トータスイラスト試作

 


こんにちはカネシゲです。

今回は絵本の方向性についてメンバーと話し合いを重ねました。

そこで一番核となる登場するヒーローの設定。

私は全員同じ能力を持つスーパー戦隊を創りたいと言いましたが、ほかのメンバーは、それぞれ持っている障害の特性を活かした、得手不得手があるアベンジャーズのようなヒーロー集団のほうが良いんじゃないかと意見が別れました。

たしかにそれぞれ持っている障害の特性を生かすヒーローは、自分の持つ障害を見つめ、社会が求める自分に少しでも近づく努力をするうえで良い気がします。

理屈では正しいと思います。

しかしそれだと、ヒーローになりながらも「障害」という現実を見せつけ続けられることになり、それが当事者の私にとってはどうしてもしっくりと来なかったのです。

それは何故かというと、私が幼少期からみていた戦隊ヒーローのメンバー全員が、変身後は能力や武器に差がなく同じものを駆使するものを長年見ており、それこそが「仲間の証」だと思っていたからです。


私は障碍者を扱ったドラマや、障碍者のお涙頂戴ものといわれる24時間テレビなどが、どうしても好きになれません。

これは、幼いころから散々家族に「あの障碍者は頑張っているんだから貴方も頑張りなさい」と言われ続けていたことが起因しているのではないかと感じています。

なので頑張る障碍者のドラマやドキュメントを見せられるたび、「今じゃだめだ、もっと付加価値を高めろ」と言われている気がして辛かった当時を思い出すので、そういうものがどんどん嫌いになっていったのです。

同じように変身後も障害を引きずるヒーローというのは、辛かったことを思い出すから拒否感が出るのだと思います。


一方で私がこよなく愛してきたヒーロー達は、やれ歩けるようになれとか、やれテストで100点取れなどの私にとって辛く厳しいことは言わず、一貫して「やさしさを失わないでくれ」と心の持ちようしか訴えてこないので、素直に聞けたのです。

これと同じように、日ごろから自分の障害と十分向き合っている子供たちに、一切の条件を付けず

「身体に障碍があっても気持ちさえ綺麗であれば人として良いんだ」

ということを純粋に伝えたいのです。


と、みんなでこのような話し合いを続けていくうちに、

 

そもそも健常者は完全無欠のヒーローになれて、障碍者は個性といえば聞こえはいいが、明らかな不得手があるヒーローにしかなれないというのは、結局のところ、障碍者は健常者より一段下がって当たり前という、思い込みがあるのではないか

 

という話になりました。

そして、それこそがマイノリティーを苦しめる「悪気のない差別」の根っこなのではないかという意見が出て、最終的には障碍者だって変身したら障害には一切惑わされない完全無欠のヒーローになったって良いじゃないか、という結論になりました。


ということで、なんとなく方向性が決まったので、さっそく細かい装備の設定を考えてみました。

ヒーローものに関心のない方には、なんのこっちゃ?と思われるかもしれませんが、好きな私には楽しい作業ですし、きっと小さいお子さんも楽しんでくれると思います。



 

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スーツの基本性能
NAIC(ナオトアラタインタラクティブコンピューター)を搭載により、二人の得た知識のデータから10万無量通りの中から最適な対処方法提示

