こんにちは。
昨年末のことになりますが、
レコール・デュ・ヴァン 主催の2013年最後の
ワインイベントが開催されました。
12月26日のクリスマス明け……。
恵比寿のフレンチレストラン
『ドゥ・ロアンヌ』にて愉しい
ワインイベントが開催されました。
今回は「ワインとフレンチのマリアージュ」を
探究する会。と言っても、楽しいワイン
ラヴァーが集えば、雰囲気は和気藹々です。
テーマは、ブルゴーニュと日本。両者の
代表的な品種を比較試飲しながら、
柚原シェフによる味わい深いお料理との
マリアージュを満喫しました。
さっそく乾杯!
<Vin Mousseux>
NV メゾン・ルー・デュモン クレマン・ド・ブルゴーニュ
Lu Dumont Cremant de Bourgogne Blanc de Blancs
乾杯はブルゴーニュで活躍している
日本人醸造家、仲田晃司さんによる
人気のクレマンを。“ブルゴーニュの神様”
ことアンリ・ジャイエ氏も絶賛したという、
洗練されたスパークリングワインです。
シャルドネ100%のブラン・ド・ブランで
スッキリ爽快な味わい。
日本人の感性とブルゴーニュのテロワールが
融合した、我々にとっても親しみを感じる
このクレマンにあわせてご提案いただいたのが
コチラのアミューズ。
≪アミューズ≫
白子のフリットとポロ葱のフラン
トリュフのヴィネグレット
フリットの香ばしさに、クレマンの酵母の
アロマが重なり、白子やフランのトロリとした
食感に、きめ細やかでクリーミーな発泡が
溶け込みます。ヴィネグレットの酸味が、
ブラン・ド・ブランならではの爽快さを
更に引き立ててくれて、絶妙なマリアージュ!
さて、その次はブルゴーニュと日本の
シャルドネ比較です。
<Vin Blanc>
2012 シャトーメルシャン 長野シャルドネ アンウッテッド
Chateau Mercian Nagano Chardonnay Unwooded
まずは日本のシャルドネから。今回は
メルシャンが手掛ける最高級ライン
「シャトーメルシャン」のシャルドネを
セレクトしました。日本のシャルドネの銘醸地
とも言える長野県 北信地区のシャルドネを
使用しています。そして、最大のポイントは
タルを使っていないこと。ぶどう本来の果実味が
しっかりとキレイに引き出されていて、すっと
体に馴染んでいくような、心地よさに満ちています。
≪前菜≫
オマール海老の温製サラダ ソースヴェトラーブ
そして、あわせていただいたのが、ビーツの
ソースを纏ったサラダ仕立てのオマール海老。
ワインのミネラル感や、やさしい果実味、
仄かなスモーキーなニュアンスが甲殻類の
旨みにマッチします。ビーツの素材本来の
優しい甘さが、樽を効かせないナチュラルな
シャルドネとバランスよく調和してくれました。
そしてお次はブルゴーニュのシャルドネ。
<Vin Blanc>
2011 オリヴィエ・ルフレーヴ ムルソー
Olivier Leflaive Meursault
ドメーヌ・ルフレーブのカリスマ当主であった
ヴァンサン・ルフレーヴのスタイルを目指しながらも
独自のワイン造りを追求しているオリヴィエ・
ルフレーヴ。彼が手掛けるムルソーは村名ながらも
エレガントさと品の良さに溢れています。
やはりこちらはムルソーらしいタル香と果実の
ボリューム感をしっかり感じることができます。
そんな一杯にあわせたのは……
≪魚料理≫
リスフレを纏った平目 ソースアルベール
魚料理は、柚原シェフの御師匠である
『シェ・イノ』井上シェフのスペシャリテを。
シャンピニヨンやエシャロット、お魚の出汁、
そしてフォン・ド・ヴォーなどを加えた
コクと旨みに溢れたアルベールソースを
纏ったヒラメです。
素材の味わいを引き出したビーツのソース
とは違い、濃厚で複雑味を感じるソースなので
シャルドネでもこっくりふくよかな果実味と
ボリューム感のあるムルソーがとてもよく
マッチしました。
さて次はピノ・ノワールの比較試飲です。
<Vin Rouge>
2011 グレイス ピノ・ノワール 限定品
Grace Pinot Noir Limited Edition
日本のピノは中央葡萄酒さんより特別に
手配していただいたピノ・ノワールを。
同社が契約栽培をしている木村ヴィンヤードの
ピノ・ノワールを、いつもは北海道にある
『中央葡萄酒 千歳ワイナリー』で仕込む
そうなのですが……
こちらは、醸造家の三澤彩奈さんが
ブドウを山梨に持ち帰って仕込んだという
特別なものになります。酸が高かったので
殆どは瓶内二次発酵のスパークリングワイン用に
醸したそうなのですが、ニ樽だけスティルワインを
造ってみたのだとか。
そんなまだ市場には出ていない、貴重な
ピノ・ノワールを今回はグレイスさんの
ご厚意によって、試飲することができました!
