宇宙船
私は希望を失って 大気圏を外れ
地上に落下してゆく
ビルが石柱のように立っているのが見える
私に不可思議な力が働く
枯葉より早く落ちる速度だ
ニュ―トンが林檎で
万有引力の法則を知った日のように
空はどんよりと暗く 寒い
血漿が凝縮してしまう
私は肌を摩擦する
赤い光を放って
意識が燃える
空気振動を生じる
北極点でオーロラが観測される日
私が燃えているのだ
駅
山を見ている
緑の林と岩壁の輝き
俺が山の駅で
方向を失った時
少年たちがトンネルの
狭い階段の下で
唇を曲げて笑っている
「レールの傾きはどうだい」と
線路工夫が聞く
少年たちは
首を振るばかりだ
闇の中レールが
ずーと延びている