カム・テイスト・ザ・バンド | Get Up And Go !

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『カム・テイスト・ザ・バンド』(Come Taste the Band)は、1975年にリリースされた、ディープ・パープル 通算10枚目のアルバムです。10年ほど前の旧ブログ時代に、一度 記事にしたことがあるのですが、最も好きなディープ・パープルのアルバムを、今回はもう少し掘り下げて記事にしてみました。ギター


最近は部屋でハード・ロックを聴くことは少なくなってしまいました。70年代は、多くの男子ロックファンの例に漏れず、レッド・ツェッペリンやディープ・パープル等のイギリスのハードロック勢はよく聴いていました。80年代以降も、エアロスミスのライブには何度か行ったし、ガンズ・アンド・ローゼズの92年の東京ドームに行ったこともあるし、けっこう聴いていたのですが。





第4期 ディープ・パープル
『カム・テイスト・ザ・バンド』を、70年代パープルの最も好きなアルバムに挙げるひとは少ないかと思います。この第4期の売りは、何と言ってもギターにトミー・ボーリンが在籍していたことでしょう。 わがままリッチーを火種として内ゲバを繰り返したディープ・パープルは、ヴォーカルのイアン・ギランが脱退し、ギターのリッチー・ブラックモアも脱退。トミー・ボーリンは、ジョー・ウォルシュの推薦により、またメンバーのジョン・ロードがそのギタープレイを気に入ったことによって、リッチーの後釜として1975年にディープ・パープルに加入しています。

ジョン・ロード (Jon Lord ) - Key
トミー・ボーリン (Tommy Bolin) - G
イアン・ペイス (Ian Paice) - Ds
グレン・ヒューズ (Glen Hughes) - B. Vo
デイヴィッド・カヴァデール (David Coverdale) - Vo


I Need Love
トミー・ボーリンは、アメリカ人ギタリストです。そしてビリー・コブハムやアルフォンソ・ムーンといった、ジャズ/フュージョン系ドラマーのアルバムに参加していたと言う、ハード・ロック系バンドのギタリストとしては異色の経歴を持ったひとです。

ジョン・ロードの、トミー・ボーリンという新しい血をバンドに注入した決断が、『カム・テイスト・ザ・バンド』という、ハードロックとしては異色の、そしてファンタスティックなアルバムが生まれた大きな要因だと思います。

ソロにおけるリズム感覚は、リッチー・ブラックモアのそれとは違ったものです。アメリカ的な “跳ね” を感じます。スライドギターによるプレイも、バンドとしては新機軸と言えます。デイヴィッド・カヴァーデールのソウルフルな歌もいいですよね!





Gettin' Tighter
実はこのアルバム、初めて聴いた高校時代は素通りしてしまいました。このアルバムの少し前に聴いた 『ライブ・イン・ジャパン』でのリッチー・ブラックモアのブレイの印象が強烈で、『カム・テイスト・ザ・バンド』の魅力を感じ取ることが出来なかったんですね。 高校時の周囲のパープル・ファンは、大方そうであったと思います。 様々なジャンルの音楽を聴き、それが自分の中に定着したずっと後に、このアルバムの素晴らしさがわかった感じです。

「ゲッティン・タイター」が、個人的にはこのアルバムのベスト・トラックです。 ファンキーなギターにベースが絡み、イアン・ペイスのドラムも素晴らしいノリ。 ここでのトミー・ボーリンのブレイを聴くと、様々なフレーズのアイデアは自然に湧き出てきたように思えます。それはアルバム9曲中7曲に関わった、ソングライティングにも言えます。 本当に素晴らしいギタリスト、アーティストです。

この曲のボーカルは、トミーとこの曲を共作したベースのグレン・ヒューズです。 これもまたソウルフル! すぐれたボーカリストがふたりもいて、なんとも贅沢なバンド、Come Taste The Band! です。





You Keep On Moving
トミー・ボーリンが曲作りには関わっていない、デイヴィッド・カヴァーデールとグレン・ヒューズ、ふたりによる共作曲です。そんなわけで、ブリティッシュ・ロックらしさを感じさせるバラードとなっています。

黒っぽい歌唱を持ち味とするふたりのボーカリストの歌の共演は素晴らしいのひとこと。ジョン・ロードの鍵盤、イアン・ペイスのドラム、そしてトミー・ボーリンのギターが、完璧な塊となって迫ってくる曲。 アルバムの最後を飾るにふさわしい曲です!






現在、悲劇のギタリストと言われることもあるトミー・ボーリン。「ハイウェイ・スターをガタガタにした下手くそなギター」というレッテルは、75年の来日公演の惨憺たる演奏によってつけられてしまったものです。不調の原因がドラッグによるものであったのか。あるいは当時伝えられたケガによるものであったのか。酷評を払拭出来ずに亡くなったことが残念です。

1976年12月4日、トミー・ボーリンは麻薬の過剰摂取によって、25歳の若さで亡くなっています。