みなさんこんにちは~^^

 

台風がしっかり関東を直撃するとのことですので、早めに来ていただき夕方以降は引き篭もりましょうね。と言いたくなるくらい納品が充実しているのです、奥さん。

 

昨日載せる事が出来ませんでしたが、ハイランドも楽しみでしたよね。今シーズンは3素材で作ってもらいました。全て17cmの浅めになっております、御安心を。

 

こちらは定番のブリティッシュウールです。お、パープルがあるじゃないですか。これ売れそうですね。上の3つはソリッドカラーで、下の3つはメランジがハッキリしているのを選んでみました。これも面白そうですね。

 

お次はこちら、昨年少しだけやったらあっという間に完売してしまったと言うメリノウールです。ブリティッシュウールよりも少し肉厚で雰囲気も抜群です。今シーズンは5色展開に増やしてみました。

 

分かり難いけどPURE MERINO WOOLと表記があります。これ分かりやすくて良いですね。

 

最後は念願のアルパカさんでございます。やりたかったけどコストが高くて見送っておりました。しかし、為替やコスト高が落ち着いたとのことですので、今のうちにやっておきましょうとなりました。4色チョイスしております~。

 

お、アルパカ80%もあるのね。確かにメチャクチャ柔らかいしフワフワしていて堪らないかも。当店のオリジナルのベビーアルパカのニットと合わせてくださいな。来週の早い段階で林田君が通販ページを作ってくれることでしょう。お楽しみに~^^

 

 

って事で話題豊富な中、まずはこのシャツをご紹介しないといけません。

 

【SECOURS】”Kamakura×SECOURS 40oxford”

鎌倉シャツ?と聞いて混乱している方も多いと思うのでまずは整理してみましょう。これまで10年以上オリジナルのシャツを作り続けてきました。基本的には、ブルックスやインディビなどが作っているシャツに出来るだけ近づけようと、シャツ屋さんを巻き込んで(笑)あれこれお願いをして作ってきたのです。そう言う意味では、ある程度は目指していたシャツが作れたと思っております。インディビと並べて売っても遜色の無いレベルにはなったと思っておりますし、実際にも多くのお客さまに褒めて頂いたと記憶しております。かなり満足はしていたんですが、ここ数年はシャツに詳しいお客様や同業者の方と話していくうちに、もっと良いシャツが作れるのではないかと漠然と思うようになってきたのです。

 

そう思っていても、実際にその足らない部分が明確に分かっていないとダメだと思うのです。”もっと高級感が欲しい”とか”もっと色気のあるシャツにならないものか”とか、それを超が付く程ベーシックなボタンダウンシャツに求める訳となると、一体何から取り掛かって良いのか分からなくなります。言い方はアレですけど、質の高いコピー製品を作るのとは訳が違うのだと思い知らされたのでした。そうなるともう人に頼るしかありません。この曖昧なニュアンスを分かってくれる詳しい人にお願いをするしかありません。分かってはいたけど、それだけシャツの世界も奥が深いのでございます。

 

鎌倉シャツにMさんと言う方が居ます。この方は3代続く老舗オーダーシャツ屋さんを運営していたのですが、鎌倉シャツが世界を獲るためにと貞末会長が直々にヘッドハンティングしてきた人なのですね。それだけあってとても博識で、自他共に認めるシャツオタクでもあります。有り難いことに、そんな素晴らしい人を担当に付けてくれたお陰で僕らの理想とするシャツ作りが一気に進んでいくのです。

 

そんなMさんは、シャツのことなら1聞けば10の答えが返ってくるような人なのです。当然、僕らの求める”ちょっとした違い”について理解をしてくれるのです。それならこんなシャツはどうですか、と言った具合に次々と具体案が出てくるのです。その中に、現時点で僕らが取り組むべきシャツの原型があったのですね。それがコチラの”芯無しボタンダウンシャツ”なのです。何の変哲の無いシャツに見えますが、襟周りと前立てに芯地が入っていないのです。もちろんカフスにも芯地は入っておりません。

 

分かりやすい画像ですね。襟と台襟、そして前立て部分も見えますね。その全てに芯地が入っていないのです。これって凄い事なのですよね。芯地の材質や薄さに拘ることは以前にもありました。でも芯地無しは今まで無かったのです。理由は大きく2つあるのかなと思います。一つは、ボタンダウンの命である襟のロール感が綺麗に出にくいと言う事でしょうか。やはり襟にそれなりの芯地を入れた方が、簡単にロール感を演出出来るのですね。ある程度のところにボタンを付ければ、あとは芯地がもたらす厚みや弾力などを利用して容易にロール感が~ってイメージが分かりやすいでしょうか。ですが、それだと見た目も触った感じにもちょっとした堅さを感じてしまいます。この場合の堅さは色気の対義語と言えば分かりやすいでしょうか。綺麗で自然なロール感があれば、高級感も得られますので、シャツ好きは芯地無しか極薄に拘るのですね。何度もパターンを作り直して芯無しで極上のロール感を味わえるように作られているのです。そう言えば、林さんがインディビに別注しているやつは芯地無しと聞きますね。

 

