れいは そのつもりはなかったのだろうが
私は その当時
ミックスバーに行く、と言われた時
近い将来 れいが浮気するだろう、と思っていた。
れいが浮気しないワケはない・・・。
そんな風に思っていた。
とはいえ しばらくは
本当に純粋に
セクマイの友達と楽しんでいたことは分かった。
浮気は 本当にしないの・・・か
個展の件はともかくとして
他に浮気の確信はなかった・・・。
私は 毎日 新しく知り合ったセクマイの人たちの
話を聞いていた。
しかも 相手はみんなタチ。
だから 私も許せたんだと思う。
これが ネコだったら
たぶん 許さない。
だけど 日に日にミックスバーに顔を出す時間が長くなる。
そろそろ時間の問題だ・・・。
頭の中には 個展の文字が浮かぶ。
あのウソは 何を意味するのだろう
浮気・・・
それはそれで よいのかもしれない。
知らないでいるのも、幸せだと思ったからだ。
しかも この時の私たちは
生活の不一致というか
セックスもしなくなった。
セックスする時間があったら
他にしたいことがある、という状況が
お互いにあった。
「別に、セックスしなくってもいい」
と れいが言っていたのを免罪符にして
お互いを自由にしていた。
だけど・・・
だけど・・・
私は 何のために結婚生活を送っているのだろう
もちろんセックスだけが愛情ではない、
ということは 分かっている。
だけど 相手が帰宅している時間に寝て
私が起きている時間には 相手が寝ている。
メールは頻繁だったかもしれないけど
私たちには 共通点がないみたいな
そんな感じだった。
結婚生活って何なのだろう
そんな疑問が
虚しさが 私の心を過ぎる。
その虚しさを埋めるために
私は 毎日アベルを散歩に連れて行った
どんなに疲れていても
どんなに熱があっても
私はアベルをお散歩に連れて行ったのだ。
私は
今度別れる時は 必ずアベルを連れて行く
二度と 手放すことはしない
と決心していた
だから 私はアベルのお散歩を続けていた。
アベルの幸せが れいの幸せ。
まずは アベルの最高の幸せを
私が得たかった。
そして れいに女ができて
夢中になって
アベルを手放してくれたら・・・
と考えていた。
アベルの幸せのためになら
れいだって 手放すことはできるだろう。
いつ別れてもいいように
考えておかなければならない。
そう、いつ別れても・・・。
私は 最初に「別れたい」と言った時から
れいと別れたかったんだ・・・。
もう 女に・・・いや
れいに 疲れてしまった。
ビアンの定義を 私にあてはめようとする れいに・・・。
だからと言って
男に戻れるわけもなく
かと言って
女を求めるわけもなく
私は 自分が一体なにを望んでいるのかが
分からなかった・・・。
ただ
思ったことは
私たちが別れる理由は
れいの浮気しか
もう あり得ない、
ということ。
れいの外出が頻繁になったのか
それとも
れいが正直に私に隠すことなく
出掛ける旨を言ってたからなのか
確実に女の影を感じるようになった。
私は れいにイジワルをしたい気分になった。
それまでは キスすらしなくなった私たちだが
突然私は れいにしてみた。
すると いつになくアセる れい。
過剰なほどの 嫌がる素振り。
これは 演技
わざと私に気付かせようとする演技
私たちは お互いに演技をしていたと思う。
私は私で それまで気がついてない振りの演技。
れいはれいで わざと やましさをアピールするような演技。
私は決して自分からは れいに詰め寄ろうとは思わなかった。
たぶん 浮気している方が罪悪感にさいなまれて苦しいから。
私は れいが苦しめばいい、と思った。
私が別れたい、と言ったときには別れてくれないで
たぶん れいは自分が別れたいと思ったら
どんな手段を使ってでも 別れを押し通してくるだろう。
自分の都合でうまくいくなんて
私には許せない。
私は 自分がかつて浮気していたにもかかわらず
同じ苦しみを味あわせてやりたい、と思っていた。
そして 私たちの
家庭内別居が始まって間もなく
早くも 大きく運命が動いて行った・・・。