こんにちは。
2017年の年明け……
乃木坂の和食店『卯の刻』にて
とても貴重なワイン会が開催されました。
発起人はレコール・デュ・ヴァンの金海先生。
『神の雫』の原作者でいらっしゃる樹林伸さんや
今もっとも注目されている日本のワインメーカーのひとり
中央葡萄酒の三澤彩奈ちゃんがゲストという、
何とも贅沢な会です。
今回は日本ワインの中でも『古酒』がテーマ。
畑先生の声がけで、ワインスクールとも親交が深い、
ルミエールさんやマンズワインさんなど、各ワイナリー様から
貴重な古酒をご提供いただきました。
見たこともないエチケットのものもあり……
期待に胸がふくらみます。
サービス担当は田辺先生。ワインの供出温度やグラスなど
細やかなところまで、気遣ってくださり、とても良い状態で
提供してくださいました。
さて、さっそくいただいたワインをご紹介したいと
思います。
ルミエール 甲州 光(ひかり) 1985
こちらは、ルミエールの創業100周年を記念して醸造された
特別な甲州ワイン。厳選された甲州種で造った白ワインを
14年間タンクで熟成させ、更にシャトー・ディケムの
オーク樽で18ヵ月熟成させて完成されたものです。
あんずやハチミツのような甘美な香りが漂い、
口に含むとほんのり甘い「みりん」のようなニュアンスが。
一方、エッジはシャープな印象で立体感をも感じられます。
樹林さんも「びっくりするぐらいちゃんとしている」
「保存状態もすばらしい!」と興味深く味わって
いらっしゃいました。
マンズワイン ソラリス信州 東山 カベルネ・ソーヴィニヨン
1997
さて、お次はマンズワインの最高級ライン「ソラリス」の
カベルネ・ソーヴィニヨンを。マンズワインならではの
レインカット栽培で大切に育てたブドウを使い、
フレンチオークで12ヵ月熟成させた、端正な一本です。
樹林さんは、むかし軽井沢でソラリスを買って
よく家で飲んでいたそうで、とても思い入れのあるワインなのだとか。
「必要以上に手を加えておらず、カベルネソーヴィニヨン
そのままの魅力がしっかりと表現されています。ナチュラルで
ワインらしくて、最も好きなタイプですね」と、大絶賛。
彩奈ちゃんも「素晴らしいと思います」と、コメントしてくれました。
ワインに合わせてお料理もじっくり堪能
七草がゆをイメージした、焼きおむすびと、牡蠣、セリ、筍
のあんかけや……大分産の天然鯛のお刺身。
氷見の寒ブリとフキを山形牛で巻いたこだわりの一品や
柚子が品よく香る、聖護院蕪と鶏つくねなど、味わい
深い料理が次々に登場します。
食材の繊細な味わいやお出汁の旨みに、
心地よく上品に熟成した日本ワインが滋味深く
馴染んでいき……至福の境地に。
マンズワイン 千曲川産メルロー 1995
さて、お次は同じくマンズワインのメルローを。
ワイン用ぶどう造りの環境に恵まれた、長野県千曲川
沿いの契約栽培地で収穫されたメルローを醸し発酵させ、
しっかりと樽熟成をさせた、こちらも長期熟成型のワイン。
色調はおだやかで、香り、味わいともに、非常に優しく
タンニンはその存在を全く感じさせないほど、柔らかく
しなやかに溶け込んでいます。メルローらしい
まろやかさが口中にしみじみ広がって……これまた美味。
樹林さんいわく、こちらは「巧みな技術力で美味しさを
引き出している印象」だそうで、ブドウの持つナチュラルな
魅力を感じたカベルネ・ソーヴィニヨンとまた対照的で面白い。
そしてお次はこちら↓
マンズワイン 万寿農場カベルネ・ソーヴィニヨン 1986(サンプル)
なんと市場に出回ることのないサンプル品をご提供
くださいました。山梨で87年まで運営していた試験農場で
育てられたカベルネ・ソーヴィニヨン100%で造られた
日本ワイン黎明期の傑作ともいえる一本です。
樹林さんはこのワインを
「メルローみたいな土っぽさを感じるワイン」
「ミラクルで‟分からない”ワイン」という表現をされました。
30年の熟成を感じさせないしっかりとした色調の抽出や
このメルローを思わせる香りがどこから来るのか……
確かに謎めいた神秘的な1本です。
彩奈ちゃんも「この時代にこんなスタイルを造れて
いたのがスゴイことだと思います」とコメント。
お料理もどんどん進み……メンチカツに続き、フォアグラが
ドーンと豪快にのったフォアグラの炊き込みご飯が登場。
こちらのご飯、なんと赤ワインで炊いているのだそう。
フォアグラのコクと脂、赤ワインの複雑なアロマが
ごはんの一粒ひとつぶにしみこみ……至福の〆ごはん。
マンズワイン ソラリス古酒甲州 1993
甲府盆地東部の標高の高い産地で育った遅摘みの
甲州種を使い、窒素ガス置換したグラスライニング
タンクで酸素を断って、じっくりと熟成させて造った
という、印象的な甘口ワイン。
色調から、かなりの極甘口を想像していたのですが……
とても自然な甘さで酸も美しく、とても心地よく
感じられました。フォアグラともベストマリアージュで、
スイスイとグラスが進んでしまいます。
グレイスワイン 甲州 1980年
こちらは彩奈ちゃんが持参してくださった、36歳になる
甲州ワイン。なんと彩奈ちゃんのおじい様が彼女が
生まれた記念に瓶詰めしたものだそう。そういう
ストーリーも一緒に味わえるのもワインの魅力です。
残念ながらこちらのワインはブショネだったのですが……
それでも、元のワインのクオリティの高さを感じることが
できましたし、何よりも、おじい様の愛情や歴史の深さを
しみじみと感じることができ、本当に貴重な体験でした。
そして……
今回ご一緒くださった、㈱東京葡萄酒の枦山さんより
樹林さんの生まれ年である1962年のワインを
サプライズでプレゼント!
こちら枦山さんが山梨県まるき葡萄酒の醸造責任者
の薬袋さんにお願いし、地下のセラーに眠っている
約38000本の在庫の中から1962年の一升瓶を探し出し、
味わいを確かめ、ボトル詰めしてもらった甲州なのだそう。
まるき葡萄酒さんでは、1972年以前のワインは商品化されて
いないということで、まさに秘蔵ワイン!樹林さんも
いないということで、まさに秘蔵ワイン!樹林さんも
とても喜んでいらっしゃったようで、大切にお持ち帰りに
なりました。
樹林さんと枦山さん
さて、会も終わりに近づいたところで……
お店のワインリストにオンリストされているグレイスワインの
『キュヴェ三澤 明野甲州 2014』を最後にいただきました。
その凛とした透明感、洗練された酒質に、体が浄化
されるよう。。。彩奈ちゃんいわく、2014年は非常に涼しい年で、
糖度20度を超えないのではないか……と心配した
年だったのだとか。しっかり熟成した粒を選りすぐるために
なんと7回にも分けて収穫を行ったのだそうです。
造り手自らの体験をうかがいながら味わうワインは
まさに格別の美味しさ☆味わってみると、のびやかな
酸がしっかり存在していて、甲州のピュアさが美しく
際立っていました。
造り手の想いや、その歴史を感じながらいただくワインは
本当に味わい深く……日本ワインの素晴らしさと今後の
可能性を改めて実感することができたと思います。
自分は微力だけれど、その魅力を少しでもたくさんの人に
伝えていけたら嬉しいです^^
ご一緒させていただいた皆様、本当にありがとうございました!
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卯の刻