つづれおり | Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ







70年代アメリカ音楽を代表するアルバム。 そう言っても差し支えないと思います。 キャロル・キング2枚目のソロ・アルバム 『TAPESTRY / つづれおり』 が発表されたのは、1971年2月10日。 48年前のことです。

長く人々の生活に密着するようにして愛されてきたアルバムです。 またこのアルバムが女性シンガー・ソングライターの台頭を促し、後進にとってはバイブル的な存在となり大きな影響を与え続けてもきました。 それは現在も続いているのではないでしょうか。

今年のアカデミー賞・作品賞の候補にもなっている、レディ・ガガ主演の映画 『アリー / スター誕生』 で、スターになることを夢見て歌うアリーの部屋の壁に 『つづれおり』 が飾られているのを見て、あらためて「そういうアルバムなんだなぁ」 と思った次第です。




So Far Way
アルバム 『つづれおり』 は、71年全米アルバムチャートで、15週に渡って1位を続け、グラミー賞では4部門を獲得。


そんなわけで、最近は再びこのアルバムが僕の部屋の空気を支配しているのですが、冬の日射しの差し込む部屋の空気を温かいものにしてくれています。 それは作品の中核をなすピアノのサウンドと、歌の純朴さによるところも大きいと思います。

キャロルは歌唱力抜群の上手い歌手というわけではないんですね。ただピアノによるサウンドと彼女の素朴な歌が、アルバム発表当時のアメリカの社会情勢、具体的にはベトナム戦争の泥沼化によって疲弊していたアメリカ人の心を捉えることとなった。 ヒッピーが唱える幻想を伴った 「愛と平和」とは違う、もっと近しい存在のやすらぎを与えた。 これは 『つづれおり』 ではよく言われることです。

そしてそれは、私たちが常に管理されたプレッシャーの中にある現代社会で生きていかなければならないこと。 加えて世界が本当の意味で平和であったことなど一度もないことを考えれば、『つづれおり』 はいつの時代にあっても世界中のひとたちが求めている音楽であり、それは永遠の名盤と呼ぶに相応しい作品なのではないかと思うのです。




It's Too Late
71年6月、この曲は全米チャート5週連続1位を記録しています。


君の友だち / You've Got A friend

あなたが元気なくそして悩むとき
あなたが愛の慰めを必要とするとき
何もかもがうまくいかないとき
目を閉じて私のことを考えてほしい
わたしはすぐに飛んで行くから
あなたの暗闇を明るく照らすために

When you're down and troubled
And you need some loving care
And nothing, nothing is going right
Close your eyes and think of me
And soon I will be there
To brighten up even your darkest night


どこをどう切っても素晴らしいアルバムの中にあって、世界中のアーティストたちによってカバーされ、愛され続けてきたこの曲 「君の友だち」 について少し。

ストレスで押しつぶされそうな競争社会の中にあっては、「本当の友だち」などという言葉はとても嘘くさく聞こえてしまいます。でもね・・・。 「ショーシャンクの空に」という、友情をテーマに持った映画がありますが、いわゆる 「生き馬の目を抜く世界」 で生きる大企業のエリートが、あの映画を涙を流しながら観た、という話をどこかで読み、「きっと誰もが永遠の友情を心の奥底では求めているんだな」 と、その時思ったんですね。

キャロル・キングのこの歌を聴いていると、忘れていた大切なことにハッと気づかされます。 純朴な歌ゆえに、真実味を持って響いてきます。 月並みな言葉ですが 「友だちは喜びを倍にし、悲しみを半分にしてくれる」 と言うでしょ。 たとえ成功を掴んだとしても、友だちのいない人生などなんとも寂しく味気のないものですよね。

最近、ある若い女性ブロガーさん (10代と思われる) が、この曲についてを素直な気持ちで綴っていて、世代を超えて感動を共有しているように思えてとても嬉しい気持ちになりました。 「良いものはいつの時代であっても良い」 と言う、ひとつの証明にも思えたし。

「誰かが私を必要としてくれている。誰かの力になれる人になりたい」という気持ち、大切にしてほしいと思います。 そしてこの曲を良いものとして捉えた自分の感性に自信を持ってほしいです。
これは上から目線の金八先生ではなく、若気の至りによって大切な友人を何人も失ってしまった、しくじり先生 "やん" からのメッセージです。
f^_^;



You've Got A Friend
2005年、南カリフォルニアでのライヴです。










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