JACKSON BROWNE Japan Tour 2017 | Get Up And Go !

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10月19日 (木)、Bunkamura オーチャードホールにて行われたジャクソン・ブラウンのコンサートに行ってきました。 17日、18日に続いての東京公演3日目、東京での追加公演となるものです。

個人的には、23年ぶりのジャクソン・ブラウン・ライヴでしたが、想像していた以上の素晴らしいライヴであったことをまず記しておきます。 70年代から活動するジャクソン・ブラウンは現在69歳。 客の平均年齢は当然高くなりますが、感じたことは過去2回、87年と94年に行った時よりも、客の盛り上がりとしては上だと感じるほどに反応が良かったことです。 T-シャツなどのグッズ売り場も盛況で、これはちょっと驚きでしたね。

アルバムはコンスタントに発表していたのでずっと聴いてはいましたが、ライヴはずっと離れていたのです。 「きっと過去のひと扱いだろうし、コアなファンだけで盛り上がればいいんじゃないの」 なんて、ジャクソンに対しては失礼な思い込みをしていたのです。

オーチャード・ホール (収容約2200 人) 3日間、すべて満員であったことを考えれば、ジャクソン・ブラウン人気は健在なんだな、と嬉しく思うと同時に、ジャクソンに対しては長く離れてしまって ごめんなさい (・・。)ゞ の気持ちでしたね。





....1st set -
.1. The Waiting  
.2. Some Bridges
.3. The Late Show
.4. The Long Way Around
.5. Looking East
.6. Sky Blue And Black
.7. These Days
.8. In The Shape Of A Heart
.9. Just Say Yeah 

10. Your Bright Baby Blues
.... 2nd set -
11. The Birds of St.Marks
12. I'll Do Anything
13. Fountain Of Sorrow
14. Carmelita 
15. Late For The Sky
16. Lives In The Balance 
17. Culver Moon 
18. Pretender
19. Running on Empty

....- encore -
20. Take It Easy ~ Our Lady of the Well


ジャクソンの 「コンバンワ」 の挨拶で始まったオープニングは、なんと先日亡くなったトム・ペティに捧げる形で演奏されたトム・ペティのナンバー 「The Waiting」 でした。

90年代以降の比較的新しい曲に、70年代80年代の曲を織り交ぜながらの曲目構成。 ですが、会場からのリクエストに応えて、バンドと相談しながら演奏曲を変えたりといった場面も見られました。 会場から頻繁にリクエスト曲の声が上がり、ジャクソンもそれに冗談で応えながら、そのリクエストに応じる。

ジャクソン・ブラウンのライヴは、昔からその日の客との英語でのやり取りが見られましたが(特に外人客との)、「他の客に対して迷惑だよ」 なんて注意を促すこともあったのです。 それが 「えっ! 最近のジャクソン・ブラウンのライヴって、これが普通なの?」 と、やはり驚いてしまいました。

このあたりは歳を重ねたことによる余裕なのかもしれません。 あるいは長年に渡って積み重ねてきた、日本のファンに対する信頼というのもあるのか。 3日間それぞれで演奏曲が何曲も違っていたようです。





数曲 聴いたところで気づいたのは、バックの演奏がとにかく素晴らしいということです。座長でありレジェンドでもあるジャクソン・ブラウンに対する、メンバーのリスペクトというのは大きいんですね。 演奏にいい意味での緊張感をもたらすのです。 ジャクソン・ブラウンの曲は全体の雰囲気を作るものとして、スティール・ギターがとても重要なのですが、それを含めて完璧な演奏であったと思います。 2人の女性コーラスも素晴らしく、作品をさらに高みへと引き上げています。

「These Days」 「Fountain Of Sorrow」 「Late For The Sky」 「Running On Empty」 などのかつての名曲も聴くことでき、また ウォーレン・ジボンの曲が演奏されたり、アンコールにはやはり昨年亡くなったグレン・フライに捧げる形で、ジャクソンとグレンの共作曲 「Take It Eat Easy」 が演奏され、総立ちでの盛り上がりとなりました。 「Lives In The Balance」 という80年代の曲も演奏されましたが、2人の女性コーラスがヴォーカルとして加わったこの曲が、個人的にはこの夜のベストです。


Lives In The Balance
「ライヴズ・イン・ザ・バランス」 について、少しだけ触れておきます。87年にリリースされた同名のアルバム 『LIVES IN THE BALANCE』 に収録されたこの曲は、3枚目のシングルとして発売されますが、当時アメリカではチャート・インすらしませんでした。

政治性・社会性を持った歌をいくつも歌い、MCでは自らの政治信条を語るこの頃のジャクソン・ブラウンは、アメリカでは多くのファンを失ったんですね。 その中でも 「ライヴズ・イン・ザ・バランス」 は、当時のレーガン政権の、武力を背景にした他国への内政干渉、外交政策を非難した曲として不人気であったようです。 レーガンというのは、概ね人気のある大統領でしたからね。

アルバムのジャケット・デザインからして象徴的です。 当時はその意味がよくわかりませんでした。 自由の女神100周年による、改修のため足場を組まれた像が映し出されています。 ジャクソン・ブラウンにしてみれば、アメリカも修復されるべきだ、というわけです。





民主党の熱心な支持者である彼が、昨年の大統領選・予備選でバーニー・サンダース氏を支持していたことを考えれば、現在の大統領に対し批判的なのは明らかな事です。ジャクソン・ブラウンが、今この曲を歌うことの意味をどうしても考えてしまいます。 私たちの平和が "危ういバランスの上にある" ということは、このところの東アジアの現状にこそ当てはまるように思うのです。

80年代以来、多くの反戦・反核の歌を歌ってきたジャクソン・ブラウン。 10月24日、今回のジャパン・ツアーのファイナルは、彼にとっても特別な地である広島で行われます。 何らかのメッセージを発信するような気がします。



"アメリカは何のために祈るのか? 神様に何を求めているのか? 敵を滅ぼしてしてくださいと願うこと? それとも平和でありたいと願うこと?"












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