
Black Magic Woman
今月始めに観た、劇場版 『エリック・クラプトン : ロックダウン・セッションズ』 の中で、クラプトンが 「ピーターに… 」 と言ってから歌い始めた曲です。 その 「ブラック・マジック・ウーマン」 について少しだけ。
ロックファンなら誰でもが知っている、ピーター・グリーン作詞/作曲のナンバーです。最も有名なのは、1970年にサンタナにカバーされて全米4位の大ヒットとなったヴァージョンですが、オリジナルはピーター・グリーン在籍時のフリートウッド・マックによるものです (1968年発表) 。

ピーター・グリーンは、1966年にジョン・メイオール & ブルース・ブレイカーズに参加して以来、一躍注目を集めることとなった、ブリティッシュ・ブルース屈指のギタリストです。 エリック・クラプトンは、その革新的なギタープレイから "ゴッド" と呼ばれていましたが、ピーター・グリーンは "グリーン・ゴッド" と、当時のロンドンで呼ばれていたと言います。
グリーンのプレイは、情念型の泣きのギターに特徴があります。B.B.キングを驚嘆させたこともあると言う繊細なトーンによるプレイは、マイナー調の曲において、よりその良さを発揮しています。 日本人好みのプレイと言えるかも。 当初 クラプトンのプレイに衝撃を受けたこともあるそうですが、確かにプレイからはクラプトンの影響も感じます。
ドラッグ中毒による精神状態の悪化で廃人同様の生活をおくり、ギターをまったく弾かなかった時期もあったそうです。隠遁生活が長く続いたため、ベストの状態での録音が少ないのが残念です。
ピーター・グリーンは昨年7月、73歳で亡くなられています。
エリック・クラプトンとピーター・グリーンは長く友人関係にありました。 お互いジョン・メイオール・ブルース学校と言われた、ブルース・ブレイカーズ出身だったことによっても、特別な親しみがあったのかもしれません。 因みにグリーンは、クラプトンの後釜ギタリストとしてブルース・ブレーカーズに加入しています。
1990年の、ピーター・グリーンに関するクラプトンのインタビュー記事を思い出したので、そのまま載せておきます(ロッキン・オン90年3月) 。 グリーンが長く隠遁状態にあった頃です。
「3週間くらい家に連れてきて、業界や人生についての不平不満を聞いてやったんだ。 僕はひたすら受け流す感じで一日中音楽をかけてすごしたわけ。 朝 起きると一番に音楽をかけるんだよ。 オペラ、クラシック、ギター・ミュージック、ブルース、ジャズと、もう何でも一日中かけるんだ。 で、一週間くらいしたある日 、ピーターが庭で踊っているのを見かけたんだ。 だから、いい変化は彼の中で起きていたわけだね。 帰る時には結構前向きな様子になってたんだよ。 きっと、どこかしら心が癒えるようなところはあったと思うんだけどね。 というのは音楽は人からかけてもらうってのは責任から解放されるところがあるからなんだ。 人に音楽をかけてもらえると、まず自分が選ぶ必要はないし、またそこから何かを引き出す責任も負わなくても済むんだよ。 だからピーターにはいい体験だったと思うし、必要ならば何回だってしてあげたいと思う。 僕は奴が大好きなんだ。」
