明日 11月29日は、ジョージ・ハリスンの命日にあたります。 亡くなったのが2001年なので、今年で17回目ということになります。 そして今日11月28日は、ソロとしては初となる来日コンサートのため、日本に降り立った日です。 1991年、もう27年も前のことです。
で、なぜクラプトンなのかと言えば、映画 『エリック・クラプトン - 12小節の人生- 』 が現在公開中で、その中ではもちろんジョージ・ハリスンも登場するわけで。 そしてその初来日コンサートでのメンバーとして、ジョージをサポートしたのがエリック・クラプトンです。 お互いにとって親友であったふたりを同時に語るには、これ以上のタイミングはないのではないかと言うことです。
ふたりが最初に出会ったのは1964年12月。 ロンドンのハマースミス・オデオンで行われた、ビートルズのクリスマス・ショーとして企画されたイベントでのバックステージでのこと。 当時クラプトンが所属していたバンド、ヤードバーズが、その前座として出演していたことによるもの。
ふたりはギタリスト同士すぐに気が合ったそうですが、なにしろ別世界のスターであったビートルズ。 ふたりが打ち解けるのは、"クラプトンは神 " と言われるようになった、クリーム時代まで待たなければならなかった、というわけです。
ジョージがクラプトンに近づいたのは、"神" と言われていたクラプトンのギター・プレイを気に入った、というのが大きな要因だと思います。 クリーム以前の、ブルース・ブレイカーズの頃からのクラプトンの演奏は、同時代のギタリストの中では、群を抜く素晴らしいものであったというのは間違いない事実なわけですからね。
クラプトンの演奏はブルースを基調にしているので、黒っぽさのないジョージの演奏とは接点がないようにも思えます。 ですが、クリーム時代のクラプトンの演奏には、インド音楽からの影響もうかがえて (例えば "アイム・ソー・グラッド" ) 、そのあたりで ジョージから何かを学びたい、というのもあったのかも知れません。
そしてすっかり打ち解けたふたりの友情が、音楽として結実した最初の曲が 「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」です 。 有名なので、多くを語る必要もないですよね。 1971年の 「コンサート・フォー・バングラデシュ」、1987年の 「プリンス・トラスト・コンサート」、そして1991年の 「ジャパン・ツアー」 において、ジョージとクラプトンのふたりはこの曲を、ステージ上で演奏しています。
ふたりは住む家が近かったこともあり、頻繁に行き来をしていたそうです。 クラプトン邸を訪れたジョージが、日向ぼっこをしながら生み出したという逸話を持つ曲が、これも有名な 「ヒア・カムズ・ザ・サン」 です。
頻繁に行き来をしているうちに、クラプトン先生は悪い癖である女好きの病を発症し、そしてあろうことか親友の妻に恋焦がれてしまったというわけです。
1969年には、クリームの作品で 「バッヂ」 を、ふたりで共作しています。 この曲は、クラプトンのその後のライヴでは常に演奏されてきた代表曲のひとつです。歌詞には "君にとても似ている人についての話を" なんていう、パティ・ボイドを思わせる部分もあります。
ジョージ - パティ - クラプトンの関係については、現在公開されているクラプトンの自伝映画 『12小節の人生』 の中でも濃密に語られているので興味のある方はそちらをお薦めします。
CREAM / Badge (1969)
バックのカッティング・ギターはジョージによるもの。
1991年のジョージのジャパン・ツアー。 このツアーは、久しくライヴを行っていなかったジョージを、クラプトンが誘う形で実現したものです。 バックの演奏陣は当時のクラプトン・バンドでした。 僕は12月1日 初日となった、横浜アリーナで開催された公演に行ってます。前年90年には、ポール・マッカートニーも初来日公演を行っていたし、あの頃はビートルズ・ファンが盛り上がっていたんですね。
ビートルズ時代を含めての、ジョージの代表曲はすべて聴けたのでその点では大満足でした。 あの頃のクラプトン・バンドの演奏は鉄壁であったし。 ただ、「クラプトン、やり過ぎだろ!」 と思う所があったのも確かです。 ドラッグからもアルコールからも完全に立ち直っていたクラプトンのギター・プレイが、空気感が変わるほどに凄まじく冴えわたっていたので。 ピーター・バラカン氏も、どこかに同じことを書いていました。
とは言え、ジョージをライヴの場に引っ張り出してくれたクラプトンにはやはり感謝です。 このジャパン・ツアーでのふたりの共演が、ジョージとクラプトンの友情物語のクライマックスとなったわけで、クラプトンによるジョージのための演出は見事であったと思います。
GEORGE HARRISON / Run So Far (2002)
ジョージの遺作となったアルバム 『ブレインウォッシュド』 に収録。 もともとは、ジョージがクラプトンのために書いた曲。 クラプトンのアルバムでは 『ジャーニーマン』 に収録されています。 ふわっとした柔かさ、温かさを感じる、ジョージらしい曲なんですよね。