「そっか僕に足りなかったものは、この満足感なんだ。」
「ロバート・ラグントン、ナイトメア出るぞ。」
「ロベルト・クーパー出るヨン。」
次々と艦内にいるパイロットが出撃した。
その中でリチャードは躊躇っている。
「怖い。生き残れるのか?」
そういう疑問が頭をよぎる。
しかしリチャードは覚悟を決め、出撃した。
「リチャード・ハリスン、ブレイク行きます。」
そこはすでに戦闘が始まっていた。
黒いMSが何機もいた。
かつての侵入者のパイロットスーツを連想してしまう。
リチャードは何度もビームライフルを打った。
しかし当たらない。
この前にザフトとの戦闘の時は簡単に当たったものだったが。
「成る程一機一機がフリーダムって訳ね。」
ユリウス軍のMSもライフルを打ってきた。
しかしリチャードには一発も当たらない。
「戦闘不能にするだけだから狙ってくる場所が簡単に分かる。」
そうユリウス軍は頭、または武器しか狙わない。
その戦い方を知っているようで他の人も当たらない。
しかし相手はユリウス軍だ。
そんな戦闘慣れている様子だ。
今までバラバラに戦闘していたMSがいきなり連携し始めた。
連携をとり始めたら、いきなり次々と味方が撃墜されていってしまった。
「くそお。」
とロベルトがやられた。
リチャードもギリギリで頭を避けたものの、片腕をやられた。
ロバートの方も同じ様子だった。
「くそ!リチャード、即興だが連携やってみるか?」
という言葉に戸惑ったが、
「やります。」
と言った。
二人はいきなり連携をとり始めた。
それには敵も一瞬驚いた。
しかしユリウス軍はすぐに立て直す。
二人のコンビネーションは即興とは思えないものだった。
だんだん敵の連携が崩れ始め、終いには連携ができなくなった。
「今だ!」
二人は一気にたたみかけた。
連携の崩れた敵はもう驚異ではない。
次々と敵を撃墜し、敵はすっかり全滅した。
「おい、リチャード。なかなかやるじゃねえか。」
「いえ、ロバートさんの援護が良かったんですよ。」
とお互いに顕著だったが、二人ともとても喜んだ。
「そっか僕に足りなかったものは、この満足感なんだ。」
そうリチャードは思った。しかし満足している雰囲気はあるが、決して笑顔ではない。
「まだまだ始まったばかりだからね。しっかりしなきゃ。」
リチャードはそう言い聞かせた。
艦内に着いた二人は拍手喝采だった。
ジョバンニも喜んでいた。
「よくやった。これで私の部隊も良い評価をもらえるぞ。」
しかし、喜んでいたことは、かなりの私情だ。
しばらくしての更衣室でロバートが言った。
「リチャード、まだ喜ぶのは早いぞ・・・・・・。」
かなり深刻そうな顔をしていた。
ロベルトもなにか重ただしい雰囲気を感じて、少し俯いている。
「実はな、今回の戦闘は部隊の指揮官がいなかった。」
その言葉にリチャードは戸惑った。
しかしよく考えれば当然だった。
スターライツが10機だけで、隊長機らしき機体は見当たらなかった。
「まあ指揮官がいたところで、まだ大丈夫かもしれない・・・・・・。」
リチャードはロバートがこれから言いたいことを何となくだが予想した。
「だがな指揮官以上の力を持った、エースがまだいるんだ。」
まさにリチャードの予想通りだった。
パーソナルカラーにしてある機体が見当たらなかったのだから。
だがリチャードは少し安心していたのだ。
だがその安心も次のロバートの言葉で崩れていく。
「エースの力は今日の部隊の100倍は強いかもしれない。」
ロバートの言った言葉はとても冗談には聞こえなかった。
「こんな部隊に手古摺るようじゃ、この先が不安なんだ。」
ロバートはリチャードのほうに向いた。
「だが、今日の君は凄かった。これからの成長次第では、ユリウス軍のエース以上の力を持つかもしれない。頼んだぞ。」
その言葉はリチャードにとって嬉しかった言葉なのか、リチャードは分らない。
しかし自分に期待されているという気分は、「これからも頑張らなくては」という感じだ。
「分りました。」
リチャードは強く言った。
ロバートは少し笑い、
「さあ飯だ。」
と言い、去っていった。
リチャードもその後をついて行く。
「そうか・・・・・・全滅か・・・・・・。」
小狼は少し悲しそうに言った。その顔の右半分を仮面で覆い隠し、銀色の髪、白内障を起こしている瞳。
誰がどう見ても不健康そうな肌。
そんな彼がオーブの軍服を着て立っていた。
「死者の数は?」
小狼は聞いた。
「残念ながら、全員死亡と確認されました。」
その言葉を聞き、彼の瞳は涙ぐんだ。
彼は悲劇を知っている。
だからこそ涙ぐんだ。
「ありがとう。そしてお疲れ様。」
小狼は死んでいった人達の冥福を祈る。
「ケン、これからどうする?」
小狼は隠れていたケンという者に言った。
物陰から現れたのはかつての侵入者だ。
「いつから気が付いてた?」
ケンは小狼に聞いた。
「最初からだ。俺は目が見えない分、他の感覚器官がするどいんだ。分かってるだろ?」
小狼は厳しい顔で言った。
「まったく、子供の遊び心が分からない人なんだから。」
そう言ってケンは拗ねた。
「で次の作戦は?」
小狼はまだ厳しい顔で言った。ケンは少し呆れた顔で次の作戦を話し始めた。
「今度の戦闘はザフトと連合の戦闘妨害。」
最後の方はかなり不機嫌そうな顔で言った。
しかし小狼は笑いながら作戦を聞いた。
夕食を済ませたリチャードは部屋に戻り、さっさと寝てしまった。
掃除をずっとした後にすぐ戦闘だったのだ。
仕方がない。
翌朝起きると掃除した筈の部屋がすっかり変わり果てていた。
「あぁ、おはようリチャード。わりぃ、少し部屋が散らかっちまった。」
そう言っているものの、この部屋は掃除する前より酷くなっていた。
ジョバンニにリチャードは涙を流しながら言った。
「部屋を変えて下さい。」と。