って何?って話。主に何かのスキルの習得の話ね。


どのようなスキルも人間は以下のように低成長期、高成長期、安定期を経る成長曲線を描く。



名称未設定-人間の成長曲線

 

同じようなことを言っている人はWebには多いみたいで「成長曲線」で検索したらいっぱいでてきたのでそれを画像編集ソフトで加工した。


3つの四角はそれぞれの成長期で1目盛りを超えるのにかかった時間をわかりやすくするために付けた。


新しい技術を習得しようとし始めたときは成長が遅い。最初の1目盛りを突破するのにかなりの時間を費やしていることからもそれがわかるだろう。それゆえにやっている本人には「伸びてる感」がまったく感じられず「練習のつらさ」だけが重く感じられる投げ出す、あきらめる、三日坊主になりやすい。


しかし、高成長期に入ると導関数であるf'(x)が徐々に増大し、四角がついているあたりが折線の傾きが最大になる。こうなると単位時間あたりの成長率がハンパじゃなくなるので放送部通信でも書いたように「先月とはまったく違う自分、昨日よりデキるようになった今日の自分」が感じられ、モチベーション この場合は「おもしろさ」がMAXになる。


しかしながら、仮に縦軸の最大値を100%(スキルの100%など理論的にあり得ないが)とすると70%を超えたあたりから成長率は急速に鈍化。3つ目の四角など最後まで1目盛りを超えられなかった。


こうなるとハンパなくツライ。しかもこのグラフには描かれてないが、本来なら人間の成長には全体として「下降圧力」がかかる、人間はほうっておくとなんでも「ヘタ」になるのだ。よってこの段階では横線を維持しているだけですさまじい努力が必要であるのにそれより上に伸びようとするならば気の遠くなるような努力が必要なのだ。


それでもまだ先行者がいるならばラクだ。「同じ人間がすることならば」と先行者のマネをしておけば、それでも劣化は最小限に抑えられる。困るのはトップランナーだ。なにしろ「努力の目安がない」のだから。


「果たしてこの努力は実力の向上に役に立っているのか?」


「本当に昨日より成長しているか?」


放っておくとすぐ疑心暗鬼に陥る。なんといっても「上に行くには血反吐を吐くほど厳しく、気を緩めた瞬間、ここ数ヶ月の努力が無に帰すぐらいのことは当たり前」という強烈なプレッシャーなのだから。



まぁこれは第一線で活躍しているプロフェッショナルのお話であるが、似たようなことは素人の世界でもある。伸びなくなればつまらなくなってしまうというのは。



これを打破するのはやっぱり2つ。



「違うことをする」


「日々の成果を克明に記録する」



なぜ、こんなことを書いているかというと過去、私はそれで塾講師を辞めている。もう1度大学生活をするのであるのだから塾講師を続けてもよかったし、何人かそのように勧めてくださったが、総合理工を退学するあのタイミングで辞めた。それは「おもしろくなくなった」からであり、その理由は「伸びなくなった」から。


ただ、今考えるとなんとでも対策は立てられたな、という自戒と反省を込めて文章にしている。


『違うことをする』



塾講師の話であれば、塾が用意した数値では授業アンケートや入会率などの数値は伸びなくなっていた。確かに努力すればまだ伸びたかもしれないが、ここから先は伸びが相当キツくなるのは、たかだかハタチ前後のまだ若い私にもよくわかっていた。そうなると、「費用」対効果ならぬ「努力」対効果が圧倒的に悪くなる。なぜバイトの学生がそんなワリにあわない努力をしなければならないのだ?  喜ぶのは進学会だけだぞ? という風にバイト先へのロイヤリティ(忠誠心)とはかりにかけてこっから先はワリにあわなくなる、と思ってやめた。劣化してもいいぐらいに手を抜いてもいいのだが、そうなると今度は時間の無駄だ。


しかし今考えるとそうではない気がする。


塾が用意した尺度ではワリのあわないレベルまで来てしまっていたかもしれないが、たとえば「楽しさ」を追求するなら、生徒が風邪をひいても私の授業をうけたいと思わせるレベルにまで達せられるか? という観点で「出席率」を統計とってもよかったし、主観的評価でもかまわないので「今日の授業で笑った生徒の数」を記録しておいて100%を目指すなど、いろいろ攻め方は合った気がする。尺度が変わればまた新たな成長曲線が適用されるはずなので、もう一度あの「おもしろい」を体験できたかもしれない。せっかく私はエクセルあつかったりするのが得意なのだから、まだまだイケた気がする。


まだまだ若かったな、私。 新しい分野でまた「ワリのいい努力」をすればよかったのだ。



『日々の成果を克明に記録する』


また、もう1つ。これは先輩のPDCAサイクルの論文をお手伝いしているときに思って、実際「やれやれ、この論文の考え方をあの時の私が体得していたら塾講師をもう少し長く続けていたかもしれないですね」と言っていたけれど、大切なのは記録すること、改善すること、成果を確認すること。そしておもいついたことは片っ端から実行すること、であることに気づいた。


考えてみればアンケートもテストも入会率も「今回はあんまりだったな。」「ふむ、よくできた方ではないだろうか」ぐらいにしか思ってなかったし、記録などとっていなかったし、改善しようとも思わなかった。よくも悪くも「なるようになるや」ぐらいにししか思っていない。これがコンマ以下3ケタ4ケタのレベルで管理していたらもう少し私のモチベーションは変わっていただろう。






なんでもある程度数をこなしてくれば、変化は感じられなくなる。刺激に慣れてしまえばいつかつまらなくなる。そうならないために大切なのはやはり、「昨日とは同じ今日を生きない」 これが大切ですね。



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