夢の旅人 | Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ




Mull_of_Kintyre.jpg


ウイングス
WINGS
『 夢の旅人 / Mull Of Kintyre 』


音譜
海からうねるようにやって来る霧に包まれた
キンタイヤ岬
心はいつもそこにある
私の憧れ キンタイヤ岬

遠くを旅してまわり 多くを見てきた
緑の谷にそびえる 黒くそびえる山脈
広くひろがる砂漠染める 炎のような夕陽
けれど心はいつも我が家へと 憧れのキンタイヤ岬

ヒースの茂る深い渓谷に立つとき
幼いあの日々が甦る
聖歌隊のように声を合わせて歌った夜
憧れのキンタイヤ岬の日々

陽ざしの中の笑顔の日々 雨の中の涙の日々
どの思い出も鮮やかに甦る
残り火は燃え上がり
心は憧れのキンタイヤ岬へ

Mull of Kintyre, oh mist rolling in from the sea
My desire is always to be here
Oh Mull of Kintyre

Far have I traveled and much have I seen
Darkest of mountains with valleys of green
Past painted deserts the sun sets on fire
As he carries me home to the Mull of Kintyre

Mull of Kintyre ・・・

Sweep through the heather like deer in the glen
Carry me back to the days I knew then
Nights when we sang like a heavenly choir
Of the life and the times of the Mull of Kintyre

Mull of Kintyre ・・・

Smiles in the sunshine and tears in the rain
Still take me back where my memories remain
Flickering embers go higher and higher
As they carry me back to the Mull of Kintyre

Mull of Kintyre ・・・

音譜





1977年11月、「ガールズ・スクール」 との両A面シングルとしてリリース。 全英最高位1位 (6週連続)。 アメリカではヒットせず、「ガールズ・スクール」 が最高位33位。 ポール・マッカートニーとデニー・レインによる共作ナンバーです。

「Mull Of Kintyre / 夢の旅人」。 この曲が、1963年にビートルズが 「シー・ラヴズ・ユー」 で作ったイギリスでのシングル売上げ記録を更新した曲である という事実を当時ニュースで聞いたときは、正直に言えば 「何でこんな曲が!?」と言うのが感想です。 そう思った人は、日本にはかなりいたのではないかと思います。 それはアメリかでの反応にも言えるでしょう。 アルバム中の一曲であるなら 「まぁ ポールはこういう牧歌的でゆったりとした曲、好きなんだろうなぁ」 で終わったはずなのですが・・・

ポールの好きな楽器であるというバグパイプをフィチャーして作り上げた楽曲は、スコットランド風です。ポールが作った曲の中でもとりわけシンプルな曲でしょう。 バグパイプという楽器の特性であるうねるようなサウンドはコード・チェンジに気を使うこととなり、民族楽器であることから音階にも制限がある。そういったことがシンプルな曲となった要因としてあるようです。

キンタイヤ岬 (Mull Of Kintyre) は、ポールがビートルズ時代に購入したスコットランドの農場近くにある岬です。常に世界中から注目されていたポールにとっては、世間の喧騒を逃れて自分に立ち返ることのできる、何よりも安らげる土地であったのでしょう。そんなことが歌詞の背景にあるわけですね。




WINGS / Mull Of Kintyre (1977)
ジミー・マカロックとジョー・イングリッシュが抜け、3人となってしまったウイングス。 「夢の旅人」 には2つのPVがあります。 VERSION 1 は、ビートルズの映画 『LET IT BE』 を監督したマイケル・リンゼイ・ホッグによって、ポール・マッカートニーの農場にて撮影されたものです。


今じっくりと聴けば、とても良い曲であるとわかります。これはわかりやすく言えば、ご当地ソングということなのでしょう。 この曲についての解説で 「民族の琴線に触れた曲」 という文をかつて読んだことがありますが、これは腑に落ちる言葉でした。例えば 「岬」 というと、日本にも 「知床旅情」 とか 「襟裳岬」 なんて曲がありますが、行ったことのない北海道の土地を歌った曲であるのに、日本人の心情に訴えてくるものがありますよね。

「Mull Of Kintyre」 のメロディやサウンドの中には伝統的なスコットランドのそれがあり、そのことが、自分たちの文化に高い誇りを持つスコットランド人の琴線に触れることとなった。 その "民族の曲" に、バグパイプ・バンドの勇壮な演奏と、英国の誇りである "ビートルズのポール" が歌ったという事実も加わって、単なるご当地ソングにはとどまらないモンスター・ヒットになってしまった、ということだと思うのですが。 天才的なヒット・メーカーであるポールも、おそらくあそこまでのヒットは予想できなかったのではないでしょうか。



1987年に 「オール・ザ・ベスト (ALL THE BEST)」 という、ポールのソロ時代を集大成したベスト盤が発売されたのですが、アメリカ盤に「夢の旅人」 は収録されませんでした。 私、その頃 インポーターと言われる、CDやレコードの輸入業者で働いていたのですが、対ドル/対ポンドのレートを考えると、安価で輸入 販売できるアメリカからの輸入がどうしてもメインになってしまったのです。

コアなビートルズ・ファンは、当然 "Made in UK" と記されたイギリス盤を購入しますが、一般の音楽ファンはあまり考えずにアメリカ盤を買ったと思います。でも懸念していた問い合わせや苦情がほとんどなかったことを考えると、あの頃 「夢の旅人」 は名曲だと日本では認知されておらず、まだまだ(ひょっとすると現在でも) 「何でイギリスで大ヒットしたのかわからない曲」 といったところにあった曲だと思うのです。











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