NAモーターとNAブースターにより
最高時速1,000キロ
最高到達点1,000メートルが可能に

ウィークサーチあらゆるもの等

パワードアーム&レッグカネシゲ力をトレース

スーツビジョンイクちゃんの力のトレース

スーツソナーカズエちゃんの力のトレース


変身前能力補助アイテム
NAグラス
5キロ先まで見える

NAグローブ
500キログラムまで持てる

NAイヤフォン
5キロ先の音が聴こえる

NAブーツ最高時速100キロまで出る

NAマスク10ナユタまで匂いを分析出来て、一日中装着する場合3/1まで回復する

6人目のキャラクター設定
感性と色彩感覚が特に優れたいて想像力&妄想力が凄い
変装が得意

スーツの力を借りて想像したものを具現化出来る

皆がリハビリしている部屋は6人目の能力を具現化したたまもの

最初は施設の職員で、所長兼ドクターKとの連絡役で、皆は知らない

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という感じです。

ちなみにそれぞれ名前は、社員仲間の名前を使わせてもらいました。


ということで、こんな感じで紆余曲折ありましたが、様々な障害を持ったメンバー全員が、変身後はみんな完全無欠のスーパーヒーローになる新しい試作を早速Nさんがつくってくれました。

ごらんください。

 


----------海底火山爆発------------

 

 

ここはある街の小さな障碍者施設。

そこには5人の障碍者が暮らしていました。

車イスの男の子 トータス(亀)

ドン(絵)

目が見えない女の子 ドルフィン(イルカ)

ドン(絵)

耳が聞こえない女の子 イーグル(ワシ)

ドン(絵)

多動傾向のある男の子 ウルフ(狼)

ドン(絵)

ストレッチャーに乗った難病の男の子 ユニコーン

ドン(絵)

みんなはご飯の後、ホールに集まって機能回復訓練をしていました。

訓練担当の職員さんは言います。

「さあさあ今日も訓練ですよ!他人と比べるんじゃなくて、過去の自分を超える!昨日よりも上回ることが重要!若い君たちにはそれが可能です!」

みんなは汗を流して頑張ります。うんとこしょどっこいしょ。

所長さんが入ってきていいました。

「みなさん頑張ってますねー、そろそろみんなで3時のオヤツにしましょう。今日は来々軒のバスクチーズケーキですよ。」

「やったー!!!バスクチーズケーキだー!」

(みんなでチーズケーキを食べる絵)

みんなでチーズケーキを食べているところに所長さんはいいました。

「みんな聞いてほしい。実はこれから君たちにやって欲しい仕事がある。それは世の中の人達を助ける仕事だ。」

突然の事に、みんなは戸惑いました。

「えー!お仕事?いやだー嫌いー!めんどくさーい!」

「そんなことより遊ぼうよー」

「ブーブー」


所長は真面目な顔でいいました。

「君たちが厳しい訓練を続けてきたのにはわけがあるんだ。実は他の施設ではこんなに厳しい訓練はしていないんだ。君達は選ばれた人間なんだよ。」

「え?僕たちが選ばれた人?どういうことですか??」


職員さんが部屋にはいってきました。手には5枚のスーツを持っています。

所長はそのスーツをみんなにみせると
(つなぎのようなもの)

「これを着れば、君達はスーパーヒーローになれるんだ。遠くのものが見えたり、聞えたり、スゴイ力をだせたり、走ったり飛んだり、念力でモノも動かすことが出来るようになるんだ」

トータスは言いました。

「それは博士や職員さんや他の人がやったら良いじゃないですか。なんで障碍者の僕らがやる必要があるんですか?僕は運動なんてできないし、身体をつかって人を助けることなんて無理ですよ。」

所長はいいます。

「このスーツは心と連動して力が出る。心の綺麗な人しか能力が発揮できないんだ。

我々がきたとしても、たんなるツナギに過ぎない。なんの能力も出ないのだ。

君達は気が付いていないが、心が綺麗だという理由でこの施設に集められた選ばれしものなのだ。

この力で世の中を救えるのは君達しかいない。」

ドルフィンは言います。

「そんなスゴイものがあるなら、私たちが障碍者として暮らしていかなくてもいいんじゃないですか?

