一年程前、
ポルトガルサッカーリーグの
試合中に起きた人種差別行為が
大きな社会問題となったことがありました。
FCポルトに所属するマリ代表のマレガ選手が、
古巣のギマランイスサポーターから
人種差別のチャントを受け、
ピッチを去るという事態に発展してしまった。
その後FCポルトは
人種差別に対する抗議のビデオを
早急に作成し、
SNSを通じて全世界に発信。
その中には当時在籍していた
中島翔哉選手も登場しているのですが、
日本でこのことについて報道するメディアは
特になかったと記憶しています。
一年が経ち、再びポルトガルのメディアや
FCポルトはこの問題を取り上げ、
人種差別撲滅を改めて訴えています。
参照「Dragao News」Twitter
また先日もウルグアイにおいて、
ペニャロール所属の黒人選手
デニス・オリベーラが
ナシオナル戦で不調だったことを理由に
ネット上で差別的な中傷を受けたことから、
選手たちが団結してメッセージ動画を作成する
ということがあったばかり。
残念なことに世界のサッカー界において
人種差別の問題は
散発的に起こっているのですが、
こういったことはネット上の狭い領域内で
知られることはあっても、
日本のメジャーなメディアで
取り上げられることはほとんどありません。
地理的にも陸続きの外国がない日本において、
国境を越えて侵略を受けた歴史や
移民が押し寄せるという経験がなく、
自分たち以外の人種に接する機会が少なかった
日本人にとってこの問題は非常に分かりづらく、
この国の内部に長くいると
リアリティがなくなってしまう。
中傷を受ける人種の多くが黒人ではありますが、
黄色人種である日本人も
決して他人事ではないはずです。
さらに昨今は新型コロナ禍の影響で、
欧米に住むアジア人全体が
ニュースにはならない差別を少なからず
受けているであろうことは想像に難くない。
時折、今のところ差別的なものは感じない、
という海外に住む日本人のブログや
SNSでのコメントをみかけたりもしますが、
あれは嘘か本人が鈍感か、
どちらかでしかないでしょう。
観光ではなく、
海外に居住した経験が多少なりともある方なら
分かると思いますが、
ただじゃなくとも、新型コロナ禍など関係なく、
欧米において
アジア人が差別的な言動を受けることは
日常的にしばしばあるというのに、
この状況下で何も感じないということは
有り得ない。
日本人にとって分かりづらい
イシューであるからこそ、
メディアは報道を通して、
考える機会を持たせるべきなのですが、
リアリティがないせいか、
なかなかそうはならない。
差別は人種だけではなく、
年齢であったり、男女であったり、
多岐に渡って存在します。
先日オリンピック・パラリンピック大会組織委員会
において起きた女性蔑視発言もしかり。
前会長への批判について、
過去の功績を無視して批判ばかりするのか、
というニュアンスの擁護の声もあると聞きます。
私も昭和の人間なので、
そういった声は分からないでもない。
ただ本人には気の毒ですが、
過去の功績は
何一つ擁護する理由にはならない。
真実は現在にしかないし、
過去は過去で、未来に確かなものはない。
それは何も社会問題においてだけでは
ないのではないだろうか。
過去に好きでいてくれた人が
現在も好きでいてくれているとは限らないし、
未来もそうなるかは分からない。
過去にかなりの実績を挙げた人が
現在もトップにいるとは限らないし、
未来にどうなるかも分からない。
過去の功績に対する評価を前提に
現在の問題を批評しようとしても、
問題の根本が曖昧になる上、
旧態依然の構造を
変える機会も失ってしまう。
差別や偏見という問題は
若年層の世代では
すでに敏感になりつつありますが、
社会全体としてはまだまだ疎いというのが
現状のように感じます。
