ネバダ州代表の中高生が集まってコンサートを行ったあの日のこと。
プログラム最後、高校生のシンフォニーバンドがステージに登場し、マエストロは、Mr.ウチムラ~と紹介されたのだ。名前はアメリカンネイムだったのだが、日本の名字やんか、と旦那とふたり前のめりになった。
なんだか親近感がわき、彼に注目して演奏を聴いていた。曲と曲の間には、マエストロが次の曲紹介をする。その紹介が終わり、クルリと後ろを向き、タクトを持つ前に彼が必ずすること。それは
ずれたズボンをぐいぐいっと上げるという仕草。そう、ひふみんや友近扮する西尾一男でお馴染みのあの動きである。
会場からもれる笑い声。
そうか、とあるコトを思い出した。
以前アメリカ人の男性に聞かれたことがある。
「日本人の男性って、なんであんな上までズボン引っ張って履いているのか」と。
それを聞かれてからアメリカ人の中年男性のズボンのはき方を見るようになったのだが、その出っ張った腹の下にズボンの頂点をもっていく、いわゆる腰パンスタイルが主流だったのだ。
まぁ、わがままに育った腹というのが共通項であり、その腹のてっぺんでベルトを締めるか、下で受けるか、の違いなんだとおもうが、腹の頂点付近でベルトをしめる日本スタイルでは、動いている間に、腹も収縮するのでズボンが下にずれる。なんせ、ストッパーが腰骨になるので腹からの距離がある。よって、ずれ幅がでかいので、戻す作業が大きくなるのだ。
しかし、腰パンスタイルのアメリカ人の場合はというと、そもそも腰骨の直上でとめているので、さしてずれない。
ということは、あのぐいっと持ち上げ、なんやったら、ちょっとおさまりよくカラダを左右にゆらす、という行動は、日本独自となるのではないか・・・。
よってアメリカ人たちには、『クセのある動きをするマエストロ』と映り笑いが起きたということに。
次の曲が始まる前、なんだか不思議な期待感が会場を包む。そしてマエストロがぐいぐいっとする。そして再び起こる笑い。オーディエンスがマエストロのクセのある動きの虜になってしまい、
ぐいぐい待ち発生
アメリカ人たちの初見ぐいぐいはあっという間に受け入れられていったのである。
マエストロは、日系3世だったのだが、じいちゃんの代からこの『腹のてっぺんベルトスタイル』が脈々と受け継がれているのかと思うと、我々にとっては見慣れているその行動だが、なんだか急に愛おしくなってしまったのである。
ロータリークラブのランチ会なんか、てっぺんベルトしかいてないかも。