新型コロナウイルスの重症者数が全国で昨日、過去最多だった5月25日の1,413名を越えて、1,478名となりました。

この重症者増加ペースと感染者数の増加ペースを見ると、仮に今日が感染者数のピークとなり、この後、下がっていくとしても2,500名を越えることになるでしょうし、感染ピークが後ろに下がっていく、あるいは感染者数が高い数字で安定してしまうようなことがあれば、もっと増えることになるでしょう。

 

そうなったときにコロナ感染者の中等症以上の患者さんを見ることのできる医療リソースが不足することは目に見えています。

 

これを回避する目的で5類感染症とするべきだとする意見も聞かれますし、その意見には納得できる部分もあります。ただし、5類感染症としたなら感染者数の増加を抑えるという目的に限ってみると悪影響にもなります。

 

この辺の解説は、呼吸器内科医の倉原優先生がされておられますし、その中で「5類感染症へのダウングレード」による感染者数増加が生む害と、現行のままの医療機関で診療して入院させられない新型コロナ患者さんを生んでしまう害の、どちらが日本にとってましかという話になります。」と述べておられますが、まさにその通りだと思います。

 

 

1番良いのは、感染症対策を十分に行いつつ、一般の医療機関でもコロナ診療ができるようにすることですが、これをするには新しい法律が必要ですから、政府や与党は嫌がっており、政令でできる5類感染症への指定で済まそうとしています。(この辺の理屈を少し詳しく述べますと、現在の感染症法では新型コロナウイルス感染症はインフルエンザ等感染症として定義されています。この中で、「新型コロナウイルス感染症(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)」となっていることから、ワクチン摂取が進んだ場合は、「この法律において「五類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。 一 インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。) 二 ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)(一部略)九 前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの」の規定により、例えば、COVID-19のVOC分類など(ラムダ型や今後発生する可能性のある変異種を除くための記載)をこの九として省令で定めることで、5類に格下げすることが可能になっています。)

 

これは政治の責任放棄であって、政治的な駆け引きで、政令で済ませようとするべきではありません。与野党の議員がしっかりと本問題の重要性を認識し、与党側から野党に協力要請し、野党側も与党側に短期間で審議を終わらせることを確約して、臨時国会を早急に開くべきでしょう。

 

事は一刻を争います。与党側、野党側の議員各員が、本内容の発信をして、政府を動かしてもらえたらと思います。逆に、ここで動けない議員は政治責任を全うできなかった議員として、次回の選挙で有権者に見られることでしょう。