レストランや喫茶店に行くと、ムスコのガル男が「足りねぇんだよなぁ」という顔をすることがある。
それは何かというと
紙ナプキンである。
食べ終わった後、口の周りについているかもしれないタレやソースなんかをちょんちょんとおさえて拭く、というのが一般的な紙ナプキンの使い方だと思うのだが、欧米人は、紙ナプキンを口に当て、その両サイドに置いた手で、折りたたむように口角駅を出発して中央リップ駅へ向けてずずず~とこすって最後拭き上げるように口から離すスタイルが主流。しかも食後でなく、食中からガンガン。
もともと一つの食べ物の中に、パンも肉も野菜もソースもと集めている食べ物が多いアメリカで、ガブっとかんだ時に、口よりも食べ物のサイズがデカいことが多く、一口サイズにしてお箸でお口に運ぶ日本人に比べると、
どこまでを口やと思てんねん
と言いたくなるほど、がっつり汚れるのである。
そのため、紙ナプキンは「ついているかもしれない汚れ」を席に立つ前に取るのではなく、「ついてて当然汚れ」を食事中に何度も取るものという存在なのだ。
その食べ方、拭き方のままのガル男は、日本の喫茶店に置かれた、縦長のナプキンで拭きつつ
小っさ、かった
とブツブツ言いながら口を拭くのである。
クシャっとなった
紙ナプキンを見ながら、ガル男が一口サイズを学ぶにはまだまだ時間がかかり、このナプキンでは拭き残しが往々にして発生するだろうと思ったオカン。
そこで、ある一つのフレーズをガル男にプレゼントすることにしたのだ。
口の周りに残った汚れを女子に「なんかついてんで~」と指摘された時は、
つけてんねん
そう答えよと。このフレーズさえあれば、その瞬間から「きたな!」は「笑い」に変わる。その笑いは、しばらく使えて、しばらく生きる。その間に、ナプキンいらずの一口サイズを覚えるのだ、ガル男よ。
健闘を祈る。
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