今書いている詩(172)
反射鏡
僕は青春時代を
狭い庭に埋めた
木桶にはいった
箱を掘り出しては磨く
僕は夢の中で
そんな作業を繰り返しやっている
時代が要求するで訳ではない
僕の記憶がそうさせるのだから
僕は過去形のついた
人生を磨いてているのだ
今はその家も故郷になってしまった
中央高速の下で無数のタイヤに踏まれている
僕の一家は新しい家も買えずに
借家暮らしを続けている
僕の育った家は父と壊した 燃やした
最後の掘っ立て柱を
僕は空手の廻し蹴りを加えて倒した
得意になっている僕を見て父は
一瞬 眉を吊り上げた
掘っ立て小屋の家は良く燃えた
疎開で父と母が二人で立てた家が
燃える 燃える 燃える
父母の夢も思いでも燃える
今僕の記憶だけが
燻ぶっている
#父