
トレイン・ケプト・ア・ローリン / Train Kept A Rollin'

汽車の中でひとりの女に会った
キリっとしたいい女だった
ニューヨークから来た女なのだろう
俺は汽車の中をウロウロだ
熱くなってのぼせちまったよ
しかし、どうやって口説けばいいものか
汽車は走る 闇夜の中を・・・
どうやって口説けばいいものか
仲良くやろうぜ、いかしたアンタ
一緒によろしく、いかした女
俺はアンタにぞっこんなんだ
しかし、どうやって口説けばいいものか
汽車は走る 一晩中・・・
Well, on a train, I met a dame
She rather handsome. we kinda looked the same
She was pretty, from New York City
I'm walkin' down that old fair lane
I'm in heat, I'm in love
But I just couldn't tell her so
Train kept a-rollin' all night long …
Well, get along
Sweet little woman, get along
On your way, get along
Sweet little woman, get along
On your way
I'm in heat, I'm in love
But I just couldn't tell her so. no no no !
Train kept a-rollin' all night long …

夏休み・オリンピック・バージョンもそろそろ終わりにしようかと。本来の音楽ブログをブギウギ列車で再発進! ってことで。 Get Up And Go!

有名なのはヤードバーズのヴァージョンか。あるいはエアロスミスのそれか。最初 エアロで聴いて好きになりました。買った日本盤レコードには「ブギウギ列車夜行便」 という邦題が。 好きですね。この邦題。
歌詞の一部を冒頭に載せましたが、そんなわけでエアロのヴァージョンの歌詞を。 主役をスティーヴン・タイラーと仮定して意訳してみました。
“電車の中でいかしたスケを見つけたぜ。チクショウ! なんていい女なんだ。どうにかしてコマせないもんかい” (昔のチンピラ風)。 …… そんな感じですかね 。

この曲にはいくつもヴァージョンがあって、今やロックのスタンダードナンバーと言ってもよい曲です。ポイントとなる4つのヴァージョンを。
TINY BRADSHAW / Train Kept A Rollin' (1951)
オリジナルは1951年録音の、タイニー・ブラッドショーというシンガーのものです。作曲も本人によるものですが、歌詞のほうは古いブルースを書き直したもののようです。
ヤードバーズ、エアロスミスをはじめとしたロック・ヴァージョンしか聴いたことのない人には、まったく別の曲に聴こえるかも。
50年代アメリカの黒人大衆音楽の主流は、ジャンプ・ミュージックと言われるブルースとブギ・ウギを取り込んだ娯楽性の高い、ビッグバンド編成によるダンス・ミュージックです。そしてその編成に負けないよう叫ぶように歌ったのがジャンプ・シャウターと呼ばれるシンガーです。 そのシャウターのひとりであり、また楽団のリーダーであったのがタイニー・ブラッドショーです。
じっくり聴いてみると、ピアノの転がり具合が素敵だし、楽しくてシャレた曲です。
JOHNNY BURNETTE / Train Kept A Rollin' (1956)
1956年録音のジョニー・バーネット・トリオによるカバーとなると、ビートもエイトとなりギターもややハード。 これはもうロックン・ロールですね。 ポール・バリソンというギタリストの弾くギターの音は歪んでいます。テレキャスターのように見えるギターは、その原型であるエスクワイアか!?
アップライト・ベースもバッキンバッキン。弦を指板に打ちつけていてパンキッシュな感じも! トリオ編成って見た目もカッコいいし。このロックン・ロール・トリオ、最高です!
THE YARDBIRDS / Train Kept A Rollin' (1966)
ジョニー・バーネットのヴァージョンを発展させたのが、ヤードバーズです。 ヤードバーズは、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの3人のギタリストを輩出したことで有名な、イギリスのロックバンドです。
「トレイン・ケプト・ア・ローリン」 は1966年録音の、ジェフ・ベック在籍時のものです。 それにしても、このギターリフは数あるロック・ナンバーの中でも屈指のもの。いつ聴いてもカッコいい!
AEROSMITH / Train Kept A Rollin' (1974)
そして本日のメインエベント、エアロスミスです。
エアロスミスはボストン出身の5人組ロック・バンド。 1973年にアルバム 『野獣生誕』 でデビュー。アメリカを代表するロックバンドへと成長していきます。 しかし、“アメリカン・バンド” エアロスミスには少しの説明を要します。
ギターのジョー・ペリーが熱心なヤードバーズのファンであったことはよく知られています。 特にジェフ・ベックを師と仰ぎ、ヤードバーズ / ジェフ・ベックのレコードは、海賊盤を含めすべて集めていたそうです。 他のメンバーにしても英国ロックへの志向は強く、共通するのはビートルズが好きだということ。 つまりは、彼らにとっての音楽的なルーツであるアメリカの音楽、R&Bやブルースは、英国というフィルターを経由して培った面が多分にあるということ。
60年代のイギリスの、ルーツ指向ミュージシャンの中には、R&Bやブルースを当たり前の土壌として持つアメリカのアーティストに対して、コンプレックスを持つ人も少なからずいたと言うのにね (有名なのはクラプトン)。

言いたかったのは、エアロスミスがR&Bやブルースを好んで取り上げたりするのは、ルーツ探求という面ばかりではないと言うことです。 「トレイン・ケプト・ア・ローリン」を、ヤードバーズへのリスペクトの気持ちから取り上げたのは明らかです。当時、イギリスの音楽誌・メロディ・メーカーは、エアロスミスのことを 「セカンド・ジェネレーション・オブ・ヤードバーズ」 と表現しています。
初期のエアロスミスの音には、荒々しさや毒々しさがありながらも、カチっとしたまとまりもあります。イギリス経由で得た何かからの影響かもしれません。
「トレイン・ケプト・ア・ローリン」 は、汽車の中での出来事を曲にしています。 4曲それぞれが汽車で走る感じを、楽器の音やアレンジで表現しています。 聴き比べてみると面白いかも。