それが理想のシャツなのは分かったけど、やはり芯無しのシャツはコストが掛かってしまいます。芯地と言うのは、縫製をする際に生地の間に入れることでちょっとした目印になるのですね。その目印が無い状態で縫製をするのは経験豊かな職人さんでも大変な事だと聞きます。大量生産に向かないので、今まで見掛ける事が少なかったと言えるのでしょう。まぁこれが2つ目の理由です。やれない事は無いけど、その分工賃は高いよ!あと時間も掛かるからね!こんな事が容易にイメージ出来ますよね。

 

鎌倉シャツが凄いのは、この2つの難題を見事にクリアしていることでしょうか。開発期間は2年を越えたと聞きますが、芯地無しで色気のある絶妙なロール感を得られて、しかもそれを安価で量産している訳です。それも国内縫製を貫いての実現となると、とてもじゃないけど信じられません(笑)この物作りのスタンスだと、きっと近い将来世界トップレベルのシャツブランドになるのでしょうね。

 

そんな感じで何年も掛けて作った大事なシャツを僕らが使わせてもらうだなんて、図々しいと思いましたがここは素直にご厚意に甘えようと思います。だって理想に近いボタンダウンシャツなのですもの。と言う事で、この芯地無しの鎌倉シャツバージョンを僕らの仕様とサイズ感にして作ってもらえる事になりました。

 

かなり長くなってしまいましたが当店の仕様でございます。

剣先の長さは今までと一緒でございます。前立ての太さも同じなのです。そして先述の通り、計算された位置にボタンが打ってあり、芯無しでも驚くほどのロール感が出るのです。

 

それを6つ釦のポケット無しで作ってもらいました。これは基本で譲れないところでございますね。ウエスト部分を少し絞っているのも、インディビなどでお馴染みでしょう。美しいシルエットが出ますよ。

 

脇の本縫いの縫い幅を出来るだけ細くしていただきました。Mさんはインディビの工場を訪れた事があるらしく、この辺の塩梅を分かってくれるのです。嬉しい事ですね。

 

その脇の縫い幅が袖まで一直線なのが分かりますか?これがアメリカのボタンダウンに見られる仕様なのです。イタリア物などは袖の取り付け位置が前にちょっとずれたりもします。このシャツをアメリカでアメリカ人相手に売ってやろうと言う鎌倉シャツのスタンスが伺えますね。

 

太めのセンターボックスも今までと同じです。ちょっと狙った箇所は裏側にございますよ。

 

ヨーク部分からボックスプリーツまでに1cm程してから分け目があるのが分かりますでしょうか。インディビに見られる仕様なのですが、これのお蔭でボックスプリーツが綺麗に見えるとか、見えないとかの話があるのですね。どうも迷信みたいですが(笑)まぁこんな細かい所にちょっとした拘りがあっても良いじゃありませんか。

 

厚手のシェルボタンでございます。艶もちょっと多めのものをチョイスしております。Mさんにお任せですが(笑)シャツの雰囲気に合うボタンをチョイスしてもらえたと思います。

 

そうそう、前立ての幅も3.8cmで今までと同じです。変える必要のない仕様はそのまま継続です。

 

生地に触れないといけません。これかなり肝だった(笑)記念すべき鎌倉シャツに別注したシャツですから、生地も鎌倉に所縁のあるモノが良いと思っていたのですね。そうこうしていたら、貞末会長のコラムでこんな事が書いてありました。男のボタンダウンシャツの基本は、40番単糸のしっかりとした生地感のものであると。こう書いてあるからにはそうあるべきだと思いまして相談したところ、ご厚意で鎌倉シャツが持っている基本となる40番単のオックスフォード生地を使わせてもらえる事になりました。

 

別角度で。この生地の素晴らしい所は、古き良きと言ったイメージのあるオックスフォードでありながらも、適度な艶もあってちょっとした高級感があるのですね。でもあくまで40番手ですので、高番手の生地の様な繊細さは控えめなのです。この感じ丁度良いと思います。

 

と言う事で着てみましょう。サイズ感もしっかりと調整をしましたので、出来栄えにはかなり満足しております。

 

サイズ2(M)を着ております。程よく絞られたウエストも魅力ですが、芯無しでここまでしっかりとしたシャツになるのかと驚いております。襟のロール感も色気があってよろしいじゃありませんか。生地の厚みもあってかなり好きな感じになりました。

 

憧れの芯無し初体験は40番のオックスだった。こんな感じで記憶しておくとしましょう(笑)

 

これは軽くプレスして出荷された初期状態ですよね。ご自分でアイロンを掛けて、好きな風合いにするのも楽しみですよね。パリッと仕上げると、とんでもなく上品な襟元になるのだとか。早速やってみたいと思います。

 

インしてみました。基本はタックアウトで着るのですが、裾をパンツにインした状態で夕方まで裾が出てこないだろうとセッティングをしました。身長のある方は朝から2時くらいまでは出ないと思います(笑)

 

と言う事で、着こなしまで行こうと思いましたが、シャツへの思いが強かった分、思っていた以上に長くなってしまいましたね。と言う事で着こなしとあれこれはまた明日に。鎌倉シャツが製品の卸をしているとは聞いた事がありませんし、また鎌倉シャツが長年掛けて開発した”新しく古いボタンダウンシャツ”をこうした形で販売させていただく事は貴重ですから、もの凄い喜びを感じております。律儀に白いボタンダウンシャツから始めるってのも当店らしくてよろしいかと思います。

 

それでは明日の続きも引き続きお願い致します。

 

tanaka