昔書いていた詩 (41) 「種子」「期待の海」「疑う」 | たろうくん(清水太郎)のブログ

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八王子の夕焼けの里でniftyの「清水中世史研究所」(八王子地域の中世の郷土史)とYahooで「清水太郎の部屋」として詩を書いてます。

清水太郎の部屋のブログにアクセスありがとうございます。八王子は寒いです、夜中から雪の予報です。娘は彼氏の大学の卒業式に行っています。

    種子

 都会の路地裏に置かれた
 白いタンブラーに
 貴女は向日葵の種を植えたんだね
 毎日の生活に追われて
 土の柔らかさも知らず
 その存在も 貴女も忘れていた
 
 私の喧藻と狂乱の時代は 今も続いているから
 神の知恵の輪を解く
 叡知も勇気も私は 失いかけている
 
 ひとり 「そうだ」「違う」と呟いてばかりだ
 そして 開かずの踏切を渡るときのように
 立ち止まって待ち続けている
 
 貴女には帰る場所があるのに
 私の名前は神々の掲示板に
 斜めに貼り付けられたままだから
 私は冬眠中のカマキリの幼虫みたいに
 木の枝にへばりついている
 
 
    期待の海

 或日 期待しなかった
 一通の手紙が 舞い込む
 私は毎日 決まった時間に帰ってくる
 何かを 働きかけなければ 
 何も起れはしない
 それは 真理だが
 それでも 私は 何かを待っていた
 或日 舞い込んだ 一通の手紙が
 私を 遠い所へ
 運んでしまいそうだ

    疑う

 いまこうやって ひとり
 考え込んでいるのは 俺だろうか
 機械の中に混じって
 忙しそうに 働いているのは 俺だろうか
 
 抜けてしまいそうに
 青い空の下に 広がっている
 コンクリートの 道の上を
 歩いて行くのは 俺だろうか
 
 何時か 右手を揚げて
 貴女に挨拶した そんな季節があったね
 今年も俺は右手を 揚げるだろうか
 鏡の中の俺は 真逆の俺だが
 左手で 疎らな髭を 抜いている
 俺を 俺が見ている