
Pop LiFe Pop FiLe #54
Acoustic Breeze!
1975年のアコースティック・ナンバーを! ベタな曲ではありますが、どれもいい曲。すすめます。
PHEBE SNOW / Poetry Man
ニューヨーク出身のシンガー・ソングライター。グリニッチ・ビレッジ周辺で歌い始めたとのこと。1974年に、アルバム『Phoebe Snow』でデビュー。 アルバムからのシングル曲「Poetry Man」は、75年に全米最高位5位を記録した、スノウの代表曲です。 フィービー・スノウ作詞・作曲。
ファルセットと地声を滑らかに組み合わせた歌声が、すぐに耳に留まります。低音から高音まで、4オクターブの広い音域を自在に操る素晴らしい歌唱。いくつかの血が混ざりあったルーツを持つ彼女の中の、黒人音楽であるブルース的な要素と白人的要素のカントリーの部分。そこに都会的なジャズのテイストも加えたスタイル。
音楽的に様々な要素が絡み合ってはいますが、肌触りはシンプルかつ洗練されたもの。他者と比較するのが難しい稀有なアーティストです。
OLIVIA NEWTON-JOHN / Please Mr.Please
オーストラリア出身のイギリス人。アメリカではカントリー・シンガーと括られていた人です。清純派の美人シンガー。可憐な歌声です。 70年代末までは、そのイメージを前に出しての売り出し方だったのでしょう。実際、そよ風のようなイメージの楽曲が多いのです。
75年に大ヒットした彼女の代表曲の邦題は「そよ風の誘惑」。収録されたアルバムも同タイトルでした。そしてアルバムにはもう一曲、「Please Mr.Please」と題されたそよ風のような曲があります。失恋を歌った曲ではありますが、肌触りは爽やかなものです。
MINNIE RIPERTON / Lovin’ You
70年代洋楽の名曲を語るとき、絶対外せない曲だと思うのです。この曲が全米1位となった75年以来、数多くのカバー曲を生み出してきましたが、ミニー・リパートンの歌唱を超えるものはないと断言しておきます。5オクターブの音域による歌唱の魅力が全開となった曲です。
ミニー・リパートンと夫であるリチャード・ルドルフとの共作曲。バックの演奏はそのルドルフによるギターと、スティーヴィー・ワンダーがピアノを担当。スティーヴィー・ワンダーはプロデュースも担当しています。ミニー・リパートンは、スティーヴィーのレコーディングやツアーに、バック・ヴォーカルとして参加していた時代もあります。
どちらかというと、秋の爽やかな風というよりも、春のやわらかい陽ざしを感じさせる曲ですね。小鳥の鳴き声による効果音が、なんともリラックスした気持ちにさせてくれます。
ミニー・リパートンは79年7月に,癌のため31歳の若さで亡くなっています。スティーヴィー・ワンダーは亡くなる前の晩に、病院に彼女を見舞っています。その時彼女は「私の待っていた最後の人が来た」とスティーヴィーに告げたそうです。
Acoustic Breeze! アコースティック・ギターのサウンドホールからのそよぐ風。 木のぬくもりを感じさせる風。今回はそんな曲を選んでみました。 慌ただしくて複雑化する社会の中で、手作り感に溢れたこういった曲を求めている人はきっと多いはずです。

