前回の続き、今回はマンションを購入してから内装工事等の話になります。


めぐり合わせよく一人暮らしの為のマンションを購入する事になりましたが、そこからも入居に至るまで様々な障壁があり、順風満帆というわけではありませんでした。

当初の設計では入居する部屋は勿論、共有部分にもバリアがあったのです。

マンション建築前にあった建物を撤去して更地にするくらいの頃から施工会社との話し合いをして、まず部屋の場所を出入りのよい1Fに決めてから具体的なバリアフリー化の話となりました。

共用部分のバリアは、

・マンション入り口の段差
・エントランス扉の幅
・自動ドアの幅と開閉時間

の三つがありました。

入り口の段差は幸い些細なものでしたので問題なく解消してもらえたのですが、エントランス扉と自動ドアはうちの費用負担で車いすが楽に通過できる幅広のものに交換してもらいました。

また、自動扉の閉まる時間が車イスが通るには早すぎたのでもう少し遅くしてもらうようにお願いしましたが、それは防犯上難しいと難色を示されました。

しかし当時防犯等に関わる公務員していた父親が数年間マンションの理事をやるという事で話が収まったという事でした。


次は自宅部分のバリアフリー化です。

まず自宅玄関の扉の幅は当初から90cm以上あったのですが、開けたときに扉の厚さを含めるとギリギリの幅になり、一回り大きな扉を設置してもらうことにしました。

扉は90cm以上でも扉の厚みを含めると開けたときの内寸が狭くなるので注意が必要です。

その他内装は、
元々は部屋の真ん中にカウンターキッチンが置かれるという設計でしたが、車イスで動くには不便なので、壁側にしてもらったり、

玄関を広くする為に、シューズボックスを取り払ってもらったり、

クローゼットを一つつぶして洗濯機置き場にしてもらったり、

台所の足元のみの床暖房も、リビング全体的に付けてもらったり、

トイレもウォシュレットにしたり、

各所に手すりを設置したり

など変更は多岐に渡りました。

手すりの位置は内装工事の方の利用イメージが実際の利用と違っていたので、実際に私の動きを見せて細かく調整することになりました。

内装工事中は部屋の内装を傷つけない為に車イスで部屋に入ることが出来無いと言われ、説明で決めざるおえなかった為、完成後に車イスではトイレに入るのが難しいと分かるなど、重要な点を見過ごしてしまってしたりしました。

追加で直せるところは直してもらいましたが、その分費用が掛かりました。

工事中5~6回現地に行って内装を決めていきましたが、今からふり返ると、もっと細かくチェックしていればとも思う反面、いくら考えても生活する前に想像だけで完璧な形にできたかは怪しいと思います。

このように変更点が自宅部分のみならず共有部分にまで及んだ結果、最終的な購入価格は当初の予定価格の1.3倍以上にまで膨らんでしまいまいました。

このままでは両親に申し訳ないと思い、世田谷区からもらっていた「障碍者のしおり」を詳しく見返したところ『障がい者住宅改修費制度』を利用できることがわかりました。

その補助金額の範疇で,玄関扉の自動化、お風呂用リフト、ユニットバスの扉を変え、玄関及びリビングの壁に車椅子がぶつかっても大丈夫なように鉄板を貼ってもらいました。


そしてついにマンションが完成。

実家から徒歩15分位だった為、業者を使わず、車イスと台車を使ってヘルパーさんと一緒にピストンで引っ越しをしました。

一人暮らしをしようと不動産巡りをはじめて行動をおこしてから、ここまでで実に6年が経っていました。

こうやって改めて書き出してみると、健常者が一人暮らしするのとは異なるハードルの高さを感じますね。

次回は引っ越ししてから現在に至るまでの16年の一人暮らし経験から分かったこと、そして感じたことをお伝えしたいと思います。