昨日は神経外科クリニックでの診察、大学病院の救急外来での診察および検査を経て、救急病棟へ入院となった。

だから、今日が入院2日目。

 

朝から複数の医師が回診してくれた。

総勢5人だ。

主治医はおそらく30歳代の男性。

僕が患った病気はフィッシャー症候群かギラン・バレー症候群(またはその併発)である可能性が高いことを説明してくれた。

医師、看護師やリハビリをしてくれる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、総じて断定的な物言いをしない。

過度に期待させず、不安を与えずといったところ。

そういう職業なんだと思う。だから、これを読んでいる皆さんは、「絶対治るよ!」みたいな話がないからって、恐怖にかられる必要はないと思う。

それもそのはず。日本の人口が約1億2,000万人。ギラン・バレー症候群の発症率は1/10万。ということは、国内に1,200人しか患者がいない(1/10万が年あたりと記載される文献もあるし、寿命で亡くなっている人もいるから、累積ではもっといると思うけど)。つまり、統計としてはまだまだ偏っている可能性が十分にあると考えられる程度のn数の少なさであり、「これまでのデータがこうだから、あなたの病状はこうなる」とは言い切れないんじゃないかなって思う。

例えば、ガンなんかだと、国民の○人に一人が患う病気だから、データの蓄積が圧倒的に多く、そこから導き出される解の信頼度が圧倒的に高いんじゃないかな。

 

ただし、症状から推定するとフィッシャー症候群かギラン・バレー症候群(またはその併発)とは断言できないようだから、暫定的な診断の確度を高めるための検査と類似する症状が出る他の病気を否定するための検査をいくつか提案された。相手は医師だから、ガチガチに論理的。わからない点もあったが、淀みない説明と数点の質問に対する明確な答えがあったため、ためらうことなく同意できた。

 

病院を退院してからこの同意書を見直したが、その内容はともかく、僕の署名はヒドいものだった。

日付の記入は欄外、氏名はまさにミミズが這ったような筆跡だった。

このときには、複視と手の痺れ(麻痺?)が強く出ていたんだと思う。

 

翌日にいくつかの検査を残したものの、それらに共通的に有効な治療が開始できることを説明された。

免疫グロブリン療法だ。

いろんな人が書いたブログを読んだけど、発症してからなかなか病気が特定できず、数週間や1ヶ月以上も治療に着手できないケースも多い。その点、今回は入院2日目に治療が開始でき、これが早期回復につながったんだと思う。

さっそく全5日間の投薬の1日目がスタートした。

投薬する6時間は特にすることがなく、自由な時間。

トイレに行ってもよし(歩けないから看護師さんに付き添ってもらいながら)、携帯やPCを触ってもよし。院内はフリーwi-fiだったから、助かったな。

この時点で、弟にお願いして、僕の自宅からPC、充電器、日用品を差し入れしてもらっていた。

 

僕の身体には、投薬と生理食塩水用の針、心電図3ヶ所、指には酸素計、血圧測定器がセットされていた。特に左手の人差し指にセットされた酸素計があるから、当面PCは使いづらい。ということで、1日中スマホをポチポチしていた。スマホ充電のためのコードを入れると、まさに全身が繋がれた状態だった。

 

複視と痺れ、状態を起こすと酸素が低下して頻脈、身体中にセットされたコード、などにより何でもしていい時間だったけど、できることは限られている状態。

主にしていたことはこんなところ。

①病気について調べまくり
 結局は手間ばっかりかかって、似たような情報を別のサイトで閲覧するという状態。結局は一番最初の記事に張り付けたリンクの情報が一番だと思った。

 

②仕事の引継ぎとリスケ

 仲間と経営する法人で僕が担当していたプロジェクトが4件進捗してたから、それぞれについて引継ぎをお願いした(みんな、快く引き受けてくれてありがとう)。4件のうち2件はペアで進めていた案件でほぼ完成していた。相方にお客様への納品をお願いした。もう2件は進捗が90%程度だったから、LINEで完成までに何が足りないか、どうしてほしいかをやり取りして、残り10%程度の作業と納品をお願いした。

 完全に余談だけど、僕は約3年前まで地域金融機関に勤めていて、当時の環境だったらこうはいかなかったと思う。業務に関する情報を社外へ持ち出すことができず、加えて病院はコロナ対応で面会ができず、僕自身も声を出せないから電話もできない。

 独立したからこそ、信頼できる仲間としか仕事をしないため、情報を共有できる。その手法はメール、SNS、Dropboxなど自由自在。会社員が守られているなんて神話に過ぎないと思った。

 

③株価のチェックと出遅れ銘柄の買い増し

 この時期、日米ともに株価が高騰を継続していた。自分が仕事をできない中、投資先がバリバリ稼いでくれるのは心強かった。僕から仕事を取ったらやることなんてほとんどないから、日中は日本の株価、夜はアメリカの株価を見て将来を予想していた。結局はトレンドに乗るしかないから、バイ&ホールドと出遅れ銘柄を少しずつ買うくらいしかできない。これ以上高くなったらさすがに買いづらくなってくるから、今どれだけ買って、どれだけ長くホールドできるかを考えた。

 

④大切な人との関係を考えた

 僕は昨年、大切な女性にプロポーズしていた。いつからどこで一緒に住むか、などを話し合っていたさなかだった。この先、僕の病状がどうなっていくのかわからない中で、何をどこまで伝えるべきかを判断できずにいた。大切にしている人を大切にし続けるって難しい。すべてを包み隠さず話す正義、相手を思いやるためにウソはつかないまでもちょっと隠すという正義。どっちにするべきかを考え続けた。考え抜いた結果、「今はあたりさわりのない報告に止めて、病状が改善して、回復の見通しがついた時点で詳しく報告しよう。仮に回復しなさそうだったら、彼女が何と言おうと身を引こう。」と決めた。