いただいてみると……色調は明るく
繊細で軽やか。しかしながら、滋味深さや
厚みを持ちあわせていて、余韻に心地よい
旨みが長らく残ります。
≪肉料理≫
蝦夷鹿のフィレ肉のロースト 根セルフィーユのクリーム
そしてご提案いただいたメインはまさに
今が旬の蝦夷鹿です。北海道に生息する
野生の鹿は、低脂質でヘルシーで、肉質が
緻密で柔らか。
そこに同郷の北海道生まれのピノ・ノワールを
あわせるという試みです。絹のような艶やか
な赤身肉の食感に、ワインの上品でシルキーな
タンニンが融合すると、お肉の旨みがさらに
ひきだされていくから不思議!
日本のピノ・ノワールは主張はひかえめながら
食材の魅力を最大限に引き出してくれる、
日本人らしい、奥ゆかしさが感じられました。
そして同じ蝦夷鹿のお料理に合わせ、
ブルゴーニュのピノ・ノワールも
味わってみます。
<Vin Rouge>
2009 ジャンテ・パンシォ ジュヴレ・シャンベルタンVV
Geantet-Pansiot Gevrey-Chambertin VV
ブルゴーニュの中でも特に男性的で力強いと
言われているAOCジュヴレ・シャンベルタン。
色調も日本のピノ・ノワールよりかなりしっかり
しているのが一目瞭然です。
ジャンテ・パンシォはまだ知名度は
低いものの、ジュヴレ・シャンベルタンの
新しいシーンのスターになりうるとして
注目されている造り手です。
果実がしっかり熟した優良年2009年。
そのうえ、こちらはヴィエイユ・ヴィーニュ
という、平均樹齢が65年以上にもなるブドウから
造られているため、古樹らしい果実の凝縮感を
しっかり感じることができました。
力強さと複雑味に溢れたブルゴーニュの
ピノ・ノワールは仄かなスパイス感や
鉄のニュアンスがあり、鹿の野性味や
コクのあるソースの味わいを引き出します。
同じ一皿でもあわせるワインを
変えることで、料理の違った魅力を
楽しむことができるなんて面白いですね!
そして最後はデザートワイン。
<Vin de Dessert>
NV メゾン・ジャン・フィリップ・マルシャン
ラタフィア・ド・ブルゴーニュ
Maison Jean-Philippe Marchand
Ratafia de Bourgogne
シャンパーニュ地方で良く聞くラタフィア
ですが、今回はブルゴーニュのそれを。
発酵前のアリゴテ100%のブドウジュースに
マールを添加して造られる甘口のリキュールです。
驚くのはその熟成期間。フレンチ・オークで
7年間の熟成後、3年間の瓶熟成を経て
ようやく市場に出るのだとか。
アリゴテというと、どうしても、酸が強くて
凡庸なイメージを抱きがちなのですが、
こうして蒸留酒とブレンドさせたり熟成
させることによって、秘められていたまた別の
魅力を発揮するのですね。
熟した洋ナシや、カスタードクリーム、
そしてキャラメルのようなうっとりする
アロマが広がるなんとも甘美な一杯に
合わせたのが……
≪デザート≫
洋ナシのポワレ キャラメルのアイスクリーム添え
こちら、ワインに感じられる要素をそのまま
表現したような、一品です。フルーツの爽やかさと
キャラメルの濃密さの両者を楽しむことができ、
コクがありながらも活き活きとした酸味を
持つラタフィアともキレイに調和しました。
最後にはちょっとしたサプライズも。
この日はご夫婦で参加された野辺さまの
バースデーだったのです。
実は、『ラタフィア』は結婚の“承認”を
意味するラテン語で、結婚記念日はもちろん、
お誕生日などのお祝いの席でもとても
重宝するワイン。
ご夫妻の大切な日を、集まった素敵なみなさまと、
ラタフィアで乾杯しながら、祝福することが
できました。
食後のコーヒーを味わいながら、
愉しいディナーの余韻にひたります。
シャルドネ、ピノ・ノワールという同じ品種で
あっても産地や造り手によってそのスタイルは
多種多様。
それらの違いや特徴を意識して料理と合わせる
ことでマリアージュの幅はグンと広がります。
産地はもちろん、色調や香り味わいといった
要素に注目するのも良いですし、更にはワインの
背景にあるストーリーを意識して
マリアージュを考えても愉しいものです。
「マリアージュはこうでなければならない」
という決まりはないので、自由な発想で
自分らしいマリアージュを模索していけたら
いいですね☆
お陰様で2013年の最後のスクールイベントも
無事に終了することができました。
昨年お世話になった沢山の皆様に
この場を借りてお礼したいと思います。
本当にありがとうございました。
2014年もワインの多彩な楽しみを
お伝えできるよう、魅力的な講座やイベントを
沢山ご用意して、みなさまをお待ちしております。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!
information
※ドゥ・ロアンヌは2013年12月末をもって
閉店となりましたが、同店のエスプリは
シェ・イノグループ各店で楽しむことが
できますので、ぜひ足をお運びください!
シェ・イノ グループ各店
http://www.chezinno.jp/restaurant/res_index.html
レコール・デュ・ヴァン