旦那のいない日に限って起こる非常事態
これは子育て世代にはよく起きる。旦那のいない、しかも金曜の夜、または連休前日に子供が熱を出したり、怪我をしたり。こと海外では、狙ってやってんのか、と思うくらいの高確率で発生するのだ。
旦那が日本に帰るハズだったが国内線の遅延により乗り継げなかったあの日、我が家ではムスコのガル男に異変が起きていたのである。金曜の夜だった。
学校から帰って、ちょっと疲れたと横になり、おやつを食べ、珍しくワタシのベッドで横になっていた。昼寝でもするのかな、と放っていたのだが、夕飯になっても起きてこないので、様子を見に行くと、熱がある。「胃のあたりが気持ち悪い」というので、背中のマッサージを少ししてやった。その後、手の指を少し揉んでやろうとすると、ぎゅ~っと勝手に指が中に戻ってくるのである。それはまるでオオバコの葉の筋を引っ張るとべこ~んと曲がってくるような。
なんやコレ
すると、足もしびれてる、と言い始め、次第にアゴも・・・と。
普通でないことだけが山盛りわかる。いつも行っている近くの救急は24時間ではないので、閉まっている。さて、どこに運ぶか。
そして思い出したのである、看護師をしている友人のことを。彼女はダウンタウンのど真ん中の救急でナースをしている。一か八か彼女の携帯にメッセージを入れた。すると、すぐに返信。「今、救急で勤務してるから、すぐ連れておいで」と。
ガル男、吐きそうと、症状がまた増えていたので、ゴミ箱にビニール袋をかまして持たせ、車に投げ入れて、高速を飛ばした。途中、静かになってしまったガル男。
アカン意識飛んだか!
と、腕をツンと強めに押すと、動く。おっ、大丈夫、とまた車を飛ばす。警察につかまったら、事情を話して先導してもらおうと決めていたので、速度気にせず。
滑り込んだ救急の待合。椅子に座ったかと思ったら、すぐ名前が呼ばれ、バイタルチェック。血糖値も計ると指から採血。友人がきっと手配してくれていたのだろう、実にスムーズだ。
その後一旦待合室に戻り、検査結果と診察を待った。友人のナースが何度か様子を見に来てくれ、血糖値の値にさして異常なしとも教えてくれた。
そして、しばらくして、診察室に呼ばれた。なんだろうか、頭上にいっぱいぶら下がるコード、濃い目のぐんじょう色のベッドに優しさの足りない壁の緑・・・
少しするとドクターが現れて、症状からして、過呼吸だな、と言う診断であった。あんなゆっくり横になってて過呼吸とは・・・
ドクターが「ストレス、プレッシャーかなんかがあるんじゃやない?」と聞いてきた。
「オーボエかな、サックスの春のコンサートのデュオかな」とか言い出すガル男。
不安症のきらいのあるオカンは知っている。最初にポンと出てくる理由は、本当の理由でないことを。こうして診察が終わるころには、ほぼ症状はなくなり、帰宅許可も出て、帰ることとなった。
帰りの車の中でゆっくり話す時間をとったガル男とオカン。過呼吸を引き起こした原因は「そこだな」というところに少し辿り着くことができた。友人とズボンずらしてパンイチで写真とって爆笑してるようなアイツも、色々考えたり抱えたりしてんだなぁ、と。ため込めないカラダだと知れたこともいい経験。少しずつぶ厚くなれるように、ちょっとずつ進もうぜ、ガル男。
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