赤身魚は足が速い編
アジやサバ、サンマなどの赤身魚 ( 青魚 ) は水分が多いために身が柔らかく、積み重ねたりすると身崩れしてしまいます。魚屋さんの店頭で、ブリやマダイは氷の上に置かれているのに、アジやサンマは氷水を入れたコンテナに浮かべられています。これは水に浮かべることで、外部からの衝撃を避け、魚同士の重さで身が傷まないようにしているのです。
赤身魚は死んでから死後硬直にいたるまでも、硬直が解けて腐敗するまでの時間も速いので取り扱いには注意が必要です。
アジやイワシなどの大衆魚を船で大量捕獲する場合は、一匹一匹活き絞めにする余裕がありません。そこで海水氷のイケスに入れて一気に腹の中まで冷やします。この方法だと魚体に傷がつかず、店頭で並べたときの見栄えもいいのですが、実際には網の中で圧死して身割れする危険があります。ストレスによるATPの減少も見逃せません。
ところが釣魚の場合、一回に釣れるのはせいぜい3~4匹なので、すばやく首を切って血液を抜くことが可能です。
船釣りならイケスに入れておいて帰港するときにまとめて絞めれば鮮度が保たれます。ただし、釣り上げるときにラインに絡まったり、鈎外しに手間取ったりで疲弊したアジは、口が開くことがあります。このようなアジはATPが枯渇して食味が格段に落ちるので、目印をつけて刺身用とは別に処理してください。
魚は窒息死することでも食味が低下します。死ねば血が抜けなくなり、身に滞留した血液中の様々な酵素によって生臭くなるので、元気に生きている間に絞めて血抜きをしてください。腐敗しやすい血を抜いてしまえば美味しく食べることができますが、死後硬直を遅らせる効果まではありません。
そこで神経を破壊し、鮮度のいい状態を長持ちさせるのが「神経締め」です。脊椎骨の各位置から出た神経が、その位置の筋肉の神経につながっているので、魚の全長を締めてしまう必要があります。これは、針金を通して行くと、先端が達した部分の筋肉が順番にビリビリと震えることでも確認できます。