前回の続き~

文化祭の劇の説明が終わった後、教室に戻ろうとすると、教室の前に、ミナがいたのです。

私を見つけるなり、すぐに近づいてきて、「なぁ~セネー一緒に帰ろう~」と言ってくるのです。

まぁ、なんというか、千載一遇のチャンスに私の気分は有頂天。

心が躍り出しそうなくらい喜んでいましたが、あえてポーカーフェイスで「あぁ、ええよ」。


で、そのとなりにいたミナの友達も一緒に帰ると思ったら、校門出てから方向が違うというか…まぁつまり周りは説明会に参加した中三+ミナ(小六)という形になったわけです。


勿論周りは「おいセネ、それ新しい妹?」「それ契約交わしたん?」「はいはい…おい、お前邪魔したらあかんやろ」とか色々言われていたと思いますが、周りに混じって下校します。

まぁ、色々会話してたんですよ、さりげなく群れから距離をとって。


で、私はいつも地下鉄を利用して登下校なわけですが、その日はミナが「○○(市街地)まで歩こう~」って言うのです。

学校から徒歩三十分くらいで、結構体力がいるわけです。とはいっても、私はそこまでよろよろなわけないのですがね…。

私が「え~…」とか言って悩んでたら、「女の子おくられへんかったらモテへんで」とか挑発してくるんですよ。

もうそこまで言われたら行くしかないじゃないですか、もういっその事彼女の家の前々送ってやろうと思ったのです。


で、群れとは違う方向に行って、二人きりに…。

まぁ、結構いいムードが漂っていたのです。

とはいっても、出会ったのが昨日の今日で親密になった関係ですが、もっと昔から仲が良かった感じでした。


会話のネタもとぎれることなく…とはいっても、彼女はB型だったので一旦話をふれば、構わず話し続けますからね、楽です。こっちは適当にうんうん聞いてるだけですからね。


それ以前に冷静に考えてみて、私は一体何をやっているんだろう…とか思っちゃいますよね。

可愛い小学生と何市街地歩いているんだと…。

気にしたら霧が無いので、このことはスルー。


で、何故か会話の内容がいじめに関することになったんですよ。

「うち(私)なぁ…いじめられとんねん」

「…え、嘘~悪いけどそんなキャラにはみえへんな~」陽気に話す私、しかし、実際はもっとアンダーな内容でした。

「今日な、ビンタされてん、中二のユウって子に…掃除してたらちょっとこっち来てとか言われて、トイレでいきなり…」

この時彼女は泣きそうな顔をしていました。怯えている小動物を連想させるような…思わず私は彼女を抱きしめたい衝動に駆られましたが、場所が場所と、世間体が隔ててそれは出来ませんでした。

「なんでなん?」

「うちさぁ、舞踊部入ったやん?今年の九月からやけど…」

「あぁ~でももっと前からおらんかったっけ?」

「あぁ、あれな、なんか長い間体験入部(三ヶ月ほど)してたっていうか…」

舞踊部を簡単に説明しますと、民族特有のダンスで、私の入っていた部活(三ヶ月前に引退)のとなりで練習をしていました。勿論練習も小中合同で、部活と同じ日に重なっていました。

舞踊部は小学三年生から入れるのです。因みに彼女の姉は元舞踊部のエース。

「で、なんかしらんけど、今度の文化祭でレギュラーみたいのに決まってん。(姉から踊るコツを教えてもらったらしい)それでな、うち入ったばっかやん?三年前から入ってる子が代わりにでられんようになってな…」

「それで?」

「そのでられへん子が仲いいユウって子にうちのことビンタしてって頼んで今日やったんやと思う」

「えぇ…そんな事この学校であるんやな…」

まぁ、実際に結構驚きましたよ。

この学校は結構和気藹々とした雰囲気だったので、いじめも結構少なかったのです。

まぁ、なんというか結構暗い雰囲気になったんですよね。

「痛かった?」

「うん」

「辛かった?」

「うん」

とかね、なんでこの時、嫌なこと思い出させようとしたんだろうと自己嫌悪。

そこで不甲斐ない私のこんな一言…

「ごめん…俺には慰めることできへんわ…」

こんな言葉しか言えませんでした。

もうね、選択肢がこれしかないわけですよ、どーにもこーにも。

だってね、恋愛経験があまり豊富でないチェリーな私にどうしろと?

第一人間関係に関しては何も言えないのが現状だと思っていましたしね。

ていうか、三十分前まではうきうきだったのに、何このダークな雰囲気。


その後、何故か私の受験する高校の話に…。

因みに、私は県下でトップクラスの県立高校を目指していました。勿論、塾も何もなしで。

「へぇー、○高校目指してるんや~、でもあそこの女頭良いけど、代わりになんていうか…気を付けといたほうがいいで」

「なんで?」

「なんか髪の毛巻いてたり、性格悪いのおおいねんて…」

「魔性の女とか?」

「うん、そうそう」

まぁ、この子は会話する限りここの学校の女子に関して意見を持っているようでした。(この部分は後に大きな意味をもつことになります。まぁ、勘の良いあなたならわかるはずでしょう…)


その後、四十分ほど経つと、彼女の家の近くまで到着。楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。

因みにこの間には彼女の兄や姉について、家庭環境について、など色々相談に乗ったり乗られたりしていましたが、あんまり覚えていないので割愛。

さて…そろそろお別れの時間かな…と思っていましたが、

「帰りたくない…だって家誰もおらへんもん…」(誘ってるのかとか思いましたね、お持ち帰りとかありえんけど)

「いやいや…んなこと言われたって…家かえらへんかったら、どこも帰る所ないやろ?」(完璧いつもと違うキャラに変わってます)

いつもなら、ふーん、んじゃホテル行く?とか言いますけど。いや半分期待、半分冗談で。

そして寂しそうに

「うん…」

まぁ、私も子猫を放っておくようなワルではないので…

「どっかで飯食いに行く?」

と、彼女の家の周りは都市部みたいな感じでファーストフードその他諸々が賑わっていました。

「お金無い…」

「もう俺が奢ってやるから」

普段は絶対に言わないこのセリフ、女の子の前だからこそ言える。

いつもは男子の前では逆の立場なのに…。せこい自分に自己嫌悪。

すると意外に

「奢られるのはあかんってお母さんが言ってたから…人に奢るのはいいけど…」

うん、軽く感動した。

今時こんなこと言う子はおらんじゃろうと。

どこにこんなええ子を放っておく男がおるんじゃい、みたいなね。

「そんじゃ俺の家来る?」

「とおいやろ…」

「まぁ、歩いて軽く三十分以上?」

そこで軽く沈黙…。

「もう、ほんまに帰らなあかんって…」

「うん、わかった…」

と寂しそうに言う彼女。

少し心が痛みました。


「今度勉強教えてな…」(こう見えても、クラスの8割は塾に行っていた学生が大半の中、一人独学で何故かクラスのトップらへんにいる私でしたので、小学生の勉強を見るのもちょちょいのちょいでした、勿論勉強のコツなどは全て自分で把握したので、私のアドバイスを受ければ即成績アップ間違いなし!!今なら無料体験講座付きで月4000円から(略))


「ああ…ええよ」


はい、そこから私は虚しく近くの駅まで歩いて、帰宅。

まぁ、面倒くさいなぁ…てきなものが半分、嬉しいのが半分。

どっちかわからない中途半端な私の性格。

この優柔不断な性格が後に、後悔を呼ぶことになるのでした。