僕が映画を観るようになったのは大学三年生の時だから、まだ一年と半年ほどしか経っていない。と言うのも、僕はもともと映画が大嫌いだったのだ。
金曜ロードショーウや水曜プレミアム…僕が小学生の時はまだテレビで毎晩洋画が観れた時代だったけど、どの映画を観ても爆発音やアジテーションの様な怒鳴り芝居ばかり(事実がどうかは別としても、少なくとも当時はそう思った)。
ぼんやり観ていても先は何となく読めたし、つまらなかった。いつの間にか映画をまったく観ない少年になっていた。
大学三年生の時にたまたまタランティーノの「パルプ・フィクション」を観たのが映画を観始めたきっかけだったが、アレは本当に衝撃だった。クライマックスのレストランのシーンを固唾を飲んで見守ったあの日を、今でも鮮明に思い出せる。そしてエンドクレジットが流れ出すと同時に「ああ、俺は馬鹿だった!」と心底思ったのでした。
先日パルプ・フィクション以降に観た映画作品を数えてみた(何とも暇人である)。もちろんカウントし忘れたものもあるだろうが、僕は一年と半年ほどの間に313本の映画を観ていた。
いちいち数を数えるなんて真のシネフィルの御歴々からすれば、何とも滑稽かもしれないが、今まで映画というものにほぼ接したことのなかった僕にとって、とにかくたくさんの数を観るというのはとっても重要なことに感じられた。
僕は今年の三月で遂に(あるいはやっと)大学を卒業する。
大学に入っても結局何も変わらなかった気もするし、実は色々変わった様にも感じる。実際のところよく分からない。
でもそれでも一つだけ言えるのは、大学に入って映画に興味を持てたということは僕にとって貴重な財産になったということだ。
レンタルのビデオ屋(死語)で、あるいはテレビで、僕は一度も観たことのない作品に触れるようとする時、どこまでも純粋な喜びを感じることができる様になった。「いったいコレはどんな映画だろう」。その気持ちはもうずいぶん長い間忘れていたものだし、また思い出すことが出来て本当に良かったと思う。