こんにちは。
あっという間に月曜日。
今年も残すところあと2週間となりました。
1日1日を大切に残りの2016年も駆け抜けたいと思います。
さて、先日は「シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会」
日本事務局主催の素敵なシャンパーニュのお勉強会に
お招きいただきました。
会場は、外苑前から徒歩数分のフレンチレストラン
『Prévenance H.Shizukai』さん。
静井シェフのお料理とともに、6種類の多彩な
シャンパーニュを楽しむという何とも素敵なコンセプト♡
しかもワインテイスター大越先生の解説つきという
贅沢な会です。
日本事務局代表の川村玲子氏のご挨拶に続き……
さっそく1杯目のシャンパーニュで乾杯。
あれ?銘柄が気になるところですが……
ワインリストがどこにもない!!
実は今回……前情報ゼロのブラインドテイスティングという
挑戦的な試みで、、、
どのあたりの村で、どんな造りをしている、なんの銘柄か、、、
といったことを模索しながら味わおうという企画だったのです。
というワケで、
同席させていただいた先輩方と、あれこれ楽しく推測しながら、
固定概念抜きで、目の前のグラスと向き合いました。
さてさて、アペリティフのシャンパーニュは、
第一印象からとても華やかで立体感と深みがあります。
心地よい酵母のアロマ、熟したカンキツやオレンジピールに
フローラルなニュアンスも。味わいはフレッシュで、キレイな
ミネラル感が全体を支え、口あたりはキメ細やかでまるみがあります。
こちらに合わせていただいた、華やかなアペタイザー達が
こちら。サボイキャベツのチップや雲丹とキャビアのタルト、
といった多彩な食材たちのフリットです。これらの香ばしさと
酵母のニュアンスは言うまでもなくキレイにマッチ。
鱈のブランタードのクリーミーさが 泡のまろやかな
テクスチュアとも同調して、美しく安心感あるマリアージュでした。
そして、正解の発表ーー。
Henri Giraud Blanc de Craie
アイ村のシャルドネを使った、アンリ・ジロー
ならではのブラン・ド・ブラン。黒ブドウで知られるアイ村の
テロワール、そして樽の使用により、「スッキリ爽やか」
という教科書的なブラン・ド・ブランのイメージを覆す
ボリューム感と複雑味を呈しているスタイルです。
こちら、何回かいただいたことがあったのですが
思いつかず……しょっぱなから撃沈><
追って、くぬぎ鱒のタルタルが登場。燻製クリームの
スモーキーさやシトロンの酸を意識しながら
この個性的なブラン・ド・ブランを楽しみました。
こんな感じで、乏しい感覚を研ぎ澄ませながら……
テイスティングが進められていきます。
①Billecart-Salmon Brut Reserve NV
お次に登場したシャンパーニュは、複雑というよりは
クリアで洗練された印象で、フレッシュな果実味がキレイに
際立っています。カンキツ、洋ナシ、カリン、淡い黄色い花
といったアロマが心地よく、バランスのとれた味わい。
こちらの正解はビルカール・サルモン。
低温発酵×ステンレスタンクという醸造アプローチにより、
ピュアな果実味がしっかり引き出されているのだとか。
40%ものリザーヴワイン比率により、絶妙なバランスが
完成されていて、明確で安定した味わいです。先にいただいた
樽を使ったアンリジローとの対比がまた興味深い☆
そして、マリアージュのお相手はホタテのポアレ。
プリッとしたホタテの食感にクリーミーな発泡が心地よく
溶け込んでいきます。クルミの香ばしさとラルドのリッチな
風味が加わることで、ビルカール・サルモンのクリアな味わいに
もう一歩、奥行きが加わるようでした。
②Geoffroy 1er Cru Cumieres Expression Brut NV
お次は、しっかりしたストラクチュアとボリューム感を
感じる一杯。心地よいイースト、スパイス、ドライアップル、
ナッツ……といったふくよかなアロマが立ち上り、
味わいは果実味豊かながら、ドライな余韻を持ちあわせます。
フォアグラのお料理と聞いただけで「ドサージュ多めなのが
出るのかな?」と短絡的に考えていたのですが、それが
小気味よく裏切られ……頭の中は、またまた迷宮入り><
正解はヴァレ・ド・ラ・マルヌのレコルタン、レネ・ジョフロワ
による黒ブドウ主体(M50%、PN40%)のスタイル。
やはり黒ブドウらしい凝縮感ある果実味や力強さが
エネルギッシュに引き出されています。
更に、マロラクティック発酵(MLF)をしていないため、凛とした酸が
健在なのが特徴。ドサージュがもっと少ないかと感じてしまった
のですが、ドライな印象はこのクリアな酸がもたらす演出だったのかも。。。
合わせていただいたのはカルバドスとバニラの風味を
あしらったフォアグラナチュール。
シャンパーニュ単体だと、線が太く、少し直線的な印象も
あったのですが、ルレクチェの果実味や、ゴマチュイルの
香ばしさが加わることで、さらなる複雑味が生まれます。
そしてフォアグラに忍ばせたカルバドスのりんごの風味がキレイに
引き立ち、料理自体にも一体感が生まれていくから面白い。
③Mailly Grand Cru Blanc de Noirs
