こんにちは。
先日のことになりますが……
シャンパーニュ委員会日本事務局主催のブラインドテイスティングディナーが
『鮨からく』さんで開催されました。
鮨からくさんと言えば、大将の戸川さんは非常にワインに造詣が深い
ことで知られています。しかも、今回はシャンパーニュに特化した
マリアージュということで……どんな提案がなされるのか、
ワクワクして臨ませていただきました。
カウンターにズラリと並ぶグラスの列は圧巻です。
今回はブラインドなので、エチケットはすべて隠されており、
銘柄は全くわかりません>< 先入観のない、まっさらな気持ちで、
お寿司と、ワインと対峙します。
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まずは全5種のうち、①~③までのシャンパーニュが注がれました。
さっそく味わってみると……
①は輝きのあるレモンイエローで、シトラス系アロマやミネラルの
ニュアンスにあふれています。酸が豊かでフレッシュな印象を持ち、
余韻にはミネラル由来の塩味を伴います。この爽快なイメージから
ブラン・ド・ブランを予測。ナプキンに覆われたボトルの形からも
(これはズルイですね)勝手ながらリュイナールをイメージ。
②は①に比べてやや濃いイエロー。香りは熟したシトラスや、
リンゴや洋ナシのフルーツ、そしてイースト香が絶妙に融合。
味わいは酸と果実味のバランスがよく、エレガント且つ旨みを伴う
長い余韻へとつながります。これは主要3品種がバランスよく
使われているタイプだと推測。銘柄は全く想像つかず……
③は色調が一番濃く、黄金色を伴っていて、黒ぶどうの
使用比率が高いことを連想させます。香りは、熟したカリンや
黄桃、ブリオッシュ、そしてミネラル。味わいは華やかな果実味に
あふれていますが、余韻は予想以上にドライで引き締まった印象。
ドサージュが少なめの、ピノ・ノワールとムニエをアッサンブラージュ
したブラン・ド・ノワールを予想。銘柄分からず。
テイスティングしているうちに、これら3種のシャンパーニュに挑む、
「つまみ」と「握り」が攻めてきます。
まずは①のシャンパーニュのお相手から。
つまみは、キャヴィアとトリュフがあしらわれた烏賊とウニ。
しょっぱなから何とも贅沢な提案!シャンパーニュの塩味やミネラル感に、
ウニとキャヴィアが持つ、磯のニュアンスが寄り添います。
トリュフの香ばしさは、シャンパーニュのイースト香に同調。
そして握りは、ほのかに柚子の香りをまとった鯛とホタテ。
シャンパーニュの持つシトラスのニュアンスが柚子と調和し、
これまた相性抜群です。
次に②のシャンパーニュのお相手が登場。
つまみは加茂茄子の揚げだし。ナスがたっぷり吸った出汁の旨みが
シャンパーニュの持つ余韻の旨みに寄り添います。一緒に出された
カイワレサラダ(写真撮り忘れ)も香味豊かなお口直しで、
シャンパーニュの「爽やかさ」と「複雑味」、それぞれの魅力を引き出して
くれました。
握りは、ワイン酢漬けのシマアジと鯛の昆布〆。ワイン酢の酸味や
昆布の旨みが、シャンパーニュの伸びやかな酸と滋味深い旨みに
なじんでゆき、ハッとさせられるマリアージュ。
そして③のシャンパーニュにはこちらが挑戦!
つまみは鰯のポン酢焼き。ポン酢の甘しょっぱさが
シャンパーニュの持つ酸、果実味、旨みに溶け込み、
滋味深いマリアージュが完成されていました。
握りは中トロと大トロの炙り。シャンパーニュの緻密な果実味と
骨格がトロのボリューム感を受け止めます。炙った大トロの
香ばしさは、シャンパーニュのブリオッシュのようなイースト香と同調。
ここまできて……鮨シャンの奥深さを改めて実感。
細やかな仕事が施されたネタはもちろんのこと、シャリの持つ酸味や
塩味や仄かな甘みまでも意識して、シャンパーニュを合わせて
きているというから、興味深い。。。
感慨深さに浸っている間もなく、④と⑤のシャンパーニュが登場!
