紅白に顰む翳1の続き
代表合宿が予定していた日より1週間も早く終了するであろうことが告げられていた。
ともに過ごせるのはほんの僅かとなる。
食事・ミーティングが終わりつかの間の自由時間がくる。
全身を殺菌シートで拭く。
丁寧に丁寧に。
そしてキャプテンの部屋にいそいそと小走りで向かった
先客が何人もいた。
どうしようか、
そう思いながらも、ドイツから帰国したキャプテンと話したいのはみんな同じで、気持ちもわかるため、一旦見守ることにした。
みんなが安心した顔をしている。
心から信頼できるリーダーだとみんなが認めているためだ。
いい空気が漂い、みんなに囲まれている彼をずっと観ていたいと思った。
けれど時折見せる愛らしい笑顔に胸が弾み、
やはり二人きりに早くなりたい、と思ってしまう。
少しだけ目でそう伝えてみる。
チラと目が合う。
少し微笑んだように見えた
けど、どうかな
うまくは伝わらないかな、、
そう思ったとき、
中心にいたキャプテンは、明日に備えよう、と言って周りのメンバーに早めの解散を促してくれた。
エー、って西田が言った。
本当に名残惜しそうにしている。
自分も皆と同じく『俺もシャワー浴びないとだな、』とか、わざとらしく口にしながらみんなと一緒に部屋を出た。
そして誰もいなくなったのを確かめると、そうっとキャプテンの部屋に戻った。
キャプテンはベッドの端に座っていた。
あ、、て顔を上げると頬がパァっと桜色に染まった。
そんな顔を見せられたらたまらない
俺は小走りになっていた。
真っ直ぐにその瞳を見つめたまま、キャプテンの元へと駆け寄っていた。
想いが弾けた。
強引に抱きしめてしまう。
だけどキャプテンも同じ気持ちだったのか、立ち上がって受け入れるよう抱きしめ返してくれていた。
自分だけが盛り上がっているのではないとわかって嬉しくなる。
逸る気持ちを懸命に抑え、目の前の人を丁寧に慈しむ。
睦まじく過ごす時間がどれほど希少であるかを痛感する。
互いの想いを交わす中で
電影ではない、リアルな感触に全身が感動に震えた。
二人だけのかけがえのない時間に感謝をした。
つづく