自活屋 徳々の 心にグッとくる小説 痴人の愛/谷崎潤一郎 | 自活屋徳々の誰にも読まれない役立たずな随筆

自活屋徳々の誰にも読まれない役立たずな随筆

あくまで自分の関心のあることだけを綴る随筆で、それが誰かの役に立つかどうかは読み手に委ねるところ。
私が一番関心あるものは、どうやって死ぬか。死に様は生き様の末路、ならばそれまでの行程は、激しく穏やかに溌剌と愉快に生きてゆきたい思いです。

将来美人確実の家出娘に一目惚れし
同居生活にもちこんだ僕、譲治
洋服、食事、習い事
欲しがるものは何でも与え
一流の女に育てようとしたが、、、
いつしか、あいつは僕を
完全に支配下に置いていた。



読み終えてこれほど色んな思いが
駆け巡る作品はそう多くない。
何ならお酒でも飲みながら
誰かと語りあかしたくなる。

ポイントだけまとめておくと
以外のようになる。

1、本作は大正文化を描いている

にも関わらず令和にも通ずる

普遍的なテーマがある。


2、主人公の譲治が若妻のナオミに

翻弄されていく姿に自分を重ねてしまう。


3、元来男性は女性に翻弄される

マゾヒズム的要素を持っていると思わせる。


4、掴みどころのない魔性の女、

悪魔のような本性が暴かれていく

彼女の言葉責めは

SMのハシリではないかと思わせる。


5、自分の中のMとは何かを考えさせられる。

まだまだあげればきりがないので続きは、

谷崎ナイトで!(笑)


男性がこの小説を読むと

意見が分かれると思います。

私のようにM気質なものには

グッときますが、

ドSな人には受け付けられないでしょう。

ドSな方はどちらかと言うと

ナオミに自分を投影するかもしれないですが、

ナオミは女性なので

男性より女性に支持されると思います。


私もかつてナオミのような女性を好きになり

人生を翻弄された経験があります。

でも本作を読んで

人の振り見て我が振り直せじゃないけど、

なぜナオミのようなモンスターを

生み出したのか、

非常によくわかりました。


ナオミの本来持って生まれた天性であり、

譲治の心の弱さ故にであり、

今も昔も男女間を悩ませる問題は

普遍的であると思わせてくれます。


男性は女性に愛され支えられていると

思えるからこそ

人生を切り開いていけるわけで、

それでも支配下に置かれた愛憎に溺れることを

心のどこかに秘めている。

そんな風にも思えます。



最後に植木等さんの言葉でまとめます。


わかっちゃいるけどやめられない。




自活屋 徳々