昔書いていた詩(82) 「山男」 「梶原杉」 | たろうくん(清水太郎)のブログ

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八王子の夕焼けの里でniftyの「清水中世史研究所」(八王子地域の中世の郷土史)とYahooで「清水太郎の部屋」として詩を書いてます。

   山男

 街の中を歩いている
 自動車に乗っている
 駅の階段を昇り降りしている
 机の前に座っている
 何処にも山の欠片はない
 山を放棄した男
 頭の中で山に登るんだと云っている男
 何時から君はそんな男に
 変わってしまったんだ
 絶壁の上から
 墜落する明日を
 見てしまったからだろうか


    梶原杉

 杉の木を一本
 切り倒したら
 町が村であった時代を
 人々は思い出した

 押し寄せる時代の
 洪水の中の杉の木は
 過去の小宇宙と
 対の巨木であったが

 テレビ万能の時代には
 何処にでもある
 大木でしかなかった

 今 杉の木は  
 郷土資料館の玄関で
 ローマの勇者の
 石弓となって
 切株を
 晒している