THE BEATLES 1962 - 1966 | Get Up And Go !

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『THE BEATLES 1962 - 1966』(通称:赤盤)、『THE BEATLES 1967 - 1970』(通称:青盤)の2023 エディションが、10日に発売されました。ストリーミング配信も開始されています。

デビューシングル「Love Me Do」から "新曲"「Now And Then」まで、75曲を収録。『赤盤』は12曲、『青盤』は9曲が従来のアルバムにそれぞれ追加収録されています。

ポップス史上、最強のベスト盤 『赤盤』『青盤』が最初にリリースされたのが1973年。 当時はアナログ盤でそれぞれ2枚組。 計4枚のアナログ・レコードに収録されていました。僕のようなビートルズ第二世代にとっては、入門編と言えるアルバムだったんですよね。クラスの友人に貸したりもしました。 昔、チェッカーズの藤井フミヤが、自分たちのことを "赤盤・青盤世代" と言っていましたが、この言葉に同世代感を覚えて親しみを持ったのを思い出します。





とても思い出深いアルバムです。初めて買ったビートルズのアルバムなのです。 現在もそのアルバムは大切にして聴いています。1993年には初めてCD化もされましたが、買うことはなかったので今回思い切って2タイトル共に買いました。

ジョージ・マーティンの息子であるジャイルズの作り上げた、新世代向けのビートルズの音というのを聴いてみたかったので。このアルバムについての個人的な思い入れについては、過去に記事にしているので良かったら ヘッドフォン






長くなってしまうので、今回は『赤盤』だけにしぼって何曲か。 『青盤』については日を改めて。

追加収録となったのは、「I Saw Her Standing There」「Twist And Shout」「This Boy」「Roll Over Beethoven」「You Really Got A Hold On Me」「You Can't Do That」「If I Needed Someone」「Taxman」「Got You get You Into My Life」「I'm Only Sleeping」「Here There And Everywhere」「Tomorrow Never Knows」の12曲。

12曲の中では、以前から「何で入れなかったの?」と思っていた「This Boy」と「Here There And Everywhere」が収録となったのが嬉しいところです。逆に「入れなくてもいいのでは」と思った曲もありますが、それは好みの問題ですからね。やめておきます。

昨年すでにリミックスされたアルバム『REVOLVER』収録の曲以外は<2023 ミックス>となっているので、おそらくは前回の記事で説明したデミックスという方法を用いて新たにミックスしたものと思われます。

初期の2枚のアルバムは2チャンネルで録音されているので、右スピーカーからはほとんんど歌だけ、左からは演奏のみが聞こえるという、極端に音が振り分けられた録音です。歌と演奏を同時に行い録音するという形の、ほとんどライヴ演奏のようにして録音されていました。

その音源からデミックスというA.I.技術によって各楽器を分離して取り出し、それをマルチトラックに移し替えミックスするという方法が用いられています。すでに発表となった「Now And Then」も同様に、ジョンの声を分離して取り出しました。





ビートルズは音源の質自体が、当時としては良かったというのもありますが、今回のデミックスによってどの曲も極めて分離の良い、これまで耳に馴染んできたビートルズの音とはかなりの違いを感じます。曇りのない鮮明な音です。ギターの音はシャープで迫力を増し、ドラムのビートも切れの良い音となっています。もちろんそれらの音が、左右バランスよくミックスされているわけです。

おそらくは世界中のビートルズ・ファンが最も注目したミックスは「She Loves You」でしょう。2チャンネルどころか、モノラル音源しか残されていないとずっと言われてきた曲です。初期ビートルズの代表曲のひとつ「She Loves you」は音質が悪いのです。 もう30年ほど前ですが、"real stereo version” と表記された海賊盤を買って騙されたことがあります。疑似ステレオという、エコーなどのエフェクト処理によってステレオのように聴こえる「She Loves You」でした。あの海賊盤に飛びついたファンは世界中にいたと思います。

それが今回、A.I.技術の進歩によってリアル・ステレオ・ヴァージョンの「She Love You」が発表されたわけですからね。これはちょっと感動です。



She Loves You (2023 mix)
ヘッドフォンで聴いてみてね ヘッドフォン


『赤盤』『青盤』を入門編とした僕ら第二世代は、この2つのアルバムの曲順が消えようもなく刷り込まれています。つまりは、どこであっても、いかなる場面であっても「Please Leave Me」が終わると「From Me To you」の "ダララ~ララ、ドゥンドゥンダ~ " が頭の中で鳴り出し、「A Hard Day's Night」が終われば「And I Love Her」の静かなギターイントロが始まり、といった具合です。

今回、ビートルズの中でも屈指のコーラスが聴ける「This Boy」が収録されたのはとても嬉しいことです。そして初期のバラードの名曲、ポールの作った「And I Love Her」に負けず劣らず、ジョンの作った「This Boy」も名曲であることを、新世代のファンにもわかってもらえることでしょう。

ただ、
曲順が。。。 「I Want To Hold your Hand」の後にねじ込むとは。。。 「She Loves You」「I Want To Hold Your Hand」「All My Loving」と続く3曲は、初期ビートルズの黄金の3連奏なんですよ。その流れが遮断されてしまうんですよね。 ま、これは個人的な問題でしょう。
とは言え、「This Boy」が収録されたのはめでたいことです。ジョンもあの世できっと喜んでいることでしょう。



This Boy (2023 mix)


音をどのようにいじくろうがビートルズはビートルズだ! と言ったら身も蓋もないことですが、ポール・マッカートニーにしても、ジャイルズ・マーティンにしても、これからもずっと聞き継がれていくであろうビートルズの音楽を新しい世代のために、というのはあったと思います。 もともとが古さを感じさせないのがビートルズの音楽ですが、それをより受け入れられやすい音にして、というのが。

僕自身はと言えば、凄い凄い! と言いながら聴いてはいますが、結局アナログ盤の『赤盤』『青盤』に帰っていきそうです。 それでいいのです。

老兵は死なず、ただ消え去るのみ。
これでは暗いか (/_;)

たいまつは新しい世代に引き継がれた!
こっちのほうが良いですね。(^^)v



I Want To Hold Your Hand (2023 mix)