こんにちは。
先日、レコール・デュ・ヴァン主催の
人気の特別講座
「熟成ワインとお料理のマリアージュ」が
白金台のフレンチレストラン
『ジョンティ アッシュ』で開催されました。
講師はもちろんこの方、世界的に知られる
グラン・メゾン『トゥール・ダルジャン』パリ店で
シェフ・キャヴィストを務めていらっしゃる
林秀樹先生です。
この会では、林先生がフランスで入手
してくださった厳選熟成ワインをお料理に
合わせて堪能することができるのです。
普段の授業ではなかなかテイスティング
する機会の少ないワインが登場すると
あって、いつも以上に気分は高揚します……
さっそくワインをご紹介しますね。
1995 Jean Marc Boillot Batard Montrachet
まずは白ワインから。コート・ド・ボーヌが
誇る特級畑バタール・モンラッシェでスタート
です。造り手はジャン・マルク・ボワイヨ。
完熟した桃やアプリコットの果実味から、
後半はミネラルの余韻へ。そしてどこまでも
まろやかな樽のニュアンスが見事な
バランスで感じられます。
20年弱の瓶熟成を経ていますが、
凛とした酸は健在で、全体をしっかり
支えています。そして……時間が経つと、
クレームブリュレさながらの、クリーミーで
香ばしいアロマが際立ってくるから面白い!
爽快な玉蜀黍の冷製スープと。
1997 Domaine Philippe Charlopin-Parizot
Nuits Saint Georges 1er Cru "Les Murgers"
お次はブルゴーニュ北部コート・ド・ニュイの
慈善病院で競売にかけられることで知られる
「オスピス・ド・ニュイ」より、ニュイ・サン・
ジョルジュの一級畑「レ・ミュルジェ」を。
造り手はドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ。
ブルゴーニュの神様と言われるアンリ・ジャイエに
師事した醸造家としても知られています。
ヴィンテージは1997年で、タバコの葉やなめし革と
いった程よい熟成のニュアンスを醸しつつも、
しっかりとした果実味も活きていて、更なる熟成
ポテンシャルを感じさせてくれます。力強い
骨格のある男性的な味わいです。
コクのあるレバーペースト&長茄子と
ホタテをラタトゥイユ仕立てにした鮮やかな
前菜。ジューシーな茄子と濃厚な雲丹の
コンビネーションが絶妙です。
1979 Le Vieux Donjon Chateauneuf-du-Pape
シャトーヌフ・デュ・パプ1979ヴィンテージ
が登場です。造り手はル・ヴュー・ドンジョン。
ブドウ品種はグルナッシュ主体に、シラーや
ムールヴェドルなどがアッサンブラージュ
されていますが……「キレイに熟成した
ブルゴーニュのピノ・ノワール」を連想させ
られるほど、極めてエレガントにまとまっています。
トリュフや腐葉土といった複雑なブーケが
しっかりと放たれていて、味わいは柔らかく
旨みがたっぷり。
1976 Domaine Segun Savigny-Lavieres
さて、再びブルゴーニュに戻り……お次は
サヴィニ・レ・ボーヌの一級畑、ラヴィエールを。
1976年にもなると、色調は更なる美しいレンガ色
を帯びてきます。そして香りをとると、主体と
なる熟成香の中にも透明感が感じられ、
どこまでも繊細でしなやかなイメージ。酸は
心地よく、タンニンも緻密に溶け込んでいて、
まるでシルクのような舌触りを楽しむことが
できました。
1973 Boilot Volnay
そして更に時代はさかのぼり……1973年の
ブルゴーニュはコート・ド・ボーヌ地区の
ヴォルネイが登場。なめし革のような
奥深いブーケに香ばしさとスパイス感が
加わり、ドライチェリーのような果実味も
仄かに感じることができます。味わいは
複雑で、余韻が長く長く続きます……。
テロワールの個性と、ボワイヨの技と、
積み重ねた年月が醸し出した、まさに
プレミアムな味わい!
メインはオマール海老と牛肉の高級部位
である“クリ”をいただきました。それぞれ
キノコやサマートリュフがあしらわれていて、
熟成ワインとのマリア―ジュをしっかり
意識した提案がなされています。ワインと
共にたっぷり堪能しました。
そしてラストのワインはこちら。
1964 A.Ligeret Morey-Saint-Denis
遂に1964年ヴィンテージまで遡りました。
約半世紀もの熟成を経たアントワーヌ・
リジェレのモレ・サン・ドニです。
色調は輝いたレンガ色。深淵なトリュフのよう
なブーケが香り、口にふくむと、どこまでも
細やかなタンニンとやわらかい旨みが
広がります。そして、長い熟成期間を経ても
凛とした酸味は健在で、決してダレておらず
極めて上品な味わい。
50年もの時間の魔法にみなうっとり
酔いしれたのでした。
繊細なブルゴーニュは特に、
熟成ワインを開けてみても、状態があまり
良くなく、ガッカリしてしまったという経験が
比較的多いのではないでしょうか……。
しかし、林先生が選ぶワインは
保存状態も抜群!だからこそ、極上の
熟成感というものを楽しめるのだと
改めて実感させられました。
緊張してしまいがちですが……先生が
とても気さくにナビゲートしてくださったお陰で、
皆様リラックスして、マリア―ジュを楽しむ
ことができたようです。
ワインの余韻に浸りながら……
ミニャルディーズをゆっくり楽しみました。
こちらはお料理とサービスを担当した
進藤シェフと熊澤ソムリエ。
本当にお疲れ様でした!
今回の特別講座もワインのよりいっそう
奥深い世界にふれることができた、貴重な
機会となりました。
林秀樹先生、そしてご参加くださった
皆様、本当にありがとうございました。
次回の熟成ワイン会が今から
とても楽しみです^^
information
ジョンティアッシュ
港区白金台5-18-17
ゴールドフォレストビル2F
03-5447-8890