～ 9月15日の出来事 ～
【関ヶ原の戦い】
慶長五年(1600) 9月15日､
徳川家康 率いる東軍と
石田三成の指揮する西軍が
美濃･関ヶ原で激突､
東軍が西軍を破る｡
西軍では大谷吉継が自刃､
島津義弘の退却戦では
島津豊久､阿多盛淳が義弘の
身代わりとなり壮絶な討死を遂げる｡
また立花宗茂が京極高次の拠る
大津城を攻め落とし入城､
高次は木食上人の和議を受け入れ
高野山へ入る｡
一方､
直江兼続が最上方の
志村光安が籠もる長谷堂城を包囲､
山形城主･最上義光は
北ノ目城にいる伊達政宗に
使者と嫡子･義康を送り
援軍を依頼する｡
慶長五年のこの日､
戦国時代で最も有名な戦いといわれる
｢関ヶ原の戦い｣が行われました｡
結果として東軍が大勝しますが､
西軍も一方的に押されていたわけではなく､
ある出来事が起こるまでは互角､
もしくはやや優勢とも言える
戦況でした｡
そして､西軍の指揮官･石田三成が
常々懸念していたことが起きた瞬間､
西軍に勝ち目はなくなります｡
前日の夜､
風雨が激しく荒れ模様の天候の中､
西軍は大垣城(岐阜県 大垣市)本丸に
福原直高ら七千五百の兵を留守居として出陣､
関ヶ原へと向かいました｡
行軍には松明を使わなかったと
伝えられますので､
秘密裏の出陣だったことが窺えます､
西軍は直接､関ヶ原の各陣地へ
向かったのではなく､
九月二日 以来､
大谷吉継が布陣している山中村へと
集結します｡
三成らは偵察を出して
東軍の状況を確認しながら
軍議を開き､
それぞれの陣地を決定しました｡
一方､
東軍勢は西軍が大垣城を出陣したという
情報を得ると､
直ぐに準備を調えて後を追いました｡
先鋒は福島正則らで
午前二時頃に赤坂を出陣､
黒田長政らが二陣として続きます｡
更に井伊直政､本多忠勝らの
三陣が後を追い､
夜明け頃には両軍の布陣が決まります｡
両軍の総大将は､
石田三成が笹尾山､
家康は桃配山に本陣を構え､
静かに開戦の時を待ちました｡
やがて早暁から立ちこめていた霧も晴れ､
次第に緊張が高まります｡
そんな中､
東軍の先鋒･福島正則が小手調べとして
宇喜多陣へ弓鉄砲を放つと
同勢も応じますが､
本格的な戦いは
まだ始まっていませんでした｡
そこで家康は井伊直政に対し､
松平忠吉を補佐して戦いを始めるよう
命じました｡
つまり､
この時点で家康は戦いに
自信があった事になります｡
直政は忠吉と共に前進､
福島隊の前へ出ようとしますが､
正則の侍大将･可児才蔵に止められます｡
才蔵は忠吉の名に気後れしたのか､
やむなく道を開けると､
直政らはそのまま進み出て
宇喜多勢へ発砲しました｡
驚いた正則は全軍に攻撃命令を出し､
これにより福島隊と宇喜多隊が激突､
戦いの火蓋切られました｡
三成の布陣する笹尾山では､
島左近､蒲生頼郷が東軍勢に発砲しますが､
まだ大きな戦いには至っていません｡
しかし､
南の宇喜多勢周辺で大激戦となり､
戦機が熟したと見た三成は
島左近･蒲生頼郷隊に対し､
眼前の黒田長政･田中吉政らに
攻めかかるよう命じました｡
注目すべきは､
この戦いで西軍から攻撃を仕掛けたのは
唯一､三成勢だけだったという事です｡
ところが思わぬ誤算が生じます｡
島左近が黒田勢の銃撃を浴び
負傷してしまったのです｡
左近は兵に両脇を抱えられて
後方に退き､
これに乗じて黒田長政は
突撃を命じますが､
蒲生勢が踏ん張って
東軍の進撃を食い止め､
こちらも大激戦となりました｡
戦いは全線に拡大､
両軍入り乱れて誰が何処で
戦っているのかさえ見分け難いような
乱戦となります｡
小西行長が早々に戦線を離脱したものの､
西軍は踏ん張り一進一退の状況が
続きました｡
すると その時､
不気味に戦況を守っていた西軍の一隊が､
突然戦場の南に位置する松尾山を駆け降り
西軍勢に攻めかかっていきました｡
その一隊の将は小早川秀秋で､
一直線に大谷吉継勢の側面に
襲いかかります｡
吉継は劣勢ながら奮戦､
小早川勢を押し返しますが､
その時､戦況を傍観していた
西軍の脇坂､朽木､小川､赤座の四隊までが､
大谷勢の背後に襲いかかりました｡
もはや大谷勢に新手を食い止める
余力はなく､
奮闘の後に吉継は自刃します｡
この状況に家康は総攻めを指示､
西軍は総崩れとなり､
わずか半日の戦いで雲散霧消しました｡
島津義弘は果敢に敵中突破を行い､
甥の豊久らを失いながらも
かろうじて戦場脱出に成功しますが､
眼下で大激戦が繰り広げられていたにも
関わらず､
南宮山にいた毛利勢はついに山を降りず､
長宗我部勢もまた参戦せず
戦場を離脱しています｡
これにより家康は対抗勢力を一掃､
天下平定を成し､
やがて江戸幕府を開き
初代･征夷大将軍となります｡