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④は、外観はやや淡いレモンイエロー。①同様、爽やかな柑橘系
アロマを予想しながら香りをとると……①とはまた違った複雑味に
あふれています。特に酵母のニュアンスが前面に出ているのが
印象的で、香ばしさに加え、熟した果実や花のみつやミネラル感や
スパイシーなアロマが絶妙に溶け合った奥深い香り。
味わいもまた複雑で旨みにあふれ長い余韻に繋がっていきます。
これはシャルドネ比率の高い、かなり長い瓶内熟成期間を経た
タイプだろうと予測。銘柄は分かりませんが、クオリティーの高さが
ひしひしと伝わってきます。
そして⑤は外観でロゼワインというのは一目瞭然。淡いサーモンピンクの
色調で、香りはミネラル、小さな赤い果実、アセロラ、アカシアの花のみつ、
仄かなピンクペッパー、酵母のニュアンス……などこれまた多彩。
味わいは赤いベリーの豊かな果実味に、フレッシュで伸びやかな
酸がともない、エレガント且つバランスの良いスタイルです。
セパージュは分かりませんが、ピノ・ノワール主体のロゼを予測。
銘柄はこちらも全く分からず。。。
さて、④のマリアージュのお相手は……
まずは、フルーツトマトとズワイガニのミルフィーユが登場。トマトの
甘酸っぱい果実味と酸、ズワイガニの持つ磯のニュアンスや
甲殻類ならではの旨みが、複雑性のあるシャンパーニュが持つ
様々な要素と同調していきます。
握りは、シャンパーニュのイースト香や熟成のニュアンスに寄り添う
要素が盛りだくさん。
鯛の皮焼きの、皮を炙った香ばしさ……
そして鯛ゴマ漬の、ゴマの食材の持つ香ばしさ……
更にはトロタク巻のたくあんの持つ、干した根菜の香ばしさ……
酸やミネラル感を意識したマリアージュは白ワインでもできるけれど
このように、瓶内熟成による香ばしさを捉えたマリアージュというのは、
シャンパーニュにしかできないアプローチだと再認識。
うーむ、、、ますます興味深い☆
そして、料理もいよいよ真骨頂に。
⑤のシャンパーニュに合わせて登場したのは……
つまみは、ロゼワイン入りのサーモンのしょうゆ漬け。これはもう、
言うまでもなく相性抜群。料理にロゼワインが入っていることで、
それぞれがよく馴染みますし、醤油の持つ塩味や発酵のニュアンスも、
ロゼに心地よく寄り添います。
握りは、赤身の漬けとアナゴ、そしてトドメはイクラ丼と、四方八方から
攻めてきます。赤身の漬けの醤油の風味や鉄っぽさ、アナゴの
ふくよかな食感や煮詰めの甘美な味わい、そしてイクラの塩味と
リッチな口あたり……こうした食材の持つ多様な個性を、
ロゼシャンパーニュが、もれなく受け止めてくれるから驚き。
シャンパーニュやロゼワインはどちらも「マリアージュの汎用性が
高い」と言われていますから、それぞれの要素をあわせ持つ、
ロゼシャンパーニュは、最強ですね!
さて、奥深いマリアージュの余韻に浸っているところで
正解の発表!!
≪正解≫
①Mumm RSRV Blanc de Blancs 2012
②Jacquart Brut Mosaique NV
③Bourdaire Gallois Tradition NV Extra Brut
④Ruinart Dom Ruinart 2006
⑤Louis Roederer Brut Rose 2011
スタイルや醸造アプローチは、ある程度近しいものが予測できて
いたものの、銘柄はまったく分かりませんでした。
しかも③以外は飲んだことがあるメジャーなものばかり……
ボトルの形からリュイナールと踏んだ①をはずし、しかも④がその
プレステージラインだったとは、なんだか皮肉な結果。
やっぱりボトルの形で判断するという姑息な手段を使うと
ロクなことがないのですね(笑)
そして③がムニエ100%というのもまた、こう来たか!という感じ。
まだまだ修行が必要ですね。。。
でも、本当に楽しかった!
シャンパーニュが持つ、凛とした酸やミネラル、熟成由来の
香ばしさや旨み……といった特徴を、食材や調味料の風味と巧みに
調和させる戸川氏の提案に一瞬にして引き込まれ、時間が経つのが
あっという間でした。
タイプの異なるシャンパーニュ5種それぞれの個性をしっかり捉えた
興味深いマリアージュの提案に感服!!
そして、シャンパーニュ委員会日本事務局代表の川村玲子氏はじめ、
ご一緒した大先輩方のコメントも大変勉強になりました。
いまや「鮨シャン」も当たり前のように楽しまれる時代ですが、
つまみやネタ、更にはシャリのスタイルによって、合わせる
シャンパーニュを選んでいけたら、その楽しみは無限大ですね☆
貴重な機会をありがとうございました。
information
![メモ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/131.gif)
鮨からく