世の中を助けることよりも、まず私たちを普通に動けるようにしてほしいです。それならリハビリなんてやらなくてすむし、普通の人達と同じようにくらせます。」

所長はむずかしい顔でいいました。

「その気持ちはわかる。しかしそれにはまだまだ研究の時間が必要なんだ。このスーツはパワーが大きすぎるために日常で使うことはできないうえに短期間しか着用ができない。

なにより君達がこのスーツをきて活躍することで、みんなが助かるんだ。頼みを聞いてくれるか?」


みんなは顔を見合わせながら相談しました。

「わかりました。ぼくらしか出来ないんですね。」
「やりましょう!!」
「なにをやればいいか教えてください!」

所長はいいます。

「実は海底火山が噴火して、海に大量の軽石が海岸に漂着している。

船は動かないし、魚も大量に死んでしまう、すでに甚大な影響がでている。それを君達がなんとかしてほしい」


「ものすごい範囲じゃないですか?僕たち5人になにができるんですか??やり方を教えてください。」


所長 

「スーツをきた君達は身体能力だけではなく知能も各段に向上している。方法も君達で考えてほしい。」

みんな

「わかりました。へーんしん!!!」

「未来科学戦士、チャレンジャー!!!」

(5人そろった図)

みんな

「すごい・・・身体が動くようになってる・・・・これが動けるってことなんだ・・・・」

ウルフ

「さて、みんな、今計算してみたところ、軽石の総量は500億トンある。これは富士山の半分の大きさだ。これを僕たちが念力で宙にうかせて運ぶんのが一番効率的だと計算がでた。この方法しかない。」

ドルフィン

「ウソでしょ!そんなの絶対無理!!!」

ウルフ

「1人1人ではダメだ。みんなで力をあわせることによって、軽石を吹き飛ばすことができる。軽石を海の一か所にあつめればいい。軽石をあつめたら熱光線ビームで軽石を溶かして固めて島にする。」

トータス

「そうとわかったら、スーツの時間制限もあるから急ごう!!」


「やってみます!!!」

「僕たちがやるんだ!!!」



5人は海岸まで飛んでいき、海岸に押し寄せる軽石に五人は力をあわせて

「チャレンジャー!!!パワー!!!!!」


ゴゴゴドドドド

地響きのような音とともに海岸に漂着していた軽石が浮き上がりました。

それはまるで海の上を雲が動いているようにみえます。

「みんな!!はやくしないとパワーがなくなってしまうぞ!!!」

「うぉぉぉぉ!!!!みんながんばれ!!」

「ええい!!!やー!!!」

何十キロメートルという長さになった軽石の雲が、5人の念力によって、海の上を移動しています。

晴れた日でしたが、あたりは暗くなってしまいました。

イーグル

「このまま海の沖にでて、あそこに軽石をあつめて固めて山にしよう!!!」

みんな

「了解!!」

みんなは雲のように連なった軽石とともに進み、海の一部にあつめました。

ドサドサドサドサー!!

「よし!!!チャレンジャー!!ビーム!!!」

ひとりひとりから光線が発射されます。

びびびー!!!

集められた軽石がビームで溶けて次第に一つになりました。

「それっ!!かためろー!!!チャレンジャーローラー!!」

ペタペタペタペタ
ペタペタペタペタ

海には大きな大きな島ができました。

トータス

「大きな島ができたねぇ」

ドルフィン

「ここに住めるんじゃないかしらね」

ユニコーン

「そんなことよりはやく戻らないとスーツの力がなくなっちゃうよ、いそごう!!」

イーグル

「ヒーローって忙しいんだね!」

(夕焼けにむかって飛んでいく5人の姿、右手には陸地、左手は海、海に太陽がしずもうとしている)

施設に帰ってくると所長さんと職員さんがでむかえてくれました。

「みんなよくやった。これからお風呂に入ってからご飯にしよう。みんな疲れたろう??たくさんたべてゆっくり休んでくれ。」

「わーいやったー」

「ご飯をたべたらフルーツもおねがいねー」

わいわいがやがや

日が沈み、あたりは真っ暗。施設の夜は暮れていきます。

この海にできた山はのちに「チャレンジャー島」と呼ばれるようになりました。

(晴れた日の海に山が出来ている図 雲が流れ鳥がとんでいる。)

おしまい