さて、お次の泡もまたふくよかで、厚みあるアロマと味わい。
桃や焼きリンゴ、シナモン、トースト、そして仄かに赤系
果実のニュアンスも。味わいは全体的に柔らかくまるみが
あり、酸の主張はおだやか。繊細かつ滋味深い余韻が
続いていきます。
正解はマイィ・シャンパーニュで、やはりブラン・ド・ノワール◎
モンターニュ・ド・ランスの100%Cruのピノ・ノワールのみを
使った洗練されたスタイルです。こちらはMLFをしているため、
あまり引き締まった感覚はなく、全体的に優しく穏やかな印象。
併せていただいたの魚料理は鮟鱇。自家製ニンジンの
ピューレやオレンジパウダー、黒オリーブ、レモンタイム
の風味をきかせた複雑な一皿。上に鎮座したチョリソーの
旨み、根菜の甘味、全体のボリューム感がブラン・ド・
ノワールのふくよかな果実味とマッチします。
鮟鱇そのものはとても淡泊な食材ですが、
ソースや付け合わせをパワフルにすることで、
シャンパーニュのふくよかさとの調和がキレイに
保たれていました。
さて、会もいよいよ佳境に入ってきたところで……
④Perrier-Jouet Belle Epoque 2006
ここで提供されたキラキラ輝く一杯は、香り味わいともに
非常に洗練されていて、実にエレガント。白桃、花の蜜、
白い花、パンデピスを思わせる複雑な酵母のニュアンス。
味わうと、どこまでも艶やかな質感を持つ完璧なテクスチュア……。
果実味、酸、ミネラル、余韻に残る旨みのバランスが絶妙で
「これはオイシイ!」とテーブルも更に盛り上がります。
そして、正解は……ベルエポック2006年。
クラマンとアヴィズの極上のシャルドネを50%使用し、
6年もの瓶内熟成を経てリリースされた、ペリエ・ジュエが誇る
こだわりのプレステージ・シャンパーニュです。
上質なシルクさながらの緻密な口当たりが、このワインの
育ちの良さを物語ってくれています。
ベル・エポックは、華やかなシーンで、エミール・ガレの
美しいボトルデザインを愛でながら、そのシチュエーションと共に、
楽しむ機会が多かったのですが……
個人的には、ブラインドでいただいたほうが、
なぜかより味わい深く感じられたから不思議!
失礼ながら、ベルエポックのことを
「華やかなボトルで得をしている泡」かと思っていたのですが、
華やかなボトルで損をしている部分もあるのかも……
なんて勝手ながら思ってしまうほど、今回の一杯が好印象でした。
固定概念抜きで味わってみることって大切。。。
更に、デゴルジュマン前の還元的な瓶内熟成と
デゴルジュマン後の穏やかな酸化熟成のそれぞれが
シャンパーニュにもたらす影響についてもお話いただきました。
今回のベルエポックは、ティラージュから6年間オリと接触させた
瓶内熟成をさせており、還元的な熟成に由来するコーヒー系の
香りのほうがまだしっかりと感じられるのが特徴。
意識しないとこのコーヒーのニュアンスは見つけられなかった
けれど、解説を聞きながら香りをとると、納得です。
これから更に酸化熟成を重ねていった場合、カラメルや
ヘーゼルナッツといったブーケが強くなっていくのでしょう☆
併せていただいたメインのお肉料理は川俣軍鶏のロティ。
シャモのきめ細やかな肉質が、ベル・エポックのクリーミーな
酒質に寄り添い、黒トリュフの風味が心地よい熟成感に
調和してゆきます。
そんな至福のマリアージュの余韻に酔いしれているうちに……
ラスト、ロゼ・シャンパーニュの登場です。
⑤Demoiselle Brut Rose NV
美しく落ち着いた淡いサーモンピンク。つみたての
フランボワーズを思わせる赤いベリー、アセロラ、
ルバーブといったロゼらしい華やかなアロマが広がります。
心地よい果実味に洗練された酸がバランスよく溶け込んだ
親しみやすく、品のよい味わい。
こちらの正解はドゥモワゼルのロゼで
シャルドネ比率が85%と非常に高いのが特徴。
そこにグラン・クリュ、ブジーのピノ・ノワールが
溶け込み、少量ながらも赤系果実の存在感をしっかりと
放っています。ドサージュが10~11%とやや多めですが、
のびやかな酸が豊富に存在し、それをほとんど感じさせません。
ミカンとマスカルポーネをパルフェ仕立てにしたアヴァン
デセールと、バラとイチゴの風味にあふれたデセールと
共に。ロゼ・シャンパーニュが持つすべての要素が、
色調にも味わいにも食感にも詰め込まれていて……
その果実感やフローラルなニュアンスがもちろん
しっくりと馴染んでゆきます。
そしてシャンパーニュは、デザートの心地よい甘味と
相まって、ドゥミ・セックのような印象に進化……
以上、奥深いシャンパーニュの世界を、
思う存分堪能したのでした。
ご一緒した素敵な皆様と先生と☆
品種の違いはもちろん、どの村(クリュ)のブドウを
使用しているかというテロワールの個性、樽を使うか否か/
MLFの有無/ドサージュの量……といった醸造アプローチの違い、
デゴルジュマンの前と後それぞれにおける熟成期間の違い……
などなど様々な条件によって、実に色々な表情を見せてくれた
今回のラインナップ。
本当にありがとうございました!
年末はどんな泡を飲もうかな♡
information
Prévenance H.Shizukai
Comité Interprofessionnel du Vin de Champagne